目が覚めたとき、私の前に福耳の男性がいた。
「この娘が花瑞か、なるほどヒロトが惚れるわけですね」
「貴方は、誰ですか?ここは何処なんですか?」
目の前の男性から逃げようとしたが、手足は鎖で拘束されてて動けそうになかった。
「ここは星の使徒研究所、そしてその御方は吉良星次郎様だ」
横から現れたのはもう一人の男は肌が青白い長身で細身の男だった。
「研崎君、あれの用意は出来ているのか?」
「はい、いつでも使えます」
「ならばよろしい。花瑞君、君にエイリア学園の選手になって欲しいといったらどうする?」
「勿論お断りです!」
「わかりました。研崎君あれを持ってきなさい」
研崎という青白い肌の男性が持ってきた物は、無数のコードやチューブが繋がったヘルメットのようなものだった。
「エイリア石の力を応用し、人の心を操作する能力に特化させ生れた洗脳装置、これで貴女を変えさせてもらいます」
逃げたいけど逃げられない。せめて、この鎖が取れたなら!
「花瑞ぃ!」
聞き覚えのある声が私の名前を呼んだかと思うと、突如ボールが飛んできて私を拘束していた鎖を破壊した。
「御父様、これはどういうことですか!」
「お前がいけないのだぞヒロト、恋心にこの計画を邪魔されるわけにはいかないのでな。こちらにこの娘を引き込めばいいということになったのだよ。なぁ研崎君」
「そう、吉良様はヒロト君の為にやってくださっているのだ」
「その装置のことも知っているぞ!俺はそんな物で花瑞が仲間になっても嬉しくない。嬉しいはずがない!俺の好きな花瑞ちゃんは、サッカーをしているときのあの輝いた瞳、サッカーをしていないときのあの触ったら壊れてしまいそうな尊さ、そういうところにあるんだ!その装置を使えば、その人の精神は死んだも同然だ!」
ヒロトさんの熱弁に若干恥ずかしくなりつつ、私はどこか逃げ道は無いかを探していた。
「花瑞ちゃん!後ろにドアがある!ドアの外には俺が呼んだ護衛がいる!その人と逃げるんだ!」
「はい!」
私は走った。後ろから待てという言葉が聞こえたが構わなかった。ドアは自動で開いた。
「遅いんだから、早くしないと逃げ場が無くなっちゃうよ!」
この声は…
「マキュアちゃん!」
「ふふん、とりあえず話は走りながらでお願いね!」
「あっ、あとマキュアにちゃんは付けないで!」
「わかったよマキュア!」
「ところで、イプシロンは消されたんじゃなかったの?」
「あんなの演出よ演出!ジェミニもいるわよ!」
マキュアは曲がり角に着く度に周囲を警戒しながら何があったかを話してくれた。
「驚いたわ、敗北したチームはまた使えるようになるために地獄のようなトレーニングを強制的に行うんだけど、さっき突然グラン様が現れてね。君は花瑞ちゃんと縁があるようだから、助けるのを手伝ってくれって行きなり言われたの」
マキュアの話によるとヒロトさんは本当に私の為に頑張ってくれているらしい。
「で、マキュアは花瑞を雷門に帰すための駒にされたって訳なんだけどね。もう戻る場所が無くなっちゃったんだよ」
私の脱走を手伝うことはエイリア学園を裏切ったことになる。
「シンニュウシャハッケン」
「しまった、見つかった!」
マキュアが警戒していたのはこれだったのか。
人のサイズのロボット。こんな技術力があるなんてそれだけでも驚きである。
「メテオシャワー!」
「ズガガ、シンニュ…ウ…」
マキュアは力業でロボットを止めた(壊した)
「今のロボットがうじゃうじゃいるから、下手に動けないの。私のデータは消されたようだから顔パスもできないし…あームシャクシャする!」
ヒロトside
「やってくれましたね、グラン」
「研崎、お前がお父様に唆したんだろ!」
「さあな、それより君にこれを使うことになるのが残念だ」
あれは、さっきの洗脳装置
「くっ!やめろ!」
「ジェネシスを乱されては困るのでな!」
「うわぁぁぁ!」
マキュア「やるじゃない!マキュアの出番がこんなところで来るなんて!」
筆者「そりゃずっとここに意味もなく置いておくわけ無いだろ?」
ヒロト「俺の待遇ちょっと悪くない?」