『聖杯戦争』
万物の願いを叶える「聖杯」を巡り、七人の
だが、冬木で行われていた第三次聖杯戦争。その大聖杯が第二次世界大戦の混乱に乗じて何者に強奪された。
数十年後、魔術師の名門ユグドミレニア一族の長であるダーニック・ブレストーン・ユグドミレニアは、「大聖杯」の所有及び、魔術協会からの離反と独立を宣言した。
そしてダーニック達ユグドミレニア一族は、「黒」の陣営としてサーヴァントを召喚。ルーマニア、トリファスに拠点を置いた。
これを危険視し、何としてでも大聖杯を奪還したい魔術協会は、ユグドミレニアの討伐を決意。「黒」の陣営に対する「赤」の陣営として、魔術師たちを送り込み、サーヴァントを召喚させた…
「と、聖杯大戦の状況はこのような感じですね。」
ルーマニア、シギショアラの山上教会、そこに三人の人影があった。カソックを着た白髪の青年、金髪で線の細い青年、茶髪に金髪の青年と同じ迷彩の軍服を着た青年の三人だ。
「状況は分かったけどなぁ、いい加減自己紹介ぐらいしようぜ。」
そうボヤく茶髪の青年、彼らは、かなり長い間話していたようだ。
「そういえばまだでしたね。 私はシロウ・コトミネと申します。今回、聖杯大戦の監督役兼マスターを務めさせていただきます。」
「じゃあこっちも自己紹介しようかな。」
金髪の青年が言う。
「赤のアサシンとして召喚された、正統王国第三十七機動整備大隊所属、クウェンサー=バーボタージュ。」
「同じく正統王国第三十七機動整備大隊所属、ヘイヴィア=ウィンチェルだ。」
「よろしくお願いします、これからの働きに期待しています。それにしても、クウェンサーとヘイヴィアですか…」
「どうかした?」
「いえ、聞いたことの無い名前でしたので、お二人は何処の英霊なのでしょうか?」
確かに、その疑問ももっともだ。クウェンサーやヘイヴィアといった人物の名前は聞いたことがない。さらに、正統王国と言った国家は存在しない。
「ああ、多分俺達はまだこの時代には生まれていない。」
「と言いますと?」
「つまり、俺らは未来から来たってことだろ。」
「なるほど、未来ですか… 聖杯戦争で召喚が可能な事は知っていましたが、見たのは初めてですね。」
「そういえば、俺達を召喚したマスターは何処に行ったんだ?」
「それでしたら、奥の部屋で休んでおられますよ。会うのは後日にした方が良いかと。」
「そっか、ならそうさせてもらうよ。」
「では、そろそろ他の方達との顔合わせに行きましょうか。」
そう言って、奥の部屋へと歩き出すコトミネ。
「俺ら以外には、何が召喚されているんだ?」
「すでにアーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、バーサーカーが召喚されています。」
「後はセイバーだけか。」
「ええ、セイバーとそのマスターはまだ此方に到着していません、此方に合流次第、聖杯大戦の開始となります。」
「つまりそれまでは…」
「自由にしていただいて構いません、何かあれば、こちらから招集します。」
「よしクウェンサー!ナンパしに行くぞ!」
「やだよ、生前一度も成功しなかったじゃんか」
「一応、神秘の秘匿をしなければならないので、やめておいて頂けると…」
苦笑いするコトミネ、そこからしばらく歩き、一つの扉の前で立ち止まる。
「では、皆さんここでお待ちですので。」
そして、扉を開いた。
「皆さん、アサシンを連れて来ましたよ。」
「遅かったではないか、我がマスターよ。」
奥に座る黒いドレスを纏った女性がそう答える。
「すみません、説明に時間がかかってしまったもので。」
「そうか、ならば仕方ない。」
緑色の衣装を纏った少女が言う。
「あれ?何で二人いるんだ?」
銀の軽鎧を着た美丈夫が問いかける。
「……」
壁際に立っている男は何も言わない。
「ははははは!アサシンよ、共に叛逆を成そうではないか!」
「「キャラが、濃いッ…!」」
入試怖い…