アフロディに妹がいた!?   作:ゆーこー

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筆者「私事ですがウイルス性胃腸炎になってダウンしてました」

マキ「えっと、たしか今日は二日目よね」

筆者「へぇい、昨日はさすがにしんどすぎた」

マキ「まぁ、仕方無いわね。お大事に」

ヒロト「勢いづいてたところを削がれてしまったね」

筆者「あぁ、だがまあ仕方ない。とりあえず今日には投稿できたからよしだ」


兄妹の思い

 道行く人の目を釘付けにする美男美女の姿が目撃されたのは日本エリアの古風な和菓子飲食店のテラス席。3時のおやつと言ったところか、アフロディと花瑞はその容姿のイメージとは少し離れたお団子を食していた。

 

「美味しいね、お兄ちゃん」

 

「うん、お淑やかな甘味とおおらかな口当たりだ。この大会のために用意された施設に恥じない美味しさだ」

 

「お兄ちゃん食レポみたいになってるよ」

 

花瑞はくすくすと笑い、それに釣られてアフロディも微笑む。そこに、ひとりの少年がガチガチに緊張した様子で現れた。

 

「あ、あの! 花瑞さんですよね! 試合応援してます! あの、サインくれませんか!」

 

「応援ありがと。 サイン……えっと、考えてなかったなぁ…どうしよ…」

 

「こういうのはどうかな?」

 

アフロディはさらりと筆記体の英字で花瑞の名前を書き、最後に小さな花の形のiの字にしたものを花瑞に提案した。 

 

「お兄ちゃんすごい! これとってもいいね」

 

花瑞はそのアイデアを採用して少年の服にサインを書いてあげた。

 

「あ、ありがとうございます! 一生大切にします!」

 

少年は嬉しそうに手を振り走って行った。花瑞は笑顔で手を振りかえした。

 

「小さなファンだね」

 

「うん、なんだか有名人になったみたい」

 

「花瑞はもう有名人だよ、それだけのことをしている」

 

「なんだか今までより更に実感したなぁ、今でもすごい実感してたつもりなんだけどね」

 

「…さて、そろそろ何処かに行こうか」

 

「え? もう少しゆっくりしてってもいいんじゃない?」

 

「サイン目当ての人が集まってきてるよ。全員相手にしてたら日が暮れてしまう」

 

安心安全の吹き飛びなしのヘブンズタイムで人混みを一瞬で抜け出した。

 

──PM16:20 浜辺

 

「ここの海は綺麗だね」

 

「うん、とっても綺麗……」

 

夕日が沈みかけている海はロマンチックなシチュエーションそのもの。

 

「花瑞はもっと小さかったから覚えてないだろうけど、僕は影山に連れてかれる前の家のことを少し覚えてる」

 

花瑞は興味深そうにアフロディの顔を見つめる。

 

「フフ、心配する必要はなさそうだね。 嫌がるかもしれないと心配したけど、安心して話せそうだ」

 

アフロディは波打ち際に立ち、感傷にしたるように口を開いた。

 

「僕達の母親は元々影山の部下の一人だったんだ。韓国から出稼ぎに来ていた父さんと駆け落ちして、影山から身を引いた。しかし、影山はそんな簡単に自分の悪行を知っている人を手放すわけがなかった」

 

「……続けて」

 

「父親は半分もこのことを知らなかったんだろう。当然僕も知らなかった。だから悪気もなく僕はサッカーをはじめた。そして、自分で言うのも難だけどメキメキと頭角を現した」

 

「それで、影山に目をつけられて連れてかれたんだよね? そこだけはお父さんたちから聞いたよ」

 

「そうだね、おおよそその通りなんだ。ただひとつ、影山から交換条件を提示されていた」

 

「交換条件?」

 

「僕が期待に応えれば家族には今後手を出さない。その代わり、僕に接触を試みようとしたり、影山の悪事を告発するような真似をすれば安全は保証しないと」

 

「そう…だよね。だから、あのあとお母さんもお父さんも」

 

「そう。でも彼も不思議な男だと僕は思った。花瑞、君のことだけは生かした。最も僕に接近した君を」

 

「た、確かに。イタリア代表の監督してたときも思ったけど影山って悪い人だけどサッカーに対する情みたいなのが残ってるよね」

 

「きっと君の成長も見たくなったのかも知れないね。だからといって、許されるわけではないけど」

 

潮が満ちてきて、足首まで海水に濡れる。夕日も傾き夜空が徐々に空を支配する。

 

「…この話をする機会があって良かった。再開した頃には僕も花瑞もこの話に触れられるほど強くなかったからね」

 

「そうだね、ちょっと前の私だったらきっと耐えきれない思いがあったよ」

 

「さぁ、暗い話はここまでにして夕食に行こうか」

 

「うん!」

 

──PM19:30 フレンチレストラン

 

「す、すごい雰囲気のいいお店だね…」

 

「そんな固くなることは無いよ。ここに来てるのは社長クラスの人達ではなくてごく普通の観戦者が多数なんだから」

 

「で、でもこんなちゃんとしたところ入ったこと無くて……ま、マナーとか自信ないよ」

 

「僕に続けば大丈夫」

 

コース料理など花瑞には今まで無縁であった。風貌こそ全く違和感のない花瑞だが周りをキョロキョロしたり、動きが落ち着かない。

 

「花瑞、食事は楽しむものさ。サッカーと同じ。変にかしこまる必要も無い」

 

「う、うん」

 

「ここまで沢山のものを背負った試合をしてきたと思う。でも、世界一を決める試合とはいえ、何よりも楽しいサッカーをしてほしい」

 

「…‥楽しむサッカー。そうだね。サッカーは楽しいものだもんね」

 

「花瑞や円堂君に教えてもらった大切なことだからね」

 

色々と背負い込んでいて凝り固まっていた花瑞の気持ちが少しほぐれたのか、ぎこちないテーブルマナーではあったがその後のディナーは笑顔を見せて満足していた。

 

 

そして、宿舎前に戻った頃には夜十時を回っていた。

 

「今日はありがとうお兄ちゃん。とっても楽しかった!」

 

「大会が終わったら僕も日本に戻るよ。家はまだ残ってるのかな」

 

「うん、私がまだ住んでる。マキちゃんとも同棲してたりするけど一緒に暮らそう!」

 

「フフ、賑やかになりそうだ」

 

「それと……やっぱり私、サッカーしててよかったなって思った」

 

「突然だね。まるで決勝後の感想みたいだ」

 

「えへへ、やっぱそう思っちゃう? でもね、やっぱそう思うんだ。サッカーがあったからたくさんの仲間ができて、ライバルができて、親友ができて、成長できて、そしてこれからときっとそう! 見ててねお兄ちゃん、明日の試合!」

 

「もちろん。それじゃ、明日のためにもうおやすみ」

 

「おやすみ、お兄ちゃん」

 




クララ「八神、明日ベータをアフロディに任せるが最初はアフロディ一人に任せていいぞ」

八神「何故だ?」

クララ「あの澄ました男がベータが催したときにどんな対応を取るかを見れるかもしれないからな」

八神「ずいぶんしょうもないことを考えたな」

クララ「まあ冗談だ。むしろそのときアフロディが見れないような場所があると困るから八神にはしっかりフォローしてもらう」

八神「……そういえば杏はどうした?」

クララ「あいつは試合に出てないからな、練習してるぞ」

八神「ベータはどうした?」

クララ「今日も夜はマネージャーに任せてる」

八神「あいつらにも苦労をかけるな……私も変わってこよう」

クララ「私しかここに残らないんだが?」

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