Fate/Object   作:あんぼいな

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五話目です、どうぞ。


七人の小人と杭の森 ルーマニア山中偵察戦Ⅴ

「「ただいまー。」」

教会の扉を開け中に入る二人

「おや、お帰りなさい。先程までセイバーとそのマスターが来ていましたよ。」

礼拝堂に立っていたコトミネが返事をする。

「それならさっきすれ違ったけど。」

「そうですか、では、セイバーも合流したので、此れより聖杯大戦を開始します。」

そう宣言するコトミネ。

「他の方達が奥にいると思うので呼んで来てくれないでしょうか。」

「ああ、その事なんだけど……。」

「何かありましたか?」

「バーサーカーの野郎が敵の本拠地に殴り込みにいったぞ。」

「えっと、本当ですか?」

「一応ライダーとアーチャーが着いて行ってたけど…。」

コトミネにしてもこれは予想外だったようだ。

「そうですか…、では、アサシンは敵地の偵察に行ってくれないでしょうか。」

「ライダーとアーチャーが行ってるし、十分じゃない?」

「いえ、アサシンには彼らとは別の地点からトゥリファスに侵入、そのまま黒の陣営の本拠地であるミレニア城塞を偵察して来てください。」

「此処の防衛とかは?」

「キャスターとランサーがいれば此処の防衛には十分でしょう。」

「「えー!働きたく無い!」」

「いいからとっとと行って来い、我がマスターを困らせるな。」

キャスターが霊体化を解除して言う。

「分かりましたよ。行って来るぜ女帝様。」

「帰ったらイイコトしてくださいよ、ご褒美も無しに仕事なんてできませんから。」

「巫山戯ているのか貴様ら…。」

そう言いながら扉へと歩いて行くクウェンサーとヘイヴィア、

「そういえば、あの車まだ使っていていいのか?」

「ええ、構いませんよ。」

「分かった、壊しても文句は言うなよ。」

そう言って、扉から出て行く。

二人が去ってしばらくして、キャスターが聞く。

「マスター、彼奴らは使えるのか?」

「分かりません、ですが……。」

二人が出て行った扉を見る。

「使えなかったら、それまでです。」

停めてあった車に乗り込むクウェンサーとヘイヴィア、

「クウェンサー、地図寄越せ地図。」

「はいはい、それにしてもこうしてるとオセアニアの時を思い出さない?」

「ああ、あの0.5世代の時か、懐かしいな。」

「それもだけど、二回目のオセアニア派兵の時とか。」

「そういえばあの時、テメェかなり良い思いしてたよなぁ!テメェだけ良い思いしててこのヘイヴィア様には何も無いのっておかしいと思うんだが!」

「日頃の行いじゃない?」

「少なくともテメェよりはいいと思うんだがな。」

「まあまあ、そう言うヘイヴィアも… あれ?」

「こちとらテメェと違ってラッキースケベなんて無かったんだよ!」

キレるヘイヴィア、確かにクウェンサーのラッキースケベは多かった。

「そういえば、当たり前だけどこの時代にオブジェクトって無いんだよね。」

「言われてみれば、オブジェクトと戦わなくて済むのか…。」

「オブジェクトも無いし、偵察だけでいいし、この仕事結構楽なんじゃない?」

「ならとっとと終わらせて美味いモンでも食いに行こうぜ。」

「「じゃあ、行きますか。」

 

そんなこんなで森である。

黒の陣営の本拠地、ミレニア城塞の東側に位置するイデアル森林、ここにクウェンサーとヘイヴィアの二人は到着していた。

「それにしても、割と準備に時間が掛かったな。」

「そうだな、もう夜になっちまったぜ。にしてもテメェ…。」

ヘイヴィアが訝しげに聞く。

「クウェンサー、テメェそんな荷物抱えて森に入るのか?此処は敵の本拠地の隣、トラップもたらふく仕掛けられてるだろ。」

「大丈夫だよ、間違っても一般人が引っ掛からないようにように森の入り口付近にはトラップは仕掛けられていない、それに…。」

自分の背中を指差すクウェンサー、大型のバックパックを背負っている。

「コッチもここにトラップを仕掛けておけば、次にここで戦闘が起きた時にこちらに有利なポイントを作れる。」

「ああそうかよ、その辺りはテメェに任せる。」

「何言ってんだヘイヴィア、お前にも手伝ってもらうぞ。」

そう言いながら森に入る、暫らく歩いて行くと急にヘイヴィアが肩を掴む。

「止まれクウェンサー。」

「どうしたんだよ、虫でもいたか?」

「いや、そこに何か刻んである。」

そう言って地面を指すヘイヴィア、そこには何か紋章のような物が描かれていた。

「うわっ、これ多分トラップだよ。多分踏むと反応するタイプだと思う。」

「気を付けろよ、ここでテメェが引っ掛かかると俺まで巻き添えを食らっちまう。テメェと心中なんて死んでもしたくねぇ。」

「もう一回死んでるじゃん。」

突っ込むクウェンサー。

「それにしても、良くこんなの見つけたね。」

「ああ、多分生前より視力が良くなってる。夜目も効くようになってるしな。」

「言われてみれば確かに、サーヴァントになった影響かな?」

「それしかねぇだろ。」

再び進み出すクウェンサーとヘイヴィア、かなりの距離を歩くと、道の右側が崖の様になっている場所に出た。

「ここなら位置も丁度いい、ここにしよう。」

「そう言っても何を仕掛けるんだ、ワイヤーか?」

「いや、丁度いい所に崖があったからね、これを使おう。」

そう言ってバックパックから折り畳まれたスコップを二本取り出す。

「要はラッシュと戦った時に道を塞いだだろ。それと同じだ。この土壁を崩して敵を生き埋めにする。」

スコップをヘイヴィアに手渡し、バックパックから鉄板を取り出す。

「まずはこの土壁に穴を掘ってくれ、そこに信管を付けたハンドアックスを放り込んでから鉄板で蓋をして、衝撃が穴の奥にいく様にする。」

そう言って土を掘り始めるクウェンサー。

「畜生、土木作業かよ、こういうのは工兵の仕事だろ!俺の本職はレーダー分析官なのに……。」

「でもヘイヴィアが椅子に座ってるイメージ無いんだけど。」

「そりゃあテメェと一緒に最前線に送られ続けたからだよ!」

そんな事を話しながらも、手はしっかりと動いている。

「よし!掘り終わったぞこのヤロウ!」

「お疲れ様、じゃあ入れてくよー。」

穴の奥へとハンドアックスを投げ込んでいく。そして鉄板を固定して、トラップが完成した。

そこから歩きながら要所にトラップを設置していく、地雷の様に爆弾を埋め、ワイヤートラップを仕掛けていく。

また暫らく歩くと、少し視界が通った場所に出る。

「お、あの城じゃないのか。」

「じゃあ、此処から偵察するか。」

そう言って伏せるクウェンサーとヘイヴィア。

ヘイヴィアはライフルのスコープを、クウェンサーは双眼鏡を覗き込む。

「見える見える、結構人が巡回してるな……。」

「おい、あそこに見えるのってゴーレムとかいうヤツじゃないか?」

「本当だ、パワードスーツとどっちが強いんだろう…。」

そんな事を考えるクウェンサー。

「それにしても、楽な仕事だな。」

「本当にね、偵察だけでいいし、オブジェクトも出ないし。」

「ああ、こんな仕事とっとと終わらせて帰るぞ。」

雑談するクウェンサーとヘイヴィア。

「そういえばお菓子持ってきたけど食べる?」

「何でそんなモン持ってきてんだよ、食べるけど。」

「どうせ戦闘なんてしないしね。それに生前は作戦中は消しゴムみたいなレーションばっかりだったし。」

「あれがフラグだった!絶対あれがフラグだった!」

「黙って走れクウェンサー!追いつかれるぞ!」

全速力で走るクウェンサーとヘイヴィア、彼らは大量のゴーレムに追われていた。

「テメェがあんな話始めるからこんな事になったんだよ!」

「ヘイヴィアだって乗り気だったじゃんか!」

走りながら喧嘩する二人、見つかった理由も、女湯ののぞきについて話していた際、それを感知されたといった、バカバカしいものだった。

そして二人は気が付かなかった、別の場所で行われていた戦闘が終了していたことを……。




次からはやっと戦闘です…

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