アフロディに妹がいた!?   作:ゆーこー

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筆者「昨日と言うか今日まで仕事ぶっつづいててとてもじゃないけど書ける時間がなかった」

マキ「はいはい20時間くらいのお仕事お疲れ様。さすがに可愛そうだからやめとくわ」

ヒロト「よかったね、今日は無傷だ」

筆者「いやメテオシャワー分のダメージを負ってるから免除なんだわ!」


最後の力

 同点に追い付き後半戦も残りは半分を切った。勢いは完全にエリカから花瑞達に移りつつあるがそれでもなお何かひとつエリカが立て直すきっかけがあればすぐに負けに繋がる状態が続いている。エリカの動きは精細さを欠いてきたがその変わりに凶悪さが増していた。

 

「堕天の烙印!」

 

ヒロトからボールを奪ったエリカはキーパーを残して全員が前に出た。何かが始まるのだというのはここにいる全員が察することができた。

 

「必殺タクティクス……破壊天使の制裁!」

 

五人のエリカが飛んだ。残りのメンバーが花瑞達を通過するようにシュートの威力でボールを出して敵に直撃させる。ボールは上に飛んで上空からエリカが更に他の選手にボールを振り下ろす。フォワードから一人一人確実に攻撃していきゆっくりと前に進んでいく。

そしてクララ、花瑞、三国以外が全員倒れてしまった。

 

「ここまでやれば充分ね、喰らえ! 破壊天使の逆鱗!」

 

もう確実に得点が入ると思ったエリカがシュートを放つ。花瑞とクララがシュートブロックをしたがやはり止められない。

 

「絶対に止める! 絶ゴッドハンドX! うぉぉぉぉ!」

 

気合いは十分、しかし力が足りない。

 

「(くそ! もう打つ手は無いのか……いや、手ならある。俺にはまだ左手が残っているじゃないか!) 左手だけ、無頼ハンドぉぉ!」

 

残っていた左手で無頼ハンドの形を取って更なるパワーアップを行うが、それでもまだ止められない!

 

「(くっ、止めなきゃダメだ! だが、両手も使ってこれ以上は……)」

 

『諦めるな!』

 

三国の心の中に誰かの声が直接届く。その声の主はロココであった。三国は一瞬ベンチに倒れているロココを見るが意識は失ったままだ。これは彼のゴールを守るという魂が叫んでいるのかもしれない。

 

「そうか……両手でもダメなら……やってやる! 見てて下さいロココさん! うおぉぉぉぉぉ! タマシイザハンド!」

 

なんと三国は両手の間からさらに魂からエネルギーを出して第三の手を作り出し見事最強シュートを止めた。

 

「さ、三国さん……!」

 

花瑞とクララがよろけながら立ち上がりボールを貰おうとする。しかし、パスしたボールは無情にもエリカが奪い去り、再び必殺タクティクスの構えを取った。

 

 

「こんなやり方じゃ…止めないと」

花瑞はエリカ達の次なるターゲットがクララに決まった瞬間にそのボールが到達するより前に割って入ろうと力を振り絞る。

 

「勝利の女神ニケ…アームド! 間に合って!」

 

花瑞の背中から三対の純白の翼が羽ばたいて加速する。間一髪のところでクララを翼が包み込んでボールからその身を守った。

 

「すまない、助かった」

 

「よかった……間に合ったぁ」

 

「スゴいなその翼、あのシュートを防げるのか」

 

「そ、そうだね。咄嗟だったから上手くいって良かったよ」

 

止めたボールは花瑞が持っていた。奪い返そうとエリカが恐ろしい形相で睨んでいる。

 

「花瑞ぃぃぃ!」

 

エリカ本人が堕天の烙印を、デュブリのエリカがゴッドルーツで逃げ道を完全に塞いだ。

クララが見た花瑞の横顔には覚悟を決めた眼が映っていた。澄んだ瞳に寄せられた眉、真剣な眼差しで彼女が見ているのは一体なんなのか、クララにそれを考える余裕はない。このままなら二人ともスクラップだ。ヘブンズタイムが仮に通じたとしても自分は助からない、最悪花瑞だけでも助かるならそれでもいいかと諦めもあった。

だが花瑞の行動はクララの想像を遥かに越えるものであった。

 

「なっ…なに!?」

 

エリカのゴッドルーツを全て翼で凪払い、クララを連れて堕天の烙印落下地点から離脱することに成功したのだ。

 

「は、花瑞……何だその頭のは?」

 

花瑞の頭の上に子供が作ったりするような花の冠が女神や天使にある光の輪のように浮いていた。

 

「なんだろうね、私にもまだわからない。でも、今までより力が出てくる。皆を助けるための力なのかもしれない」

 

「皆を助ける力か、なら私はもういいから他の皆に分けてやれ」

 

「うん!」

 

花瑞はクララを下ろしてあげるとボールを持ったまま上空に舞い上がった。

 

「女神の加護!」

 

花瑞が天に向かって手を伸ばすと後光が差し、そして倒れていたマキたちにゴーストミキシマックスのように力が分けられていった。

 

「これは……花瑞?」

 

マキはその暖かく自分を支える力に驚きながら立ち上がる。

続々と倒れていた仲間が立ち上がり花瑞と共に攻撃に参加する。

 

「やらせるか、やらせるかぁぁ!」

 

エリカ達のディフェンスを花瑞達は難なく躱していきシュート態勢に花瑞、アフロディ、ベータ、マキ、ヒロトの五人が同時に参加可能な状態になった。

 

 

「みんないくよ!」

 

「任せなさい!」

 

「やらせるかぁぁ!」

 

エリカが堕天の烙印を同時に二個発生させて五人の連携を絶とうと目論む。

 

「これはこの五人だけじゃない、一緒に戦ってくれたみんなの思いのボール! ジ·アース!」

 

かつて放たれたジアースとは比べ物にならない人数の思いが込められたボールを五人が代表してシュートする。

 

「未来を取り戻す! いけぇぇ!」

 

「俺達の未来への一歩はここからなんだ!」

 

「マキ達が新たな歴史の一ページ、作って見せるんだから!」

 

「花瑞、君は本当に良い友を沢山持った。兄としてこの一撃に加われることを誇りに思うよ」

 

 

 

「ふざけるな! 必ず止める! ゴッドフラワーイロウション! ぐっぐぐぐ……ぐぁぁぁ!」

 

「真ゴッドフォートレス! あぁぁぁぁ!」

 

遂に後半残り僅かなタイミングで花瑞達は勝ち越しに成功した。

だがまだ終わりではない。花瑞はまだしなければならないことがあるとセンタートップにポジションを変更した。

 

「まだだ! まだ試合は終わってない! 今からまたお前らに地獄を味あわせる!」

 

エリカは錯乱しながら宙に舞い上がる。真っ黒な翼から更にオーラが溢れだしている。そのままボールを蹴ろうとするエリカを止めるために花瑞も白い翼を羽ばたかせて飛び上がった。

そして、世界を黒く塗りつぶすエリカをまるごと包み込むように翼で包容した。

 

「なっ!? な、何の真似だ」

 

「怒りに捕らわれちゃ大切なものが見えなくなっちゃう。落ち着いて……エリカちゃん」

 

翼に包まれた二人だけの空間でエリカは花瑞と身体が触れあう。

 

「な、なんだよこの暖かさは! お前と触れてる身体からじゃない、なんで私の内側からこんな感覚がするんだ!」

 

「それはね、エリカちゃんの中にある優しさなんじゃないかな?」

 

「優しさだと? 笑わせるな! そんなもの私にあるはずが」

 

「ううん、誰にだってあるものなんだよ。どんな人にもやさしい心はあるの」

 

「私は違う!」

 

「ねぇ、他の世界をわざわざひとつずつ消していったのは心の何処かで自分が納得のいく結末が何処かの世界にはあるかも知れないって…思ってたからじゃない?」

 

「それは……」

 

「エリカちゃん、生まれたときからずっと独りだった。私達の生活を観ることは出来たからどんなことをしたかってのは分かるかもしれないけど、目に見えないものはわからなかったんじゃないかな?」

 

「………」

 

「それに、助けてもらうってことも知らないんじゃないかな?」

 

「……うん」

 

「誰かに助けてもらう方法も知らなかったんだよね。だからこんなやり方になっちゃった。でも何かあるかもしれないと信じて最後のひとつの世界になるまでひとつひとつ絶望しながらも見てきたんだよね?」

 

「なんでそんなことまで……」

 

「私も絶望したことがあるし、怒りに身を任せてしまったこともあるから……かな」

 

「じゃあ何よ……あんたが私を救うってわけ?」

 

「私一人じゃないよ? エリカちゃん自身も含めて皆でやり直せばいいんだよ?」

 

「これだけのことをした私をあなたは許すつもりなの?」

 

「過去の過ちは消えない。それはエリカちゃんも言ってた通りだと思う。でも今から先は変えられる。悪いことしたならその分これから優しく生きてくれるなら、いつかは皆納得してくれるかもしれない」

 

「なら、わたしを一人にしないで……」

 

「わかった。エリカちゃんが大丈夫になるまで一緒にいてあげるよ」

 

エリカは無言で花瑞の胸に顔を埋めて涙を流した。花瑞はエリカを優しく抱き締めてゆっくりと地面に降りていった。

 

「やれやれ、どんなことをしてたのやら。丸く治めちゃいましたか」

 

ベータはその姿をみてそう言った。だがこれで未来が生まれたのだと、新しい世界の夜明けを見るような気分だった。

 

「丁度試合も終了。マキ達の勝ちだしエリカもあの様子じゃ暴れなさそうだし完全勝利ね!」

 

「そうだな…デュブリも消えたようだしな」

 

クララもデュブリが消えたことでこれ以上の驚異は無いのだと安心した。

 

「花瑞は本当にいい子だ。あの笑顔を絶やしたりでもしたら天罰が下るだろう。君はどう思う?ヒロト君」

 

「あぁ、その通りだと思いますよ。だから俺は、彼女の笑顔を守りたい。誰よりもすぐそばで」

 

「ふふ、花瑞の兄として応援しているよ」

 

 

戦いは終わった。未来に平和が訪れた。彼女達の日常が取り戻されたのだ。

 

 

 

この日から世界を消し去る力を持った少女エリカは過去に行き、花瑞との社会勉強を兼ねた同居生活の一員に加わることになるのであった。




八神「なあ、これって……もう少しだけ続けられるのではないか?」

クララ「君のような勘の良いメスガキは嫌いだよ」

杏「どういうことだ?」

クララ「君のように勘の悪すぎるのも嫌いだよ」

ベータ「さっきからそれ誰の真似ですか?」

クララ「ggrks」

杏「こいつガチの試合が終わったものだからふざけ倒してる!」

クララ「まぁまぁ、せいぜいあと数話この話の後の日常を描いたりとかだろうさ」

ベータ「はぁい、ここで情報が入りました~。この世界以外、つまり消された世界線をメモ書きというかもうあらすじ程度にまとめた一話程度のお話も出すそうです」

クララ「まじで概要だけみたいな話だからな。こういうことがおきて、この試合はこのチームが勝った。みたいなレベル。みんなの想像で隙間は埋めてくれ」

八神「多分それ隙間だらけじゃなかろうか?」

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