筆者「ま、待ってくれマキ、メテオシャワーは勘弁してくれ。夢の中でマキにボコボコにされたばかりなんだ(実話)」
マキ「はぁ? そんなこといってもワケわかんないだけなんだけど」
筆者「いやマジで、サッカーの試合しててマキにボコボコにされた。初期エイリアとの試合くらいの差で」
マキ「まあ、マキもやりすぎたからそんな夢見たのかもしれないし今回は勘弁してあげるわ」
「あ、あなたは……!」
前半終了直後、ベンチに戻ったオルフェウスのフィディオの前にある男が少女を連れて現れた。
「キャプテン!」
オルフェウスの真のキャプテンヒデナカタである。そして連れてきた少女は影山がかつて行った策略に巻き込まれ、今は影山が金銭的に支援を送ってそのときの償いを行っていた少女だ。
後半には彼が出場する。自身に頼りすぎているチームのために一時離脱していた彼が今のチームならば心配ないと確信をもって現れたのだ。後半の試合は前半より遥かにレベルが上がる。
後半開始、イナズマジャパンは選手の交代なし。
ボールを持ったマキは早々にカテナチオカウンターを仕掛けられた。
「だから、それはマキには効かないっての!メテオ…」
マキが得意気に空に飛び彼女の十八番メテオシャワーを繰り出そうとした瞬間であった。
「とぉぉぉ!」
そのボールを空中でかっさらって言った男……そう、ヒデだ。
「うっそ!?」
ヒデはボールを奪いそのままイナズマジャパンゴール目指してドリブルしていく。ヒロト、鬼道二人でボールを奪おうとするもその卓越したボールさばきに軽く突破されてしまう。
「花瑞気を付けて! 彼のテクニックは次元が違う!」
ヒロトは思わず大声で今まさに対決しようとしている花瑞に伝える。
「わ、わかります…でも、三人なら……スティールルート!」
テクニックトップレベルの選手、フィディオや一ノ瀬からもボールを奪えるこの連携技でならばもしかしたら取れるかもしれない。そう期待したのだが……
「へぇ! 遠くで見るよりよっぽど凄いな!」
そう言いながらヒデは第一波のクララを躱して杏も軽くいなす。返しのクララ、杏、そして逃げ道をひとつだけに絞らせて花瑞の有利な状況にしてボールの奪取を試みたのだが、その状況でさえもヒデはボールを巧みに操り花瑞の頭上を飛び越えて突破していった。
「そんなっ!」
「いい守備だったぜ、あとは彼だけだな」
ヒデはゴールを守る円堂に視線を送る。
「いくぜ! ブレイブショット!」
「イジゲンザハンド改!」
最後の頼みの綱円堂のイジゲンザハンドも破られ、後半開始早々にゴールを奪われてしまった。
これを見て久遠監督は選手の交代を決めた。
FW 豪炎寺 マキ
MF 八神 鬼道 虎丸 ヒロト
DF 吹雪 花瑞 壁山 円堂
GK 立向居
ベンチ クララ 円堂 杏 不動 染岡
ボールを奪うのを諦めてシュートブロックを行って確実にボールを止める作戦に移ったのだ。その要となるのは花瑞と壁山二名だ。
試合再開、豪炎寺が鬼道にパスを出してその間にサイドのヒロト、八神も攻め上がる。
「カテナチオカウンターをさせないつもりだな、鬼道」
フィディオは鬼道のボールを取りに行かずやや後方で待機する。今出れば鬼道はロングパスを出すのだろうと判断したのだ。その予測は当たっているが、だからといってフィディオやヒデが取りに行かなければ鬼道からボールを奪うのは容易ではない。しかし鬼道ではゴールを奪えない。鬼道はバックパスを出して花瑞が受けとる。花瑞渾身のゴッドノウズインパクトを放つが、距離もありシュートブロックも入ったことで簡単に止められてしまった。
ボールはヒデに渡り一気に攻め上がる。花瑞も急いで追いかけ壁山と二人で立ち塞がるのであったが、サイドから駆け付けたフィディオにパスをだし、二人がシュートブロックできる範囲を抜けた地点からオーディーンソードを放つ。
「メガトンヘッドG3!」
しかし、円堂がブロックに入り立向居の魔王ザハンドでガッチリとキャッチ。ヒデ、フィディオの強力な選手から最も離れている左サイドの吹雪にパスを出す。吹雪はグングンと加速してフィールド中央を越えていく。
「虎丸君!」
「はいっ!タイガー」
「ストーム!」
吹雪から虎丸に、虎丸は豪炎寺との必殺技タイガーストームを放つ。
が、これもコロッセオガードの前に破れる。
強い、強すぎる。花瑞のゴッドフラワーと魔王ザハンドの連携でこれ以上の失点は出さないようになっているが、あと僅かというところでゴールが遠い。グランドファイアならば突破できる可能性があるものの、虎丸かヒロトが必ずフィディオあるいはヒデのマークに合うために撃ち出せない。
最後の賭けに出た。久遠監督この試合最後の大幅な作戦変更であった。
FW ヒロト 豪炎寺 虎丸
MF 八神 不動 鬼道 マキ 吹雪
DF 花瑞 黒嶋
GK 円堂
ベンチ 壁山 立向居 不動 クララ 杏
残り五分、超攻撃的ポジションに変更した。負けるならば何失点してもかわらない。それならば、少しでも得点を取れる可能性に賭けるしかなかった。
カテナチオカウンターを不動鬼道のキラーフィールズで突破してボールを豪炎寺へと繋ぐ。
しかし虎丸にヒデのマークが付いている。
「豪炎寺君!」
「クロスファイア!」
吹雪が駆け付けてクロスファイアを繰り出す。
「ゴールは、やれん!バーバリアンの盾!」
俊足のディフェンダーベントのシュートブロックで威力が削がれる。さらにコロッセオガードで防がれるがボールは誰のものにもならず空中を彷徨う。
「くっ!」
「まだホイッスルはなってないじゃない!」
マキ、ヒロトがボールを取ろうとジャンプする。そうはさせないとヒデとフィディオもジャンプする。花瑞も駆け付けるが今からでは間に合わない。
「なにか力を……え、えい!」
花瑞は自身のエネルギーをグラウンドに送り込む。そのエネルギーはヒロト、マキの足元から勢いよく現れて二人を乗せる。
「なに!?」
「こ、こいつは!?」
「え!?」
「花瑞!?」
四名共々驚かされるが、これにより勢いよくボールに向かって加速したヒロトとマキ二人でシュートを放つがあまりに唐突な事態に肝心なシュートの威力が伴わなかった。
シュートは止められ、ホイッスルが鳴り響く。
「はぁはぁ……負けたの?」
花瑞は呆然と立ち尽くす。
「イナズマジャパン、熱くなれる相手だった……それにしても最後の……決勝でまた相手したいものだ」
ヒデは満足そうにフィールドを去る。
「次は負けないぞ!な?みんな! なぁ、フィディオ!決勝で戦うときは絶対勝つ!それまでに今よりさらに強くなって次は全部のシュートを止めて見せる!」
「マモル…あぁそうだな。決勝で会おう」
円堂は燃えていた。その炎が負けたことへのショックを受けている仲間に飛び火して再び戦う気力を燃え上がらせた。
その頃、試合が終わり会場を後にしていた観戦者の塔子とリカは怪しいアイテムを手に入れていた。
リカ「ちぃーす!」
塔子「へぇ!ここが例の場所」
八神「さらに人が増えた、それよりその手に持ってるのはなんだ?」
リカ「これか? なんか怪しげなやつ渡してきたんや」
クララ「そんなもんを持ち歩くとか控えめに言って幼稚園児より危ないな」
杏「ネットリテラシー崩壊してそう。実名で顔さらしてイナスタやってそう」
リカ「さすがに実名ではやらんわ! イナスタの名前はカーリーにしてるでぇ」
八神「ほぼ実名じゃないか」
クララ「ちなみに杏はレアンにしてるし八神はウルビダにしてるよ」
八神·杏「なぜそれを!?」
クララ「ショルダーハックしてたから。ちなみに私はやってない」
塔子「ふぅーん、じゃあこの裏垢女子は誰かな?」
クララ「………! そ、それをどこで」
塔子「わたしの推理力かな?」