Fate/Object   作:あんぼいな

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それでは、どうぞ。


踊る阿呆と撃つ阿呆 ミレニア城塞強襲戦Ⅲ

「あれはゴーレムでしょうか?それにしては大きすぎる様な……」

 

首を捻るコトミネ、彼の目は先程砲撃を仕掛けて来た謎の物体(オブジェクト)を捉えていた。

 

「先程の砲撃から動きが無い……。アサシン達はアレが何か分かりますか?」

「「イヤーワカラナイナー」」

「そうですか、しかし……」

 

彼らは現在空中庭園の端に移動し、遥か眼下に存在するそれを観察していた。

考え込むコトミネ、その後ろで、クウェンサーとヘイヴィアはコソコソと話し合っていた。

 

「(おいクウェンサー!なんでアレがこの世界に存在するんだよ!)」

「(知らないよ!まさか、敵のサーヴァントに俺達の世界の人間が……。)」

「(それは無ぇよ、俺らの世界にゃゴーレムなんて存在し無かっただろ!)」

「(それもそうか、そうなるとつまり……。)」

「(偶然あの形になったか……。)」

「(此方の世界で造り方を知った、って事か……。)」

「(なあクウェンサー、俺ちょっと心当たりが有るんだが……。)」

「(奇遇だなヘイヴィア、俺も少しばかり心当たりが出て来た。)」

「(やっぱ"あの時"だよな……。)」

「(ああ、あの時投げた携帯端末の中身を見られたんだろう……。」

「(これ、ばれたらマズイんじゃねぇか?)」

「(ああ、ばれる前にどうにかしなきゃ……。)」

「(特にキャスターにばれたらヤバイぞ、果たして何をされるが……。)」

「(ああ、キャスターには絶対にばれちゃいけない、絶対にだ!)」

思いを一つにするクウェンサーとヘイヴィア、だが、現実はそう甘くは無い。

「(さて、じゃあどうキャスターを誤魔化すかを……。

 

 

()()()()()()()

 

 

ピシッ、と空気の凍る音が響いた。

恐る恐る振り向くクウェンサーとヘイヴィア、そこにはやはり、

 

「いたのか、キャスター……。」

「まさか、今の話……。」

「ああ、聞いていた。」

「ちなみに、何処から……?」

「最初からだ。」

 

それは事実上の処刑宣言。まさしく蛇に睨まれた蛙の様になるクウェンサーとヘイヴィア。

 

「さて、詳しく説明して貰おうか。」

「「あっ、ハイ……。」」

 

 

かくかくしかじか

 

「つまり、だ。」

 

コメカミに手をやり、心底呆れた様に溜息を吐くキャスター。

 

「汝らの落とした携帯端末を拾われ。」

「「ハイ。」」

「そこに入っていた設計図を見られ。」

「「ハイ。」」

「アレが造られた。という訳か。」

「「ハイ。」」

「阿呆か貴様らは。」

「「返す言葉もございません。」」

「まあキャスター、その辺りで……。」

 

キャスターを宥めるコトミネ。その間クウェンサーとヘイヴィアは地面の上に直接正座をさせられていた。

生前にも上官であるフローレイティアに正座をさせられていたが、あの時は床、今回は地面に直接である。

 

「(ヤバイ痺れてきた……。)」

「(我慢しろクウェンサー!此処で動いたらまた何か言われるぞ!)」

「(そうは言っても……。)」

「おい、聞いておるのか?」

「「ハイ!大丈夫です!」」

「……、まあ良い。しかし、此方の魔力から言ってあの砲撃を余裕を持って防げるのも後十回程度だろう。そこでだ。」

「(おいヘイヴィア!何か嫌な予感がするんだが……。)」

「(奇遇だなクウェンサー。俺もだよ!)」

 

遥か下にあるオブジェクトを指差すキャスター。

 

「アレ、貴様らが破壊して来るがよい。」

「いやいやいや、アレの相手はキツいと思うんだが。」

「何故だ?生前何度も破壊したのであろう?」

「いやまあ、そうだけどな……。」

()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()

「アレが終わってませんからね。急いで終わらせます。」

苦笑いしながらコトミネが言う。

 

「いいから行って来るがよい。倒して来るまで帰って来てはならぬぞ。」

そうキャスターは言うと、クウェンサーとヘイヴィアを()()()()()()

 

「「え?」」

 

そしてそのまま落ちて行くクウェンサーとヘイヴィア。普通であればキャスターに蹴られた程度で落ちる様な事は無かっただろう。

だが彼らは正座で空中庭園の縁に座っていた。そこを上半身を押す様に蹴られたのだ。

突然の事に抵抗する間も無く、クウェンサーとヘイヴィアは真っ逆さまに落ちてゆく。

 

「あの女巫山戯んなコノヤロー‼」

「叫んでる場合か!このままだと地面に激突するぞ‼」

「畜生、何時もこんな役回りばかりだ‼」

「いいから黙ってろ!舌噛むぞ!」

 

何秒経っただろうか。クウェンサーとヘイヴィアが地面に"着弾"した。

余りの衝撃に悶えるクウェンサーとヘイヴィア。

 

「ゲホッ!痛ってぇ……。」

「全くだ。生身だったら死んでたぞ!」

「ったく、にしても()()()()()()()

 

辺りを見回すヘイヴィア。だが着弾の衝撃で上がった土煙によって視界が阻害されている。

 

「周りが見えない。爆風で土煙を吹き飛ばすか?」

「辞めておけ、此処は敵地のど真ん中だ。んな事したら直ぐに包囲される。」

「そうか……。」

 

そして土煙が晴れ、見通しが良くなる。

現在位置の約500メートル程後ろには黒の陣営の本拠地、ミレニア城塞が。そして、

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ゾッ‼

背筋が凍る。約5メートル先、オブジェクトが此方を向いていた。

 

「「(なんて所に落としてくれやがったあの女‼)」」

 

クウェンサー&ヘイヴィア対オブジェクト、生前を再現したかの様なその戦いは、絶体絶命の状況から始まった。




ありがとうございました。

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