王虎   作:センチュリオン アクションX

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今回短めです。
キリの良いところで止めました。



それでは始めます。


第2話

最初はちょっとした衝突だった。

 

今考えてみれば、自分も少し頭に血が上っていたのかもしれない。

 

そんな中で隊長は紅白戦を提案した。

 

お互いに納得する戦果が出ればいいと思っていたのだろう。

 

けれど俺が見た戦車に乗り込む相手は、

 

明らかに殺意が込められていた。

 

その結果、彼女を窮地に追いやってしまった。

 

 

 

 

 

 

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「……ん」

 

今日は簡単に目が覚めた。

それもそうだろう。自分の寝間着は汗でびしょ濡れだ。

 

……最近悪夢が多いな

 

ちらりと時計を見ていつもより早いことを確認する。

 

二度寝してしまう前に家を出よう、

と支度を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

そんな訳で現在眠気眼で登校中。

 

さてあのティーガーllに乗ってから結構な時間がたっている。

解ったことと言えば転校生はやはり西住みほだった事。

 

やはり何かあったのだろうか。暫く戦車道をやってないので情報が解らない。

 

「オーッス」

 

いや、正確には情報を調べてないだけだが。

 

「あれ?おーい」

 

どこかで恐れているのかもしれない。戦車道と言うものに。

 

「返事がない。ただの屍のようだ」

 

「俺が屍ならお前は存在してないと言うことか」

 

「え?まって、何でそうなるの?」

 

「それほどの存在だと言うことだ。わからんのか?」

 

「よし解った。表でろ」

 

「もう外だよ」

 

「ぐぬぬ…」

 

こんなやり取りをしている相手は早瀬総士。後輩から良く尊敬され面倒見のいい兄貴肌を持つ金髪頭。

ついでミリタリーマニアでもある。

 

……そう言えば

 

「なあ総士」

 

「ん?なんだ」

 

「去年の戦車道大会って見たか?」

 

「そりゃもちろん。全戦見たけど?」

 

ビンゴ。少しこいつから情報を引き出そう。

 

「なら優勝したのはどこだ?」

 

「ん?去年はプラウダだが?」

 

………んん?

 

「プラウダが……優勝?」

 

「知らなかったのか?決勝で黒森峰をプラウダが破って優勝。黒森峰は十連覇を逃したんだ」

 

「……嘘だろ?」

 

黒森峰が……負けた?

 

「嘘じゃないんだなーこれが。てか何でこんな事を?」

 

「すまん総士。もう少し詳しく頼む。できれば試合内容とかも」

 

「お、おう……なんか午前中なのに珍しく真剣だな」

 

「珍しくは余計だ」

 

「とは言っても試合はほとんど悪天候でテレビでは発砲煙しか確認できなかったよ、けど試合終盤にあることが起こったんだ」

 

「あること…?」

 

「試合終盤、黒森峰の戦車が荒れた川に落ちたんだ。いや~さすがにハラハラしたな。そしたら黒森峰のフラッグ車の車長の子が川に飛び込んで行ったんだ。結果フラッグ車が撃破されて試合終了、って訳さ」

 

「……そのフラッグ車の車長、誰だかわかるか?」

 

「西住みほだったけど?」

 

……なるほど。

 

「すまんな総士、助かった」

 

「いいけど……何かあったのか?」

 

「まあ、少しな……」

 

どうやら、彼女に会って話をした方が良さそうだ。

 

 

 

 

 

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「はぁ?必修科目に戦車道??」

 

「しー!静かに!!」

 

午前中睡魔にコークスクリューブローが炸裂して昼休み。真姫がそんなことを言い出した。

 

「で?そんなガセみたいな話どこで聞いたんだ?」

 

「それが……三学年で広がってるみたいで」

 

そう真姫の隣の美紅が答える。

 

「けどよ、大洗の戦車道って確か数十年前に無くなったんじゃなかったか?」

 

「総士の言う通り、大洗の戦車道はなくなっている。でもそれが必修科目になると言うことは」

 

「復活する、ってことだよね」

 

「そう言うことになるな」

 

だが、と続ける。

 

「なぜ今頃かだ。今は昔ほど戦車道が流行っているわけじゃない」

 

「確かにそうですね」

 

「総士、何か戦車道関係でこの学園が戦車道を復活させそうなニュースはあったか?」

 

「あるぜ。最近なんだが、近々戦車道の世界大会が日本であるらしい」

 

「ふむ…世界大会か」

 

大方政府が力入れろって予算でもおりたか?

 

「………なあ皆」

 

俺の声に皆が振りかえる。

 

「もし仮に戦車道が復活して俺が戦車道をしたいと言ったら、皆はついてきてくれるか?」

 

 

「「「……」」」

 

 

少し時間をおいて、総士達が口を開く。

 

「何いってんだよ!俺達の仲だろ?」

 

「そうだよ~。嫌で戦車乗ってる訳じゃないしねん♪」

 

「私達は好きでやってるんです。ですから悠希さんについていきます」

 

……俺はいい友達を持ったみたいだ。

 

「……ありがとう」

 

その友人達に、俺は頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……彼は問題無いかと」

 

「みたいだねー。じゃ次行こっか」

 

その様子を見ていた三人は歩き始める。

 

「楽しみだねー()西()()()の重戦車マイスターさん?」

 

 

 

そして物語は、大きく動き出す。

 

 

 

すべては、大洗の為。

 

 

 

 


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