マキ「リアルの事情を知っていると蹴りづらい…だが、リアルの事情なんて読者は知らないのよ!代表として行くわ!」
筆者「うっそだろ!? おま、知ってて蹴るのか!」
マキ「喰らえ!読者様からの頂き物 改造済みエイリアボールのメテオシャワーV3!」
筆者「最高火力でうつなぁぁぁ!ぐへぇぉ!?」
ヒロト「今回、最終回」
マキ「マジ!?」
ロココがキーパーに戻った。その気迫は今日一番のものであり今までの流れを全てリセットするかのような力を持っていた。
「天空落とし!」
「タマシイザハンドG2!!!」
つい先程ケーンの真ゴッドハンドXを破ったばかりのヒロトの必殺シュートも簡単に止めた。一方イナズマジャパンも円堂がドラゴの必殺シュート「ダブルジョー」をガッチリと止められる。ロココが黒嶋の投入で迂闊に出れなくなったことでお互いシュートは決めさせないがこちらも決められないという状態に陥った。
こんなとき勝負を決めるのはやはり勝ちたいという強い気持ちだ。
「グランドファイアG2!」
「うぉぉぉぉ! タマシイザハンドG2!」
これも止められる。イナズマジャパンの持てる最大のシュートを持ってしても簡単には通さない。
「ザ·ギャラクシー!」
「タマシイザハンドG2!」
断固としてこのゴールは入れさせない。ロココの執念がそのまま力となる。
「花瑞! このままじゃ埒があかないわ! あの化身アームドってのは出来ないの?」
「やってみる…あのときの感覚を、なんとか再現できたらいいんだけど…なんとか集中できる時間が欲しい……」
「なら、もうそこに試合の流れを無視して突っ立っててもいい! あれを破るには花瑞の可能性にかけるしかない!」
マキは極端な言い方ではあるがそう伝えて花瑞に託した。
「他のみんなでその間はカバーする。あと一点、この今は道が見えてこない一点が必要。試合終了に間に合えばいい。頼む」
クララもそう言ってボールを奪いに向かう。
「大丈夫だ、それまで一点も取らせはしない」
黒嶋がそう伝えて相手からボールを奪い取った。
「マキ!」
「ふふん、とは言ったけど……マキだって別に自分が決めるのを諦めた訳じゃないんだから!! グングニルV3!」
「やらせない! タマシイザハンドG2!」
花瑞は目を閉じて集中をはじめた。
『みんなの気迫が伝わってくる。これはマキのだ。今、一人でシュートした。ロココさんの気迫が今一番このフィールドで強い……この気迫を上回らないと、絶対にゴールは奪えない』
目を閉じて集中する花瑞を避けて試合の流れがリトルギガントの攻撃に変わる。
『今ボールを持ったドラゴって人が私を追い越した。黒嶋さんが奪い返した。
………一度化身を出そう』
「勝利の女神 ニケ!」
先程まで立ち止まっていた花瑞が唐突に化身を出したことでリトルギガントは一瞬驚いた顔で視線を花瑞に集める。
その視線を感じ取った所から花瑞はこのフィールド全体にまで行き渡っていた意識を自分の心の中に全て向けた。
『勝ちたい。私だって、皆だってこの試合を勝ちたい。最高の舞台で、最高の相手との試合。これに燃えない人はいない。だから、そのために! 私は化身の力を……自力でアームドしないとダメなの! いや、絶対にする!』
花瑞から化身のみならず周囲を圧倒するオーラが溢れる。ただその場で立っているだけなのにその力は徐々に強まっていき、ロココの気迫に迫る。
「勝つ! 絶対に勝つ! この試合に勝つのは、私達イナズマジャパン! そして、私がその勝利に導きます! アァァァムド!」
フィールドどころか観客席にまで花瑞の気迫が伝わり、観客すらも怯む。
「驚きました…いえ、別に彼女の圧にじゃないですよ? こんなに早くアームドに成功したことです」
ベータはにんまりとした顔でそうアフロディ達に言った。
「あれが化身アームド…美しい姿だ」
初めてアームドを見たアフロディは思わずそう呟いた。
「やれやれ、フィールドに立ったまんま動かなくなったときはどうなるかと思ったけど、間に合うとはなぁ?」
不動はそう言っているがわかっていたような様子だ。
「全く、いつも驚かせてくれるな…花瑞は」
八神もそんな感想を呟いて微笑んでいた。
「それにしても、何ですかねほんとこのオーラの質……圧倒的な力の差を皆さんは感じているはずなのにどこか暖かい。邪念が全然感じないんですもの」
「それが花瑞というだけのことさ。最もいくら優しい力でもこれだけの力が急に自分の身体を通過したら普通は怯みもするさ」
このスタジアム全体に伝わったオーラはまるで波が引くように一点に集まって戻っていく。全ての力をその身に纏い、化身アームドした花瑞が動き出した。
「こい! 花瑞!」
「……いきます!」
「全く……露払いくらいはさせて貰うわ! メテオシャワー!」
マキはキープしていたボールを花瑞に渡す前にリトルギガントディフェンスに向けてお見舞いする。花瑞を遮る選手が消えたところでパスを出した。
「絶対決めなさいよね! 花瑞!」
「もちろん、一撃で勝負を着けます!」
ボールを持った花瑞が天を舞う。
「ゴッドノウズ·インパクト!」
「タマシイザハンドG4!」
圧倒的質量のぶつかり合いであった。大地は揺れ、人を吹き飛ばすほどの衝撃波が発生した。
「俺達が……勝つんだ!」
もうとっくに勝負が決していても不思議ではないほどの力の差ではあった。それでもロココは粘った。
「負けない…負けないぞ……」
しかし、勝つという気持ちから負けないという気持ちに本人も気づきないうちに変わった瞬間、ボールはタマシイザハンドを破り、ゴールネットを突き破り、スタジアムの壁に大きな穴を開けて止まった。
── 一泊ほど間が空いたあとに試合終了のホイッスルがなった。
「はぁはぁ……やっ…た」
今にも膝から崩れてしまうほど今の一撃に力を出し尽くした花瑞が勝利のガッツポーズを決めようと拳を上げる。
「あ、あれ…」
が、上体がフラついて視界が空に変わる。直後に背中を支えるものが現れる。背中を支えたマキはまだ笑うのをこらえたような顔で花瑞の右腕に自身の手を添えた。
「全く、最後くらい決めなさいよね! マキたちの……イナズマジャパンの優勝よぉ!!」
そして、右腕を大きく突き上げさせてそう叫んだ。
会場から大きな歓声が聞こえる。
「おめでとう、俺は最後の最後で勝つって気持ちで勝てなかったようだ……」
「あ…ロココさん…最高の試合でした。……ありがと……ございま」
「ちょ、あんたまた力出しきって倒れるつもり!? これから記念写真とか色々あるんだから耐えなさい!!花瑞ぃぃぃ!」
「その差なのかもしれない。俺は今こうして立っている。シュートをする側を見てから力を配分できるのに倒れるほど力を出し切れなかったのかもしれない……成し遂げたいことのために文字通り力を振り絞れるのも、彼女のスゴさなんじゃないかな」
「あぁ、それが花瑞の魅力のひとつさ。だからこそ皆で助け合わなきゃいけない」
ヒロトはマキから花瑞を取るように肩を抱き寄せておんぶする。
「あ、このやろぉう! どさくさ紛れて!」
マキは怒ったような素振りを見せるが取り返そうとしたりはしなかった。
「ったく、今日くらい許してあげるか」
「お前は花瑞の父親か!」
「このツンっとしたツッコミは杏ね」
「私だけどツンっとしたツッコミってなんだ!?」
「クララのはもっと辛辣なのよ!」
「おい争うなツンツンコンビ」
「ほぉら来た! あとツンツンコンビってなによ!」
「わかってるだろ…言わせるな」
「私らをコンビにしたら今のお前はぼっちだ!」
杏が訳のわからない反論をする。
「残念、私達はみんな仲間だ。最高のチーム、イナズマジャパンのな」
「いい感じにしめるなぁぁぁ!」
「三人とも撮影が始まるぞ! 早く来いよ!」
「ほら、キャプテンも呼んでることだしいくぞ」
「「釈然としない!」」
このあと撮られた写真には花瑞の綺麗な寝顔が写ることになった。白雪姫のようにキレイで、それでいて成し遂げた満足げな笑みを浮かべた奇跡の一枚だ。
~世界への挑戦編 fin~
八神「終わったのだな……」
ベータ「ええ、これで世界への挑戦は終わりました。ですが、まだすることはあるでしょう?」
杏「二年後にお前の手伝いか」
ベータ「はい、それまでに皆さんパワーアップしてくださいね?」
クララ「さて、じゃあそろそろ準備するか」
ベータ「はて、皆さんなんの準備を?」
八神「あぁ、転校の準備だ」
ベータ「転、校?」
クララ「私たちも学校に通うんだ、瞳子が世界大会前から準備しててようやく全員分の用意が済んだんだ」
ベータ「へぇ~、そしたら来年のFFは面白くなりますね~♡」
杏「お前はどうする?」
ベータ「ん~未来の技術で誤魔化しょうかね~もちろん試合には出ないですけど」
八神「じゃあ、また試合で会おう」
ベータ「あら、バラバラの学校なんですね」
八神「ひとつの学校に受け入れられる人数じゃないからな……皆で話し合ってどこに行くかは決めたんだ」
ベータ「大変ですね~私も歴史に影響しないよう配慮しつつお邪魔するのでよろしくお願いしますね♡」