ヒロト「なにがあるんだい?」
筆者「大羞恥大変だ」
ヒロト「第三次大戦かな? あれ、マキは?」
筆者「その件で下にいる」
鬼怒川中フットボールフロンティア優勝からさらに一年、二連覇を果たした花瑞はベータと共に自分の家で会議をしていた。
「さて、ここまでお疲れ様でした。この一年で更に強くなりましたね♪」
「私もそうだけど皆も強くなった。どうかな、今の私たち」
「まあ、可能性は無きにしもあらずというところでしょうか」
「そっか、でもきっと大丈夫だよ」
「じゃあ、そろそろ決めましょう。あなたの選ぶ最高のメンバーを」
「これって、強さ順とかじゃなくても大丈夫なんだよね?」
「はい。大事なのはあなたの信頼です」
花瑞は目を閉じてパッと浮かんだ順に名前をあげていく。
「まず私とベータちゃんと黒嶋さんが必須なんだよね? だから……ヒロトさん、お兄ちゃん、マキちゃん。」
「はいはい。とりあえず三人」
「クララちゃんに杏ちゃん。八神さんも。」
「六人。キーパーもお忘れなく」
「円堂さんと豪炎寺さん、鬼道さんかな」
「あ、その三人はダメです」
花瑞はびっくりして思わず目を開ける。
「なんで!?」
「いい忘れてたんですけど、三人とも大人の方が居るんですよ。ややこしいことになるので詳細は省きますがダメなんです」
「ベータちゃんは二人になるのに?」
「私は例外なので。とりあえずキーパーから考えましょう」
「う~ん……あっ、ロココさん!」
花瑞は一瞬悩んだあと世界大会で戦ったあの最強キーパーの存在を思い出す。
「あ~いいですねぇ。あと最低ひとり」
「蓮くんかなぁ」
「……彼ですか?」
「うん、思い返すとずっと一緒に戦ってたなって思って」
「ま、まあこれはあなたの気持ちが最優先なんでいいですけど……荒城蓮ねぇ……」
ベータからすればちょっと強いモブ程度の認識である。それがまさか花瑞の口から割りと早く出てきたことで空耳かと思ってしまうのも不思議ではない。
「とりあえずこれで十一名です。できることなら最小メンバーの方が移動しやすいんですけど」
「ならこのメンバーでいくね」
「わかりました。今日全員に伝えて明日行くので準備してて下さい」
ベータは返してもらった未来の道具を使ってリストアップされたメンバーの元へ連絡に向かった。
「話は終わったんだね、花瑞」
「あ、お兄ちゃんお帰り」
これまでなかなか一緒にいられなかったこの兄妹も今では同じ家で暮らしている。居候のマキとベータを添えて。
「お兄ちゃん、未来での試合で一緒に戦ってくれる?」
「当然さ、二年前からそう決めていたよ」
「ありがとうお兄ちゃん!」
「もちろん、マキも選んだのよね?」
いつの間にかいたマキが部屋の外の壁にもたれ掛かり腕を組んで格好をつけている。
「うん、マキちゃんも入ってるよ。明日はおねがい」
「任せなさい! 未来人だろうとマキがゴールに風穴開けるわよ!」
──ご近所の荒城宅
「えぇ!? 俺がそんな試合のメンバーに!?」
玄関先で突拍子もない話を聞かされて驚く荒城。さらっとそうなった経緯をベータに告げられてさらに度肝を抜く。
「花瑞さんがあなたを選んだんですから、来てくれますよね?」
「は、花瑞が!? そ、そうか。なら、俺なんかで良ければいくぜ!」
「はい、じゃあ明日に備えて準備してください」
用件を伝えてベータはもう自分から身分を晒したので未来の道具で一瞬で移動した。
「うわ、まじですげぇ……」
──クララ宅
「りょ」
「早くて助かります」
全て把握済みなので即答だった。
──杏宅
「もちろん、来てくれと言うなら行く。誰だろうと負けないから」
「はぁい、ではまた明日」
当然彼女もOKだ。
──吉良財閥 ヒロトの部屋
「最初に名前をあげてくれたんですよ花瑞さん、よかったですね♡」
「からかわないでくれよ。嬉しいけどさ。もちろん、俺は花瑞のためならなんでもするよ」
「はぁい、頑張ってくださいねぇ♡」
ヒロトもやる気120%といったところか。花瑞からの願いなので気合いのは入りが違う。
──八神宅
「御無沙汰です♡」
「ベータか、まさか私にも声がかかったのか?」
「はい、来てくれるかなぁ?」
「いいともっ! って、何を言わせる」
「いや~、なんかすごい番組だって紹介されててたまたま見たもので何となく」
「結構気楽なのだな」
「……そんなわけないじゃないですか。笑ってられるのは今のうちなだけです」
先程までのニコニコとした顔を捨てるように真剣な目で声のトーンをひとつ落としてそう言った。
「そうだな」
八神はベータを優しく抱き締め背中をポンポンと二回程叩いてあげた。
「選ばれたからには期待に答えてみせる。任せてくれ」
「はい。おねがいします」
──黒嶋宅
「お姉さんだぁれ? この辺では見かけないけど」
「あ、妹さんですかね。黒嶋裕さんいらっしゃいます?」
「……まさか私のお兄ちゃんの彼氏?」
一言目の天真爛漫な少女の声から低くて警告するような声、目付きへと一瞬で変わる。
「おうおう、威嚇するとはいい度胸じゃねえか。本物ってもん教えてやろうか?」
釣られるようにベータも荒々しい性格を見せると、家の前で騒がしい声がするものだから黒嶋が家から出てきた。
「どうした晴って、お前はベータ」
「あ、どうも。お久しぶりです♡ 実はカクカクシカジカなのでご協力お願いします」
「なるほどな、あのときの話か。もうそんな経つんだな」
「あっ、黒嶋さんはもう高校二年生ですもんねぇ。妹さん共々御同行お願いします」
「おう、晴には今日事情を話すからまた明日迎えに来てくれ」
「はい。それではまた明日」
──ロココ宅
「どうも~覚えてますかね」
「お前は……俺になんのようだ!」
「ヤバ、この人事情知らない上に最後の記憶が敵のまんまの人だ」
ベータは慌てて花瑞を呼びに行って承認になってもらい事情を説明した。
「そういうことか。わかった、俺に任せてくれ」
「ふぅ、花瑞さんも突然呼んですみませんねぇ~まさかお風呂中だったなんて」
「は、はやく……帰ろうよ………」
一瞬だけ花瑞の家にとんで状態も確認せずにすぐまたワープしたせいで花瑞はバスタオル一枚のままだ。顔面は真っ赤になっており、恥ずかしさで身体が震えている。幸いというわけでもないが発展途上国のコトアールではタオル一枚で出歩く人もいるようなので即通報案件にはならなかった。
「もぉ、拗ねないでくださいよ~明日大切な日なんですよ?」
「だってベータちゃんがぁ、ベータちゃんがぁ……」
花瑞部屋に戻るなり布団にくるんで恥ずかしさが治まらないので出てこない。
「ベータ! あんた何したのよ!」
「ちょ、ちょっと海外旅行……」
「御年頃の少女を全裸で海外に行かせたわけ?」
「ふ、不可抗力ですから」
「いーやこれはベータが悪い」
「だって一瞬でも早く誤解を解かないとロココさん私を八つ裂きにしそうなんですもの!」
「乙女の裸を世間に晒させたんだからあんたもやってきなさい!」
「な、なんでそうなるんですか!」
「一回は一回よ! ほら脱げぇ!」
「ちょ、花瑞さんはタオルあったのに! や、やめろぉぉこの扇風機頭ぁぁ!!」
ベータ「あのぉ! タオルもないのはフェアじゃないんだけど!?」
マキ「うるさい! 情けで樹海にしたんだからそのまま一分我慢しろぉ!」
ベータ「全裸で森林とか正気じゃないですよ! わ、なんか虫が寄ってくる! かゆい! こ、これ明日響く! 許して!」
マキ「なんか別の別になっちゃったわね」
一般病んでる男性「ひっ!?」
マキ「あ、やっば。こんなところに人きちゃったよ」
男性「露出魔だぁぁぁ!」
マキ「あ、こら待て! ロープもって何処へいく! 逃げるなぁ!」
ベータ「これフェアじゃねぇ!!!」