アフロディに妹がいた!?   作:ゆーこー

142 / 147
筆者「やっべ文字数多めの話しにしてたらこんな時間に」 

マキ「なんでいきなりこんな長くしたの?」

筆者「友人の5000文字程度のプロローグを見てたら十分たたずに読み終わったからもしかして今までのは少なすぎたかと」

マキ「今更!?」

ヒロト「これについてのご意見ご感想お待ちしてるよ」


追い風よ吹け!

 マキが一点を取り返すもエリカはまだまだ余裕の様子ですぐに力の差を見せつけるように花瑞をいたぶった。

このまま一方的に攻撃されれば折角マキが見せた可能性の光がエリカの力の前に消されてしまう。ベータは意を決してあの技を使う。

 

「お前ら受けとれぇ! ゴーストミキシマックス!」

 

「これは……力が溢れてくる!」

 

ロココはその力の膨大さに驚き、そしてベータではなくエリカに驚愕した。

今感じている力を足したとしても先程のシュートを一人では止められないと直感的に理解してしまったからだ。

 

「ゴーストミキシマックスねぇ…あなた、今までこんな技見せたことあったかしら?」

 

「……やっぱり貴女自身も世界を移動しているんですね。そうですよ、今まで使ったことはありません」

 

「それが今になって何でなのかしら?」

 

「奥の手だったからですよ」

 

「はぁ?」

 

「今までは勝てる気がしなかった。それでも抗い続けた」

 

「今回が最後だから出し惜しみしないってことかしら?」

 

「いいえ、このチームなら勝てるという見込みがあるからです」

 

「ハハハッ! 笑わせてくれる。これくらいで勝てるとでも?」

 

「結果は最後にはわかりますよ」

 

ミッドフィルダーのエリカ一人がボールを持った黒嶋に向かってボールを奪いにいく。

 

「アグレッシブビート!」

 

黒嶋はベータの力も加わりエリカを躱すことに成功する。

 

「確かに、焼け石に水というわけでは無いようね。でも一人消えても変わりはいるの」

 

二人目のエリカがゴッドルーツを黒嶋に向かって放つ。黒嶋は自らを狙って先端は音速を越えるような根のムチより早く動き再びアグレッシブビートで抜かした。

 

「元からそれなりの実力者か。だけど所詮人。スティールルート!」

 

今度は三人で黒嶋を襲う。襲われる黒嶋は冷静にボールを杏にバックパス。杏もそれをわかっていたようにダイレクトでアフロディに繋げた。エリカ二人がアフロディの道を塞いで問いかけた。

 

「他人の力を借りてやっと戦える、それで満足なのかしら?」

 

「人は支えあっていくものなのさ」

 

「……ひとりでも強ければ生きていける。そんなの弱いから群れてるだけの言い訳に過ぎないわ」

 

「なら、今の君達は?」

 

二人で止めようとするエリカに逆にアフロディは問い返す。

 

「私達はひとりなのよ」

 

「……そうかい。一旦お話は終わりにしようか、真ヘブンズタイム!」

 

ヘブンズタイムが通じた。アフロディは二人を抜き去りディフェンダー陣にまで到達した。

 

「さて、そろそろ君も出番がほしいだろう」

 

アフロディは敵陣ど真ん中に突っ込み三人からスティールルートを喰らう。

 

「荒城くん!」

 

「よっしゃ繋ぐぜ! ブリザードキャノンV3!」

 

アフロディは一度時計回りに半回転してそのまま荒城にパスを出し、守りの手薄になったサイドからシュートを打たせた。

 

「ゴッドルーツ」

 

しかし、まるでハエを叩き落とすようにあっさりと残り一人のディフェンダーエリカに止められてしまう。

 

「へぇ、この程度か……」

 

ボールを手に入れたエリカは何かを企んだのか目を少しばかり細めて横目で荒城を見つめる。

 

「まあ、あとでの楽しみにしましょう。まずは……」

 

エリカ達は意思を共有した存在であった。そのため作戦の指示を出さずとも相互に連携を取ることができる。

 

「ゴッドブレイク!」

 

いきなりのロングシュートで意表を突くつもりなのだろうか、だがそこはベータが何とかボールを止める。

 

「さぁ、愚かな彼女に分からせてあげる。何をしても無駄ってことを」

 

前からも後からもスティールルートを使われ、ベータは逃げ場を失う。そして、ギリギリのところを何度も何度もスライディングされて傷付けられていく。まるで檻、悪意によって作られた植物の檻の中で痛め付けられる。

 

「ベータ! ちぃ、こいつら……」

 

今力の差を埋められているのはベータのゴーストミキシマックスがあるからに過ぎない。もしこのままベータが力尽きればその力を失った上にベータが戦えない絶望的な状況に陥る。このことを全員が理解しているが特に理解していて尚且つ救出出来るかもしれないと考えられるのは彼女だけだった。

 

「フローズンスティールV3!」

 

複雑に絡ませた根の檻を一瞬で滑り切りベータからボールを回収して外に脱出する針の穴に糸を通すような芸当。クララのセンスと三年間成長しなかった小柄で控えめなボディだからこそなし得たプレーだった。だがこれでもかなりベータは消耗させられてしまい、身体は傷付き太股に痣も見える。ゴーストミキシマックスを優先して彼女自身は動けそうになかった。

 

「自分が助かるだけならゴーストミキシマックスなんてもう止めればいいだけなのにな。それでも私達に力を貸してくれるんだろう、もう期待に応えるしかないよな」

 

クララはボールをアフロディに渡して花瑞をベータのポジションまで上げさせる。

 

「ベータは一度下がれ、花瑞は前に」

 

「わかった。後ろはお願いね!」

 

兄妹のコンビネーションにベータの力が合わさってエリカ達と互角以上の動きをみせて次々に追い抜く。

 

「仲が良いわね。でも私を倒すには力不足よ」

 

エリカ本人だ。エリカ本人が後方まで下がって全て奪いに来た。

 

「破壊天使カマエル!」

 

「ヘブンズタイムは効かない。花瑞、いいね?」

 

「うん、わかってる。勝利の女神ニケ! アームド!」

 

「力押しで来ようって訳でしょう? 残念だけどそうはさせないから!」

 

二人の立つ場所が突如日陰になる。二人が同時に上を見上げると何か降ってきていた。

 

「黒い……花?」

 

「堕天の烙印!」

 

それはエリカの化身ブロック技であった。漆黒に染まった神の花がアフロディと花瑞を押し潰す。

 

「みんな私みたいになればいいのよ、どうせここにいる奴らだって悪さしたことくらいあるんだから」

 

エリカは振り返り自分のゴール側にいるヒロトとマキに目を向ける。

 

「お前もお前も自称宇宙人の侵略者、日本を征服しようとしたんだから」

 

ヒロト、マキに敢えてメテオシャワーを使っていたぶる。

 

「お前らの技で傷付け!」

 

正気とは思えなかった。サッカーを通じて、彼女はむしろ正気を失っているように周りからは見える。

 

「あんたたちも仲間よね? ウルビダ、クララ、レアン」

 

「来るか……グラビティション!」

「ラ·フラム!」

「ウォーターフォール!」

 

三人は身の危険を感じて三人で同時に必殺技を放って対抗しようとする。

 

「スロゥタータイム」

 

だがエリカを止めることは出来ない。三人まとめて切り刻まれると同じ場所に倒れたまま積み上げられ、追い討ちをかけられる。

 

「メテオシャワー!」

 

「ぐぁ!」

「ぐっ…」

 

この深刻な事態にまだ狙われていない荒城と黒嶋もゴール前に集まり守りに入る。

 

「どうして、どうしてこんな酷いことをするの……?」

 

一度押し潰されてボロボロになった花瑞がフラフラと立ち上がりながらエリカに問いかける。

 

「お前らは私が悪だと思ったから倒そうとしているのでしょう? ならこいつらも同じ。悪だったんだからこうならなきゃおかしいでしょう?」

「過ちは消えない」

「危険な人間は徹底的に排除される」

 

「そうか……花瑞、これは事情を知っているだろう人に確かめないといけないようだ」

 

アフロディも立ち上がり何かを感じたのかその可能性を特定するために事情を知る人物へ直接尋ねることを提案する。

 

「事情を知ってそうな人?」

 

「あぁ、大丈夫。多分彼も君に教えてくれる。問題はそれまで僕らが耐えられるか…さ」

 

アフロディは試合の経過時間を見る。前半は残り十五分もあった。長い、長すぎる。今の自分達にとってはあまりにも長すぎる時間であった。

 

「さぁて、邪魔だからもう少し寝てなさい!」

 

エリカは立ち上がったアフロディと花瑞に再び攻撃して暫く動けないように徹底的に叩きのめした。

 

「さて荒城蓮、あんたも悪人よねぇ? ダークエンペラーズの一員だったんだもの」

 

「そ、そうだ! 俺は悪人だろうさ! やるなら一思いにやれぇ!」

 

荒城は足がガクガクに震えている。威勢の良いことをいっても内心はビビり散らかしているのだ。

 

「フフ、ちょっと邪魔な奴らを片付けるから待ってなさい」

 

そういうと黒嶋とロココに向かって強烈なシュートをお見舞いして荒城以外全員が倒れている状態にした。

 

「あなたは確かに悪人、でも……ふふ。エイリアの力に絶望して惑わされてそっち側に墜ちた人間。なぜ墜ちたのかしら…‥」

 

「そ、それは…」

 

「弱いからでしょ?」

 

「……」

 

その通りだった。だから何も荒城は言い返せない。

 

「悪いようにはしないわよ、あたしに付かない?」

 

「そ、そんなことするわけないだろ!」

 

「あなたも花瑞が好きなんでしょ? でも、悪いけどあなたに振り向くことは無いの。どこを探してもね。わたしなら…少しくらい良い思いをさせてあげてもいいわよ?」

 

年頃の荒城には刺激が強すぎる誘惑を執拗に仕掛ける。

 

「一生手に入らない高嶺の花か?」

「高嶺の花だけど少しばかりの夢を見たいか?」

「選ばせてあげるわ」

 

本体のエリカ以外が荒城を取り囲み四方八方から別々に声を出して問いかけ、エリカ本人はその様子を面白そうに眺める。

 

「俺は別に花瑞を何としてでも欲しいなんて思わねぇ!」

 

「ふふ」

 

エリカに墜ちるのかと思われる言葉にエリカも勝ちを確信し不適な笑みを浮かべた。その次の言葉でその口は不機嫌で怒りに満ちた歯を食い縛る形に変わるのだが。

 

「例え叶わぬ恋でも、その人の幸せのためなら俺は構わねぇ! 俺は花瑞って人柄が好きなんだよ! 何か勘違いしてるようだが可愛いからとかだけじゃねぇんだよ!」

 

「あっそう……雑魚の癖に。この世は所詮強いやつが偉いのよ。あんなエイリア石に手を染めといてもわかってなかったのね。一生負け犬でいればいいわ!」

 

荒城を痛め付けようとボールを空中に上げた。

 

「天界……」

 

「もらったぁぁ!」

 

 

溜めの隙を見事に突いてボールを奪ったのはベータであった。

 

「まだ動けたか」

 

「へっ荒城、意外といいとこあんじゃねぇか。安心しな、まだこのチームは誰一人欠けちゃいねぇ。それだけで充分チャンスはある!」

 

「馬鹿かしら? これほど痛め付けてまだわからないの?」

 

「ええ、馬鹿は死ぬまで治りませんから♡ いくぜぇぇ!」

 

荒城にエリカ達が集まっていたことで他のメンバーはがら空き。ヒロトが立ち上がりロングパスを受け取った。

 

「マキ、いくぞ!」

 

「任せなさい!」

 

最後にマキにパスを出してシュートを放つ。

 

「スターゲイザー!!」

 

「ジ・エンド」

 

だが、この流れでの追加点は許されなかった。エリカの次なる技が先程ゴールを決めたマキのシュートを完封した。

 

「ふふ、ちょっと勝てる気がしてたかしら? 愚かね」

 

 




クララ「エリカやべぇなほんと」

杏「狂ってやがる」

クララ「あれは人工じゃない。天然の狂気だわ」

八神「逆になんだ人工の狂気って……」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。