筆者「それだけ大詰めなんだよ」
ヒロト「でもまだ続きそうな雰囲気だけど?」
筆者「おまけでもうちっと続く系のあれだよ!」
ヒロト「それでもいいけど、体力は持つのかな」
筆者「本編完結したらゆっくりでいい?」
マキ「毎週投稿しろ!」
午前中のベータの告白から数時間、正午が過ぎた食堂に花瑞がフラフラと現れた。
「お、やっと目覚めたのね花瑞! ほら、マキの分のデザート上げるからこっち来なさい!」
「うん、ありがとう……うぅ、まだ身体が重い……」
「ほら、こっちこっち」
マキが補佐して席に着かせると、さりげなくクララが花瑞の分の昼食をテーブルに置いた。
「昨日の疲れを取るために酢の物が出てる。ほら、私の分も食べろ」
「わぁ、クララちゃんありがとう」
「いーや、それはクララの好き嫌いだろうが。ほら、数は余ってるんだから食え」
杏はクララのお皿に酢の物を入れ、席に着く。
「おっ、目が覚めたようだな花瑞。もう24時間後には試合が始まっているのだな、まだ調子が出ていないだろうけど頑張ってくれ」
八神も合流して宿舎の一角に女子選手が集った。
「そうだな、明日の決勝には私も出れる……なんとか間に合ってよかった」
杏は安堵と決意の合わさった心境で話し出した。
「八神も意外と動けるようになったのに残念だったな」
クララは目だけ八神に話を移す。
「まあ仕方ないと自分で思ってるさ。改めて、私の分も頑張ってくれ」
「はい! 絶対優勝しますから!」
「決勝点はマキが取るんだから!」
「あっ、そうだ……あいつの分も用意しないと」
クララは食事の途中に何かを気付いてもう一人分のご飯を使い捨てのプラ容器に積めて来た。
「誰の分?」
「あー、ベータの分だ。今私の部屋で飼ってる」
「か、飼ってる? え? どういうこと?」
「こらクララ、あまり花瑞をからかおうとするな。寝起きで混乱してるだろう」
「まあ正確にはこの前の試合のあと捕縛した。餓死されても困るから飯は与えてる。あと、ベータから話があるから花瑞は後で部屋に来てほしい」
「うん? わかった」
半分わかってないが純真無垢そうな顔で了承して花瑞は食事を済ませた。
丁度その頃宿舎前に来客があった。来客に応じたのはたまたま外に出ようとしていたヒロトであった。
「君は花瑞の兄の……どうしてここに?」
「たまたま決勝のチケットを譲り受けてね。さっきこの島に来たんだ。折角だから挨拶に来たんだ」
「なるほど、花瑞はさっき目を覚ましたんだ。今は八神達と食事中だから中で待つかい?」
「ご厚意にあやかるとするよ。それにしても随分遅い目覚めのようだね」
「あぁ、昨日色々あってね。それも含めて軽く俺の部屋で説明するよ」
アフロディはヒロトの部屋に上がると丁度聞きたかったこともあったようで自分から話を振りはじめた。
「花瑞のこと、好きなんだろう?」
「あ、ああ。 何故それを?」
「南雲君が何度も聞かせてきてね。 まあ、それ抜きにしても見てれば分かるよ」
「参ったな、相手の兄に好意を見抜かれてるなんてな」
「逆に花瑞が君に好意を寄せてるのもわかるけどね。でもそれは君だってわかってるだろう? その気になればいつでも付き合えるのになぜあと一歩を踏み込まないんだい?」
「マキとかのガードがあるから……ってのは冗談で、俺は花瑞の全てが好きだからかな」
「ほぅ、面白い答えだね。尚更詳しく聞く必要があるじゃないか」
「サッカーをしている花瑞、女子と仲良くしてる花瑞、ご飯を食べてるところや俺と近くにいてぎこちなくなってるところ、そんな姿も全部好きでさ。まだこれを見ていたいと思ってるんだ」
「なるほど。奥手なわけではなくてむしろ貪欲だね、君は」
「自分でもそう思う」
「さて…それで、昨日色々あってと言うのは何があったんだい?」
「あぁ、昨日は準決勝があったろう? そのあとに、ベータとまた戦ったんだ」
「なるほど、また壮絶な試合を……」
「それで今ベータはクララが捕獲してる」
「それはそれで気になるところだね……」
「ただ、ベータにも事情があったようでね。なんならこれから本人に聞きに行くかい? 一回目は一緒に戦ったんだ。聞く権利はある」
「そうさせてもらおう」
アフロディとヒロトがクララに入室許可をもらおうとしたところ丁度花瑞を連れてくる途中であったために廊下での兄妹の再会となった。
「お兄ちゃん!?」
「あの試合ぶりだね、花瑞」
「うん! またすぐ会えてよかった!」
「話したいこともあるけど、先に用事を済ませよう」
「そうだね、行こう」
~クララの部屋~
「おやおや、兄妹御一緒でしたか。まあいいですよ。お話しすることは変わりませんから」
クララ、マキ、ヒロトも一緒に残り五人でまた未来の話を聞いた。
二人はベータの話を聞いてその判断はやはり花瑞に委ねられた。
「私はあなたの言ってることを信じようと思う。試合中に感じた違和感の正体はそれだったんだなって、納得したもん」
ベータは涙目になって頬も赤くなった。そして、感情がまた爆発する。
「ほ、本当に言ってるの? あなたを消そうとした張本人なのよ? もしかしたらここまでのこと全て嘘かもしれないのに!」
花瑞はベータの頬に手をやって、涙を拭って上げて優しく微笑んだ。
「嘘ついてる人はこんな目をしませんよ」
「……ならお願い。未来を救うために協力してほしいの」
「私に出来ることならなんでもするよ! 消滅はダメだけど……」
「中学三年のFF終了まで待つから。そのときあなたの中で最善と思える人を9人以上連れてきてください。未来でエリカと戦うことになると思うから」
「二年後ですね。それまでもっともっと強くなるよ」
「……ふふ、まずは明日の決勝で勝ってくださいね。世界を取れない人に未来は掴めませんよ?」
「うん、皆で優勝するよ」
「さて、いいところ悪いのだが明日の決勝中は彼女をどうするつもりなんだい?」
いくら花瑞がベータを信用すると言っても万が一ということもある。せめてこの決勝くらいまでは確実に誰かの目の届くようにしたいというのも当然だ。
「それなら八神と不動に任せる予定だ。ふたりならうっかりも無いだろうから」
「二人とも怪我をしているのだろう? 僕が付き添うよ。もし走って逃げられたら二人は追えないだろう?」
「そうだな、是非お願いする」
クララ即決。明日は観客席からアフロディとベータが見ていることになる。
「さて、じゃあこれから外にでもいかないかい? 花瑞」
「うん、行こうお兄ちゃん!」
アフロディは花瑞を連れて外に行った。
「良いのかヒロト」
クララはヒロトをいじろうと一歩近づく。
「いいんだ。兄妹水入らず、楽しんでもらうよ」
「ちぇっ、嫉妬はなしか」
「マキの方がよっぽど嫉妬してそうだな」
「別に? マキだってその辺の空気読めるし?」
クララ「次回、アフロディと花瑞の兄妹デート回」
ベータ「次回予告から言っちゃうんですかぁ?」
クララ「場が荒れる前にな」
八神「掻き乱すのはお前たち二人だろう…」
杏「そうだ!」
クララ「ちなみに私は二人がデートしてる間にベータと……」
八神「含みをある言い方をするな!」
ベータ「二人きりで秘密のことするだけですもんねぇ~?」
杏「お前ら人をからかうときだけは仲良いな」