筆者「うっせ! 展開は決まってるんだけど文字に起こすときより良いものにしたいんじゃ!」
マキ「速さもクオリティも本気でやれ!最短で、最高に!」
ヒロト「まあまあ、その辺にしてやれよ。今回の文字数を見てみろ」
マキ「2500越えてる。ふぅん、まあ今日は見逃してあげるわよ」
筆者「ひ、ヒロト……お前」
ヒロト「いつから俺が傍観者だと錯覚していたんだい?」
後半の開始はイナズマジャパンから、最初にボールを持ったのはロココ。
「す、すごいスピード」
花瑞が驚くレベルで軽快な動きでフォワード二人を抜き、そのままミッドフィルダー陣を突破する。
──後半開始前、ロココはダイスケに重りを脱ぐよう指示された。ズシンと地面にめり込む重りを見てイナズマジャパンの面々は数秒その重りを見てしまったほどだ。
「それとマモル、ババーンではなく、バババ、バーーン!といけ。わかったか?」
「バババ、バーン!……わかったよじいちゃん!」
──バババ、バーンの意味を理解できているものはいるのかも怪しいが、円堂はその言葉からイメージを掴み取ろうとしていた。
「わざわざやられに来なければあなたは助かったのに♡」
ディフェンスのど真ん中に陣取るベータはロココを見てそう言った。ロココはボールを花瑞へパスする。
「そうそう、その方が懸命ですよ?」
「別にお前を恐れてパスした訳じゃないさ。勝つために出しただけだ」
ボールを受け取った花瑞だが、すかさずジャッカルがボールを奪い去った。
「スノーエンジェル!」
ボールを奪ったジャッカルは後ろに続いていた吹雪によりボールを花瑞よりも短い時間で奪われた。
「ウルフレジェンドG4!」
「ビッグスパイダーV3!」
流れるようにシュートまで持ち込んだものの得点には至らなかった。しかし…
「悪くない流れだ。これが決勝の監督だと思うと少々怖いものがあるな」
鬼道はこのフォーメーションが理屈だけでなく実際に有効だと今の動きで確信した。完全分業制のような能力をしているチームガルシルドを崩すためにキープ力の低いDF陣からボールを奪えるよう花瑞、吹雪、そしてロココという攻守共に優れたメンバーを全面に押し出し、その更に後続の列として強力なシューターとなるメンバーを配置。
もちろん、このフォーメーションも問題がある。ベータというイレギュラーが単純な分業制であるチームガルシルドの欠点を補っている。このベータをどこまで抑えられるかで次の一点が奪えるかが決まる。花瑞が最有力であるが先程のアームドも不安定。恐らく、もう一失点は覚悟しなければならない。
「さぁて、シュートまでいったのはすごいですけどそれまでですよ? ここからはこちらの番です♡ お前らに決勝戦なんて未来はねぇんだよぉ!」
ベータはボールを受け取り化身アームドした状態でなぎ倒すように直進する。
「おらおらぁ! どかないと全員引き倒すぞ! まぁ、トロくて避けれねぇだろうがなぁ!」
「飛鷹は急いで下がれ!」
「うす!」
鬼道は時間を稼ごうと立ち塞がるがまるで車にぶつかった小動物のようにぶつかった瞬間に吹っ飛ばされてしまった。
「シュートコマンド07!」
「真空魔ぁぁ!」
飛鷹のブロックが入るがまだまだ威力はイジゲンザハンドで止められる範囲には無い。ボールは真空魔を破りそのまま進む。円堂はダイスケの言葉をイメージしながら身体でそれを出そうとする。ボールが円堂の両手に触れる。一気に円堂の身体が後ろに押し込まれる。
「くっ……ま、まだまだぁぁ!」
円堂の両手からボールが上にこぼれる。そのボールをベータが奪う前に不動が素早く空中で確保しヒロトへボールを流した。
「ありがとう不動、助かったぜ」
「次も上手くいく保証はねぇぞキャプテン。次は頼んだぜ?」
「ちっ、鶏みたいなモヒカンしてる癖に…」
ベータは悪態をついて気持ちを吐き出すとすぐに切り替えてボールを奪いに走り出す。ヒロトは背後から迫るベータをギリギリまで引き付けながら相手MFを躱して流星ブレードを使ってパスを出した。
「デーモンカットV3!」
ボールをカットした次の瞬間を狙って吹雪がボールを奪い返す。
「ロココくん!」
「あぁ! Xブラストぉ!」
「ビッグスパイダーV3!っ!!!」
ビッグスパイダーがあっという間に破られた。しかし──
「ゴールはやらせねぇよ!!」
どれだけの移動速度を出したのか。ベータがボールをカットした。
「はぁ…はっ、入ったと思った? 残念だったなぁ、希望が一瞬で消える気持ち、刻んでやるよ!」
「すごい執念……それに凄い体力。でも」
「あぁ、誤魔化すようにしてたけど少し息が上がってる」
近くにいた花瑞、ロココはベータの変化に気付く。
「うん……まるで独りで戦ってるみたい」
「元々別のチームの人なんだろ? 俺も言えたもんじゃないけど、だから一人だけずれてるんじゃないのか?」
「そうじゃない……なにか、別のものだと思う」
花瑞の中でベータに対する違和感が強くなる。ベータは今何を思っているのか、それが気になる。
「っと、話してる場合ではなさそうだ。繰るぞ!」
「ふぅ……まあここまで良く頑張りましたよ…♡ そろそろ決めにいくとします♡」
「勝利の女神ニケ! ゴッドフラワーG5!」
「ブレードアタック!」
「うぉぉぉぉぉぉ!」
ロココ、花瑞の技を強引に突破してもはや吹雪のスノーエンジェルは足止めにもならずに破られる。
「シュートコマンドゼロセブゥゥン!」
一層気迫の籠った声でボールに蹴りを叩き込む。
「させるかぁぁ!」
鬼道、不動が二つに分離したボールに一人ずつ対抗する。
「邪魔だぁぁ!」
「ぐっ、うわぁぁ!」
「真空魔ぁ!」
さらに飛鷹のブロックも入るが威力は減らない。むしろ先程のシュートより強い。
「バババ、バーーン!って…いくぞ!」
微かにオーラのようなものが円堂から見えた。しかし、これも形には至らない。円堂の腹部にめり込むようにボールはえぐり込みそのままゴールネットに突き刺さった。
「円堂っ!」
「キャプテン!」
「ちっ、次はないって言ったろうが……おい監督、交代だ」
不動が手を上げて監督に交代宣言をする。
「不動、お前なにを」
「勘違いするな、ベンチに下がるのは俺だ……ったく」
不動は右足を引きずっていた。
「お前らに任せるしかねぇんだ。頼んだぞ」
不動の代わりに佐久間が入る。
「おい佐久間、先に言っとくがてめぇまで怪我でベンチに来たりすんなよ? 残ってんのは怪我人と完治寸前の奴だけなんだからよ」
「あぁ。だがお前が身体を張ってまで守ろうとしたんだ。それには答えたい」
試合は後半の半ばを過ぎたところであった。得点は1-2、不動のケガによりイナズマジャパンベンチに残るのは、ケガの完治手前の杏だけと実質的にゼロ。
しかし僅かに見られたベータの疲労、勝機が無いわけではない。
八神「何をしている? 杏」
杏「ウォーミングアップに決まっているだろう?」
八神「確かに残すところベンチはお前だけだが…できればもう交代がないことを祈りたい」
クララ「次回、タイトル未定。展開は決まってるから安心してくれ」
杏「二度目は驚かないからな?」