ヒロト「今回は立向居、クララ回とのこと」
円堂はここ世界の主要選手と既にサッカーを通じて知り合いになっていた。特にイタリア代表のフィディオとは既にお互い友達といった感じであった。そんなイタリア代表に今危機が訪れていた。
監督の交代、新たに就任したミスターK、そして新たな代表チームK。無理矢理にオルフェウスを引きずり下ろそうとKお得意の工作により九名の選手が怪我を負っていた。
チームがピンチのときに鬼道のような人物をイタリア地区でみたという噂も合わさり、円堂、鬼道、佐久間、不動はフィディオとコンタクトを取っていた。
その頃、花瑞はというと──
「はぁはぁ……おねがいします!」
「いくっすよ!」
立向居は宿舎前の練習場とは別の場所にて壁山、クララ、小暮、早くも復帰直前でリアビリがてら同行している杏、マネージャーの音無と共に特訓を行っていて。ムゲンザハンドを越える必殺技を開発するためにであった。
「やっぱさー、私達のシュートじゃ足りないでしょ。花瑞呼んでくる」
一年、特にディフェンス組だけで頑張ろうと息巻いていた音無の提案で最初は近くにいたメンバーで集まっていたが、やっぱり花瑞を巻き込もうとクララは探しにいった。
「お、いたいた。花瑞どうした? 深刻な顔して」
「円堂さんたちが言ってたんですけど、影山が出たかもしれないって」
「影山? おばけか何か?」
「あっそうか、クララは知らないよね。影山って人のこと。円堂さんたち雷門、鬼道さんの帝国、そしてわたしとお兄ちゃんとも強い因縁がある相手なの」
「それで……何に困ってるの」
「イタリア代表が狙われてて、代表の座を奪われそうなんだって。それで人も足りなくて円堂さんたちが助けようとしてるんですが」
「ですが?」
「わたしも、行くべきかなって」
「人手は円堂達で足りてるの?」
「はい、だから私がいく必要はないし……」
「なんで行きたいの?」
「そ、それは聞きたいことがあるから」
「ん、なら簡単。円堂達に頼んで耳でも引っ張って花瑞の前まで連れてこさせりゃいいよ」
「え、でも」
「花瑞が悩んでるのってどうせ私怨で行くような行為にためらいがあるとかでしょ。人数が足りてるからいい理由もないし。ならこっち手伝って、立向居の特訓に」
「ん、そうだね。手伝うよ」
「で、頼みがあるがけど……」
クララは特訓場所に戻るまでに花瑞に作戦を伝えた。
「というわけで、まずは花瑞のゴッドノウズインパクトを止めてみて」
「わ、わかりました!」
手筈通りシュートを撃つ。立向居はムゲンザハンドを使わないで止めようとするが当然止められない。
「あーー、もう。ちょっとどいて」
クララは立向居をゴールからどかして自分がゴールに立つ。
「さーて、撃って頂戴」
「い、いきますよ? ゴッドノウズインパクト!」
「アイスブロック!」
クララはアイスブロックでガッチリと止めてしまった。
「す、すごい」
「感心してる場合じゃないんですよぉ立向居ぃ。本職ディフェンスのぉ、わたしにでも止められるようなシュートなんだから、そんなのも止められないよわよわキーパーさんだったら、ゴールキーパーの座をもらっちゃうよぉ?」
クララは立向居にだけ聞こえるように耳元に囁き声でそう煽り、さらに続けていく。
「悔しくないのぉ? 言いたい放題言われてさぁ まさかぁ、クララの罵倒で満足したりしてないよねぇ? ねぇ?答えろよ」
「ま、満足なんてするわけないじゃないですか! お、俺だってゴールキーパーの意地があります! 見ててください!」
立向居を奮い立たせたクララは計画通りとニヤリとしてゴールを譲る。
「花瑞さん! もう一度お願いします!」
「わかった! ゴッドノウズインパクト!」
「うぉぉぉぉぉ!」
立向居の背中から禍々しさを持った力強いオーラが見える。しかしまだ不完全。止められなかった立向居の顔面に全力のゴッドノウズインパクトが直撃して気絶してしまう。
「だ、大丈夫!?」
次、立向居が目覚めたのはベッドのなかであった。
「やっと起きたか」
「く、クララさん」
目覚めるまで看病していたのだろうか、クララの横には漫画が何冊も積み上げられていた。
「惜しかった。怒りのパワーでいいところまで言ってたのに」
「うっ、すいません」
「しょげるな、もっと悔しがれ。それが次の進化の鍵になるはず」
「は、はい!」
次の日、円堂達四人はイタリア代表を助けるために宿舎を後にした。花瑞はそれを見送り、立向居の特訓に合流した。
「さぁ、今日はこそ完成させましょ! 明日にはジ·エンパイアとの試合ですから!」
杏「思春期の中学生をねじ曲げるつもりかお前は!」
クララ「あいつは遊び甲斐あるし、思惑通り進んだからノーカン」
八神「今後立向居に変な様子あったら責任取れよ……」
クララ「ざぁこざぁこ♡」
八神·杏「やめろ!!!」
マキ「ざぁこざぁこ」
八神·杏「お前まで悪ノリするな!!」
クララ「ちなみに私が花瑞にお願いしたのは私に撃つときは威力だけは手加減して私でもあたかも全力の花瑞を止められるって思わせて闘志を燃やさせるため」
マキ·八神·杏「急に真面目になった!?」