Fate/Object   作:あんぼいな

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どうぞ、


踊る阿呆と撃つ阿呆 ミレニア城塞強襲戦Ⅱ

始まった。

ミレニア城塞前にて黒陣営と赤陣営が激突する。

赤陣営はホムンクルスとゴーレムの混成編成、対する黒陣営はキャスター、セミラミスの召喚した竜牙兵。

数多の雑兵、その一騎はサーヴァントには遠く及ばない。

あくまで戦争の主役はサーヴァント。黒の七騎と赤の七騎。だが、

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生前、クウェンサーとヘイヴィアが何度も行ってきた行為。オブジェクトを何基も破壊した。撃破した。だが、その全てが綱渡り。奇跡を、悪運を積み重ねた結果。

だから、再び同じ事をしろと言われても、する事は不可能に近い。

だから、そう、彼等がオブジェクトの天敵である様に、オブジェクトも彼等の天敵であるのだろう。

つまり、何が言いたいかというと

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「我が弓と矢を以って太陽神(アポロン)月女神(アルテミス)この加護を願い奉らん。」

 

凛とした声が響く。赤のアーチャー、アタランテが弓に二本の矢をつがえ、天に向ける。

それは彼女の伝説より昇華されし宝具、矢では無く、天に向け矢を射る事こそが宝具。

 

「この災厄を捧げん。」

「『訴状の矢文(ポイボス・カタストロフェ)』‼」

 

矢が放たれた。放たれた矢は天へと昇って行き、そして、

豪雨の如き矢の雨が降り注いだ。

ホムンクルスもゴーレムも、皆頭上より降り注ぐ矢の雨に貫かれ、命を落としてゆく。

 

「露払いは終わったぞ。交代だ!ライダー!」

「応‼」

 

銀色の鎧を纏った美丈夫が立ち上がる。その顔には、隠し切れない喜びが滲み出ている。

空中庭園を飛び出し、空中へ躍り出る。指笛を吹き、呼び出した戦車へと飛び乗る。

 

「さあ開戦だ!赤のライダー、いざ先陣を切らして頂こう!」

「では、行って来る。」

 

それを追う様に、アーチャーとランサーが飛び降りる。

 

「さて、それじゃあ、コッチも予定通りに。」

「上手く行けばドンパチせずに済むんだろ。楽じゃねーか。」

 

ライダー達を見送ったクウェンサーとヘイヴィア。彼らはこの空中庭園の進行を妨げる()()()()()()が現れた際に対応する役目を担っているため、未だ空中庭園にて待機していた。

 

「何も出ないと良いんだが……。」

「大丈夫だろ。サーヴァントが来てもコイツなら防げる。俺らの出る幕は無えよ。」

 

だが、彼らは運命からは逃げられない。

 

中央に強大な玉座のそびえる間、そこでクウェンサーとヘイヴィアは文字通り"観戦“していた。

 

「ライダーの野郎、楽しんでやがるなアレ。」

「通った所、轢死体ばっかりだね。」

 

壁に沿って、空中に投影するように戦場の様子が映し出されている。

 

「アサシン、少しいいですか?」

クウェンサーとヘイヴィアの後ろ、玉座の階段に座っていたコトミネが声をかける。

「どうした?深刻そうな顔をして。」

「啓示が降りました。ルーラーが此方に向かって来ます。」

「ルーラーって言うと、この間話してたヤツか……。」

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「まさか倒して来いなんて言わないよな……。」

「ええ、それは流石に。此度の聖杯大戦では、彼女もまた啓示に導かれている。ゆえに、互いの啓示をどの様に解釈し、どの様に利するか、それが私と彼女の戦いという事になるでしょう。」

「そうか、ならいいけど。」

 

そこでふと、先程から一言も話していないヘイヴィアに疑問を抱いた。ヘイヴィアの方に目を向けると、彼は食い入る様に空中に投影された内の一つ、戦場の全体を俯瞰する様に映したものを見つめていた。

 

「どうしたヘイヴィア、さっきから黙りこくって。」

「なあ、クウェンサー、あれ、おかしくねぇか?」

 

そう言って映像を指差すヘイヴィア。暫く眺めたクウェンサーにも、それが分かった。

まず、ゴーレムの数が圧倒的に少ない。

召喚されて暫くした後、クウェンサーとヘイヴィアはこのミレニア城塞の偵察に来ていた。その際にはかなりの数のゴーレムを確認出来た上に、そこから時間が立っているため、さらにゴーレムが増えていてもおかしくは無い。

だが、この戦場においてゴーレムは要所にしか配置されておらず、全部で15体もいない様に見える。

次に、ミレニア城塞前に、ぽっかりと直径70〜80m程の空間が空いており、ゴーレムもホムンクルスも寄り付かない謎の円形の空間が出来ている。そう、まるで、その空いた空間に何かがあるように。

 

「何だこれ……。」

「ゴーレムが少なくなったということは、その分を何かに使った……?」

「何かってなんだよ。」

「それが分からないから考えてるんだよ。お前も考えろレーダー分析官。」

 

だが、その直後、疑問は氷解する事となる。

 

突如、空中庭園が大きく振動した。

まるで砲撃を受けたかのように。

 

外部の様子を投影していたものも、ノイズが混じり見えなくなる。

 

「なんだなんだ!」

「まさか、攻撃か?」

「落ち着いて下さい、映像が復活します。」

そしてノイズが晴れ、映像が復活する。そして、

「嘘だろ……。」

「なんでコイツが此処にあるッ⁉」

ソレを、目撃した。

 

 

直径50m程の球体状の構造物であり、その右側には余りにも強大な砲が接続され、此方を睨んでいる。後部には巨大な構造物が放射状に生えており、球体表面には無数の砲がハリネズミの様に据え付けられている。

材質こそクウェンサー達の知っている様なものでは無く、黒い岩の様なものに見えるが、その表面には無数に枝分かれした青く発光するラインが走っている。

そんなもの、そんな巨大兵器が、

 

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ありがとうございました。

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