ヒロト「(これは護れないな…)」
筆者「本当にすみませんでした」
マキ「パスワード忘れたと。キャッシュクリアで自動ログインがなくなって入れなかったって?」
筆者「はい、その通りです」
マキ「じゃあ二度と忘れないようにおでこにでも書いてあげようかしら?」
筆者「やめろ!そんなセキュリティガバガバなことしたらだめだ!」
マキ「うるさい! デコ出せ!」
響木監督にデータを渡したあと、円堂と花瑞は二人でブラジルエリアに行っていた。もう皆苦しまず自由にサッカーが出来るということをいち早く伝えたかったからだ。もう、ガルシルドに支配されないサッカー。自分達のサッカーが出来ると知ったザキングダムのメンバーは心の底から喜び、笑顔で練習を再開した。
「明日の試合、楽しみですね。円堂さん」
「あぁ、なんてったってこの大会得点王ロニージョと戦えるんだからな。明日はディフェンスも忙しくなると思うから頼むぞ! 花瑞!」
「はい! 任せてください」
しかしその日、響木監督が病院に送られた。データは病院に来た警察に預けたが今はそれどころではなかった。ずっと隠していた心臓の病、この大会が終わるまでは先延ばしにしたかった手術。追手を撒く最中にその病は襲い掛かってきた。響木監督のためにも、必ず優勝してみせる。その意気込みで当日を向かえた。
当日、試合の場にはその男ガルシルドが現れた。
「う、うそ…どうして?」
「あんた! 警察に捕まったんじゃないの!」
マキがガルシルドに噛みついてかかる。所詮子供と言わんばかりにガルシルドは軽く答える。
「警察? 何故私が捕まるのだね?」
「マキ、ここにいるってことはそういうことだ。 奴ら警察にも根回しが効くんだ」
クララは冷静にマキを諭す。しかしその目には怒りが確かに込められていた。
スターティングメンバー
FW 虎丸 豪炎寺
MF ヒロト 鬼道 マキ 吹雪
DF クララ 飛鷹 花瑞 風丸
GK円堂
ベンチ 立向居 不動 壁山 佐久間
試合開始のホイッスルがなる。ボールを虎丸に渡したその瞬間にロニージョがボールを奪い取る。
「は、速い!」
風丸が思わず声に出して驚いてしまう。
更に鬼道、マキの二人を簡単に飛び越えて突破する。
「行かせないっ! ゴッドルーツV3!」
スピードに対抗してゴッドルーツで迎え撃つがその上を簡単に乗り越えて突破されてしまう。
「真空…」
技を出すことも間に合わない速攻で飛鷹を抜き去りロニージョは空中にジャンプしてそのままシュート。ボールは大きくゴールから外れるがその圧倒的な単独の能力に冷や汗が出る。
「すごい……けど、なんか変」
花瑞は彼のプレーに違和感を覚える。
「何かやられているな、あれ」
クララは花瑞の近くに寄り、周りに聞こえないような声で何かをお願いした。
「そ、そんなのって」
「お願い。聞いて」
「……わかったよ」
試合再開。ゴールキックからボールを受け取ったのは花瑞であった。勢いよく迫り来るロニージョに急いでヒロトへとパスを繋げる。そのヒロトの方にロニージョが急転換、ヒロトからボールを奪う。
「お前の好きにはやらせない!」
クララは周りに聞こえるように柄にもなく気迫の籠った大きな声を出してからボールを奪いにいく。しかし、ロニージョとの激しい攻防の末に空中で負傷をしたのかそのまま地面に落ちたあと右足を抑えてうずくまる。
しかし審判は試合を止めないため、そのままロニージョがシュートを外してからクララの看護に向かう。
「クララちゃん! 大丈夫!?」
花瑞は肩を貸してベンチまでクララに付き添う。
「音無さん! 救急箱をお願いします!」
「はい! もう用意してます!」
音無はクララの右の靴と靴下を脱がせ、すね当ても外させた。
「あれ……? 特に腫れてるわけでも…」
無傷のクララの足に困惑して固まってしまう音無。合わせてとお願いされてもどういうことが理解できずに混乱している。
「おいおいマネージャー、なに混乱してるんだよ。酷い怪我だからって落ち着けよなぁ?」
ベンチにいた不動が席を立ち上がりこちらに入り込んできた。
「俺にも一枚噛ませろ」
不動は小さな声でこの芝居に参加する意思をクララに伝える。
「ったく、無茶しやがって。これは応急セットじゃダメだな。おいマネージャー、スタジアムの治療室まで運んでやれよ」
不動はそれっぽくクララの足に応急処置の包帯を巻いてカムフラージュさせてから音無と木野の二人にクララを運ばせた。
「あの、クララさん。これどういうことですか?」
「私は今足に大きな負傷をしていて、今は保険証を取りに行くためにロッカールームに行く。ということにしてくれ」
「え? もう、よくわかんないですけど……わかりました。クララさんの作戦ってことですね」
試合にはクララに変わって壁山が出場した。ロニージョの独壇場はまだ終わらない。円堂は風丸にボールを渡した。風丸から豪炎寺へとパスが繋がるが相手のディフェンスにカットされそのままミッドフィルダーにパスを許す。しかし、その仲間のボールをロニージョが奪い取りそのまま攻め上がってきた。
「くっ! 今度こそぉ!」
飛鷹が果敢に挑むもまたも突破され、シュートを打たれる。狙いはまたもずれている。このプレーにキングダム内でも不満が溜まり過ぎてしまい、事情をしらないチームメンバーがコート内で言い争いを始めてしまう。しかし、そこで選手のうちの一人がRHプログラムを打たれたのではないか?と、ロニージョに尋ねた。ロニージョは否定できなかった。それを知ったチームメイトは今のロニージョを守るためにフォワードのマークを解いてロニージョのマークにつかせた。
クララ「さて、わたしは別行動を取らせて貰ってるわけだが」
八神「一対なにを考えているのだ?」
クララ「大人が無能だから念のため……それだけ言っておく」
杏「あんた、なにするつもり?」
クララ「別に、ただガルシルドとかいう髭親父がのうのうとベンチにいるのが気に入らないだけ」