「見ろよヘイヴィア。細部までハッキリと見えるぜ」
「ああ、それに奴ら、俺らが覗いてるって事に気づいてない」
「まったく、これだから覗きはやめられねぇ!」
「全くだ!」
「……。」
「……。」
「やめよう、無理にテンション上げても虚しいだけだ」
「そうだな……」
クウェンサーとヘイヴィアは現在、敵オブジェクトの弱点を探るため、空中要塞から中継された映像を確認していた。
「さてと、それでこれからどうするんだ?」
「さっきから気になっている事が二つある。一つは敵の装甲だ」
「さっきテメェが言ってたヤツか。既存の物と違うだとか」
「ああ、どんな材質で出来ているのか、俺達の持っている中での最高火力、お前の携行型対戦車ミサイルで抜けるのかといった所だな」
「そうかよ、それで二つ目は?」
「主砲についてだ。連続射撃できるのか、装填数はどのくらいなのかとか、そんな感じかな」
「その事で、、少し気になった事があるんだが……」
「何だ?」
「何でヤツは一発撃っただけで引っ込んで行ったんだ?」
「言われてみれば、対策をされる前にそのまま撃ち続ければ勝てたかもしれない。ならば何で……」
「まさか一発しか装填できないってことは無いだろうな」
「そんなわけないだろ、これ見ろ」
そう言って端末を示すクウェンサー。その画面には、オブジェクトを俯瞰している映像が映っているが、
「何かでかいモン積んでいるな、何だこれ?」
「多分主砲の弾薬だと思う」
「はあ?大きすぎるだろ。目測で5メートル近くあるぞ!」
「それが5発だな、一回の補給で5発か……」
「じゃあさっきは何で一発しか撃たなかったんだよ、何発も装填できるならそんだけ撃てば良かったじゃねぇか」
「多分、だけど」
そう前置きするクウェンサー。
「試し撃ちだったんだと思う」
「試し撃ち?」
「ああ、俺達はこの城塞に強襲しに来ている訳だからな。主砲のテストも終わっていない機体を出したのかもしれない」
「そういう事かよ……。」
「もしかしたら機体自体も急いで組み上げたのかもしれない。それならば何処かに不具合が生じる可能性も……」
「そうだったら良いんだがな、そんなに上手く行くもんじゃないだろ」
「ああ、分かっている」
「つまりだクウェンサー、結論を言え」
「現在装填された分まではまだ耐えられるけど、その次、もう一度装填されて撃たれたら……」
「それまでに倒さなければコッチが落とされる、って事か」
「ああ、それまでにどうにかしてヤツを倒さなければいけない」
「まったく、給料も出ないのによ……」
「っておい!画面見ろ!」
そう叫ぶヘイヴィア。そこにはゆっくりと動き出すオブジェクトが映されていた。
「動き出したか……」
「此処からどうするんだ?いくら天才のヘイヴィア様でも直ぐにはアイディアは出ねぇぞ」
「ああ、気になっている事のもう一つを調べようと思う。」
「もう一つ、ってのは装甲の事だったか?」
「ああ、材質とか強度とか、その辺りだな」
「どうやって調べるんだそんな物、オブジェクトにクライミングでもする気か?」
「そんな事自殺行為でしか無いだろ。それにオブジェクトに登るのはもう懲り懲りだ。それよりも楽に分かる場所がある」
「まさか……!」
「ああ、オブジェクトに弾薬を装填していた所、ミレニア城塞の内部。そこに恐らく換えの装甲とかが有るはずだ」
「敵地のど真ん中じゃねえか……」
ありがとうございました。