試合は後半残りわずか、蓮君を除くダークエンペラーズの皆が元に戻ってくれた。
蓮君は、絶対私が救ってみせる!
試合再開、シャドウさんが染岡さんにボールを渡すと、吹雪さんがそのボールを奪った。
「させるかよぉ!」
吹雪さんがボールを奪ったその直後、センターサークルラインギリギリで待っていた蓮君が吹雪さんからボールを奪った。
そのまま蓮君は一人で鬼道さん達を突破してきた。
私は蓮君と一対一の状況になった。
蓮君はフェイントで私を抜かそうとするが、私も必死でその動きに付いていった。
「行かせないよ!」
「ちぃ!お前も今のでわかったろ?エイリア石が無くなった途端に、染岡さん達は手も足もでなくなったじゃないか!」
「それがどうしたっていうの」
「俺らみたいな才能の無い奴は、悔しいがこうでもしないと勝てはしないんだ!」
「そんなことはないよ!エイリア石で引き出せるのは自分の限界まで、その力はいつか出せる蓮君の力なんだよ!」
「いつかっていつだ?その頃にはお前はもっと先に行くんだろ?それじゃ変わらないんだ!エイリア学園だってこの力で実力を底上げしてたんだろ?イプシロンやジェミニストームの本当の実力で最初から勝てたのか?」
「それは…」
「勝てなかったんだろ?」
「それはわからない…もしそうだったとしても、私にわかることがひとつある」
蓮君のからボールを奪う。そして一気に抜き去ろうとする。
「マキちゃんは、エイリア石の力に頼らなくてもジェネシスと戦える力を努力で得ていたから、私達だってその限界の力にたどり着ける!」
蓮君を追い抜けるかと思ったものの、恐ろしい執念で追い付いてきた。
「限界までいってその実力なら、もうどうしようもないじゃないか!」
「今の限界は確かにそこかもしれない。でも、人は何回でも殻を破れる。限界は何回でも私達の先で待っている!だから少しずつでもいいからそこに向かうの!」
「俺は今力が欲しいんだ!そんなゆっくりなんてしてられねぇ!」
「蓮君は蓮君らしくいればいいの。焦ることなんて無い、ゆっくり、たまに急ぎ足になっても、歩き続ければ前に進み続けられるんだから!」
この時、周りからは私の背中から生えた天使のような羽が蓮君を包み込んでいるように見えたらしい。
その羽に包まれた蓮君の心は動いた。
「そうか…なら、前に進ませてもらうよ。花瑞」
私は再びボールを奪われた。その時の蓮君の顔はとっても晴れていた。悩みや焦りなんて感じない爽やかな顔をしていた。
「円堂さん!俺の今できる全力のシュート、受け取ってください!」
「おう!来い荒城!!!」
「ブリザード……キャノン!!」
「マジン・ザ・ハンド!」
「ふぅ…止められたか。やっぱまだダメか~」
「いいシュートだったぜ荒城!」
「よーし!頼むぜ花瑞!」
円堂さんの投げたボールをしっかり受け取った私は、半田さん、松野さんを抜き、DF全員のブロックを突破した。
「弓矢君!これが私の今の全力!限界の力!ゴッドノウズ!」
「こい、俺の限界…いやその先の技……レイン・オブ・アロウズ!」
弓矢君から放たれた弓は空中で大量の矢となってボールに降り注いだ。名前の通り矢の雨、凄まじい威力だった。
「あちゃ~ここで決めないと格好つかなかったんだけどなぁ…」
「GKは空気を読むものじゃない」
弓矢君はボールを蹴って前線に送り出した。
「ったく、ならこれで締めさせてもらう!」
そのボールの落下地点の上空、黒嶋さんがボールをさらっていった。
「豪炎寺、行けるか!」
「ああ!黒嶋さん!」
「フレイムストリーム!」
この試合を締め括ったのは、雷門中エースストライカー豪炎寺さんと、黒嶋さんだった。
皆の心は解放され、剣崎も鬼瓦さん達に逮捕された。
「これでハッピーエンドってわけだな!」
「そうだな」
私達は皆に別れを告げ、それぞれの故郷へと帰っていった。
蓮君と弓矢君そして私は、母校に帰ってきた。
学校は綺麗に修繕されており、司君達が出迎えてくれた。
「蓮~、弓矢~お前らもずいぶんとやったじゃねぇか~テレビで見てたぜ~」
「ははは、あれテレビに出てたんだ」
「まあ、あの調子でこれからも頼むぜ~!」
気まずそうな話題も楽しげに振り向けるのは笑太君の凄いところだ。
その空気の勢いで二年生の先輩達がやめたことを告げられたときはびっくりしたけど…
笑太君のおかげで和やかな雰囲気で再会できたからいいかな?
「さあ、鬼怒川中サッカー部、再始動だ!」
「「おおー」」
一年生だけとなった鬼怒川サッカー部、私達がこの部を盛り上げないとね!
マキ「とりあえず2完結おめでとー」
筆者「一度生まれたアイデアが、途中で転げ落ちたからこれじゃない感があるエンドになってしまった」
マキ「まあそう言わずに、ところで3はやるの?」
筆者「そのつもりだ。あと大人編も少しやりたい」
マキ「まあ、頑張ってね。もし失踪でもしたら、私が見つけ次第メテオシャワーで完膚なきまでに叩きのめすから♪」
ヒロト「果たして筆者の目標は到達できるのか?これからもよろしくお願いします。」