ヒロト「まあハイペース過ぎたし多少はね」
マキ「ヒロトは許そう、でもマキが許すかな?」
筆者「待て、ボールを宙に蹴るな!」
2-1で前半が終了し、得点上は有利なイナズマジャパンは選手の交代はなくそのまま後半戦に臨むことになった。しかし必殺タクティクスに無策ではない。鬼道は戦術を考案してその作戦を共有していた。一方円堂は、エドガーのシュートをゴールに入れさせないためのヒントとなるピースをいくつか集め、頭のなかに新たな必殺技のイメージが組上がりつつあった。
後半開始、豪炎寺がボールを受け取り攻めようとするがアブソリュートナイツによりボールを奪われ再び無敵の槍で攻め込まれる。
「今だ! 全員離れろ!」
イナズマジャパンは中央を開けるように移動する。無敵の槍は構わず前に進む。
「よし、いけ!」
無敵の槍が解かれた。その瞬間目の前にいたのは花瑞と壁山だった。壁山がタクティクスの解かれたエドガーからボールを奪う。作戦が成功したと思った次の瞬間、エドガーが執念でボールを奪い返した。花瑞がエクスカリバーの瞬間を再び狙うが今度は違う技であった。
「パラディンストライク!」
エクスカリバーと違いシュート前に隙がない技に花瑞は対応できず、円堂も新必殺技を完成させられず同点に追い付かれた。
まだ同点だ。イナズマジャパンのボールから試合が再開。今度は後ろにいる鬼道へとボールを下げてアブソリュートナイツ対策のタクティクスを仕掛ける。鬼道を中心にした円と、八神を中心にした三人の回る円が交互にパスを出しながら前進していく。ボールは最終的に八神に渡り、シュートを狙うのに充分な距離まで持ってこれた。
「いくぞ!」
「させるか! ストーンプリズン!」
ディフェンスのランスロットンによるディフェンス技が八神からボールを奪おうとする。八神はマキへとパスを出し回避するが、マキとヒロトの二人と分断されてしまった。
「これであの技も使えまい!」
「ふっ、それはどうかな」
「なに!?」
新必殺タクティクスの、デュアルタイフーン八神側に加わっていたもう一人の選手、花瑞がマキと合流する。
「今度はこれだ! ガイアブレイク!」
ヒロト、花瑞の三人で放つガイアブレイクもスーパーノヴァに劣らない威力で突き進む。
「させるかっ! エクス……カリバー!」
ここまで戻ってきていたエドガーがボールに対して剣を振り下ろす。ギリギリと足を前に振り下ろし、限界ギリギリのところで弾き返すことができた。反発による威力は凄まじく、壁山のザ·マウンテンによるブロックがあっても通常のエクスカリバー以上の力が残っていた。
「あとは任せてくれ! やぁぁ!」
円堂は右手にエネルギーを集中して地面へとその力を叩きつける。エネルギーは球状に広がり、ボールはその上を滑るようにしてゴールの上を飛んでいった。
「な、なんだと?」
「す、すごい……シュートを外させた」
監督の久遠は残り時間を見て壁山を下げて虎丸を入れ、フォワードを三人体制に変えた。選手交代のために少しだけ時間が出来た花瑞はゴールキックを行う前にどうやって思い付いたのか尋ねてみた。
「杏と花瑞、それと実はじいちゃんのお陰なんだ」
「わたしと、杏ちゃんとおじいちゃん?」
「あぁ。杏がアフロディのシュートを守ってくれたり、花瑞がそれをヒントにより答えを明確にしてくれた。そしてじいちゃんとさっき会ってさ。なんかこう、頭の中でピースが揃った感覚でさ!」
花瑞はどんなところからでも技のヒントを得る円堂のサッカー脳に改めて感心した。ゴールキックで花瑞がボールを受け取ると、再びデュアルタイフーンでイナズマジャパンが攻め上がる。
「マキ!」
最後にマキにボールを渡す。マキ、ヒロト、ウルビダの三人が集結しマキ中心のガイアブレイクを放つ。
「今度こそは……エクスカリバー!」
しかし、またもエドガーがエクスカリバーでこれを弾き返そうと立ち塞がる。
「また!? マキ、マジでアイツ嫌い!」
「うぉぉぉぉ!」
エドガーのエクスカリバーがまたもガイアブレイクを弾き返した。
「わかってましたよ! ゴッドキャッスルV3!」
それを見通していた花瑞は全力のゴッドキャッスルで立ち塞がる。
「ば、バカな……」
エクスカリバーを封殺した花瑞だが今の必殺技でヘロヘロになっていた。駆け寄ってきた黒嶋にボールを託し、黒嶋はサイドから攻めてセンタリング。今度もマキが受け取った。
「マキ、わたしに考えがある。ガイアブレイクをするが……ゴニョゴニョ。ヒロトもわかったか?」
「OK」
三人はガイアブレイクを三度放つ。それをまたエドガーが利用しようとしたとき、ボールはゴールではなく全くの別方向に威力を弱めながら進んでいく。
「土壇場でシュートミスだと?」
「いいや、違うさ」
それたボールの先には虎丸。シュートではない、パスであった。エドガーによる妨害も出来ない位置にいる虎丸は新必殺技を披露した。
「グラディウスアーチ!」
このシュートが決定打となりイナズマジャパンは3-2で世界大会初戦を勝利した。試合後、コートを出る前にエドガーがイナズマジャパンメンバーに声を掛けに来た。
「完敗だ円堂君、花瑞君。最大限のエクスカリバーを止められてしまった」
「へへ、でもエドガーのシュートさすがだったぜ、やっぱ世界はすげーや!」
「わたしも、後先考えず全力でなんとかって感じでしたし何度もあの技を撃てるエドガーさんはすごいですよ」
「それと、皇君に八神君、基山君の三人。最後のはやられたよ」
「どうも、だが次は正々堂々と突破させてもらう」
八神は少し得意気に答えて握手をした。
「マキ、あんたのことまだ嫌いだけどちょっとは認めてあげるよ」
「ふふ、手厳しいな」
世界大会は始まったばかり。その頃、イタリア代表に忍び寄る怪しい影があることなど花瑞達は知らないのであった
クララ「ボーーー」
八神「出番がなかったからって随分と気が抜けてるな」
クララ「違う違う、これは脳を休ませているのだよ」
杏「全く、こっちは怪我のせいでベンチにも入れないのに」
クララ「じゃあ杏もやろうよ。ボーーー」
杏「やらない!」