Fate/Object   作:あんぼいな

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それでは、どうぞ。


かくれんぼには十秒数えろ シギショアラ夜間市街地戦Ⅱ

「クウェンサー、頼まれていたものはこれで全部か?」

「いや、後洗剤を買ったら終わりだ。」

「ったく、サーヴァントをパシリに使うなよ。」

賭けに負けたため、 シギショアラの町へ買い出しに来たクウェンサーとヘイヴィア、買い物を終わらせる為、入店しようとするが、

「おう、久しぶりじゃねーか。」

そう言われて肩を掴まれた。

当然だが、未来から来た二人にはこの町に知り合いなどいるはずがない。

では、肩を掴んでいる、コイツは()()……。

警戒しながら、ゆっくりと振り向く。

そこには、見覚えのない少女が立っていた。

「よっ!久しぶりだな!」

「「いや、誰だお前!」」

二人のツッコミが朝のシギショアラに虚しく響いた……。

シギショアラで発生した連続殺人事件。潜入した魔術協会の魔術師全員が殺害され、敵サーヴァントによる魂食いが行われた。

神秘の隠匿の為、魔術協会のロード・エルメロイ二世より赤のセイバーのマスターである獅子劫界離へ、対応が要請された。

 

「確かにそいつは、俺の仕事だ。」

そう言って電話を切り、頭の中でこれからのプランを構築し始める。

ある程度の目処がつき、自らのサーヴァントであるセイバーへと状況を説明しようと目を向けるが、

「どこ行ったんだ、あいつ……。」

猫と戯れていたはずのセイバーが影も形も見当たらない。

「(仕方ない、探しにいくか。)」

そう思い、席を立とうとした時。

「マスター、いいもん拾って来たぞ!」

「何処に行っていたんだ、お前。」

セイバーが帰ってきた。だが、

「何を持っているんだ?」

「へっへー、これはだな……。」

そう言って手に持っていたものを前に出す。それは、

「あれ、セイバーのマスターじゃん。」

「て事はこいつがセイバーかよ。」

首を後ろから掴まれて吊られたクウェンサーとヘイヴィアであった。

「アサシンか、何故こんな所に。」

「コトミネに備品の買い出しを頼まれてな。その途中でセイバーに捕まった。」

「そうか、うちのセイバーが済まないな。それといい加減に離してやれ。」

そうセイバーに言う。

「よっと、」

手を離され、地面に着地するクウェンサーとヘイヴィア。

「そういえば、さっきの電話は何だったんだ?」

「あー、そうだな。」

チラリとクウェンサーとヘイヴィアに目を向ける。

「俺達は聞かない方がいい話題か?」

「いや、大丈夫だ。むしろお前達にも手伝ってもらいたい。」

「「は?」」

「と、言う訳だ。」

先程までの電話の内容を説明する獅子劫。

「つまりは、俺らにそのサーヴァントの撃破を協力しろと言う訳か?」

「そうだ、頼めないか?」

「そんなんに付き合ってられるか、ヘイヴィア、とっとと帰るぞ。」

「実際に敵とやり合うのはうちのセイバーだ。お前達には援護してくれるだけでいい。」

「絶対に嫌だ。給料の出ない仕事なんてしたくねぇ。」

「多少の報酬は出すぞ。」

それを聞いてピクッと反応するクウェンサーとヘイヴィア、彼らには現在どうしても欲しい物があった。

「話だけは聞いてやる。」

そう言って座り直すクウェンサーとヘイヴィア。

「手伝ってくれるのか?」

「ああ、だが先に報酬を払って貰いたい。」

場に緊張が走る。彼らは一体何を求めて来るのか。貴重な魔術触媒だろうか。はたまた令呪そのものと言う可能性も……。

セイバーが警戒を強める。そんな中、バカ二人(クウェンサーとヘイヴィア)が口を開く。

 

「「じゃあ、エロ本で」」

「エロ本……。」

「EROHON?」

「エロ本?!」

驚愕する獅子劫とエロ本が何か良く解っていないセイバー。

「お前達そんな物でいいのか?もっとこう、魔術触媒とか、情報とか。」

「そんな物よりもエロ本だ‼」

「そうだ!こちとら見た目が未成年なせいで売ってもらえなかったんだよ!」

「お、おう、そうか。」

あまりの剣幕にたじろぐ獅子劫。

「なあ、マスター。」

「どうしたセイバー、お前までエロ本が欲しいとか言い出すんじゃないだろうな。」

「エロ本って何だ?」

「……。」

「何だよ。」

「お前は、その純粋なままでいてくれ……。」

「はあ?」

「それじゃあ、ちょっとコトミネに連絡して来るよ。」

そう言って電話を手に離れるクウェンサー、残されたヘイヴィアにセイバーが話しかける。

「お前達は何処の英霊なんだ?」

「そういえば俺も気になっていた。小銃を出すわ着ている軍服は調べても何処の物がわからないわ、一体何処の英霊だ?」

「ああ、その話か。」

顎に手をやり、少し考える。

「まあ、特に話しても問題はないか……。」

 

ヘイヴィアが自分たちの真名について説明しているのを横目に、コトミネに電話をかけるクウェンサー。

コール音がなり、三回目で相手が電話に出た。

「もしもし、アサシンですか。帰るのが遅れているようですが何かありましたか?」

「ああ、それが……。」

かくかくしかじか。

獅子劫に説明された事を伝える。

「そうですか、分かりました。」

了承するコトミネ。

「ですが、明日の昼までには帰ってきてくださいね。」

「何かあるのか?」

「ええ、」

少し楽しそうに、コトミネは言う。

「黒の陣営の本拠地、ミレニア城塞へと攻撃を仕掛けますので。」




ありがとうございました。

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