アフロディに妹がいた!?   作:ゆーこー

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マキ「マキボロボロなんだけど」

ヒロト「俺もだ」

筆者「メテオシャワーよりひでぇや」

マキ「これがやられる側の気持ちか…」


VS. オーガ+β 満身創痍テンマーズ

「はぁはぁ……くぅ」

 

前半終了、ベンチに帰ったテンマーズはボロボロ。特にバダップとベータの攻撃にあった選手は生々しいアザが既に身体中に出ている。

 

「マキ、あいつら……うっ、とりあえず休んで後半に備えるわ」

 

「その方がいい、俺もそうさせてもらう」

 

ヒロトもマキもベンチに横になる。杏はクララからスポーツドリンクを飲ませてもらい休んでいる。八神もベンチにぐったりワンダバに傷の手当てをしてもらっていた。

 

「点数は追い付いたけど運が良かっただけ。敵のベータには基本的に敵わない。その事実は曲げられない。ポジティブに考えたいけど現実を無視するわけにはいかない。どうするかい?」

 

アフロディは冷静に状況を整理する。ひとりではロングシュートのデスレインまでがやっとのクララ。二人の力を合わせればデススピアーまでは止められるものの化身アームドしたベータのシュートを止められるとは思えない。敵のキーパーも決して侮れる相手ではないこちらの渾身の一撃ではないと突破は困難。課題だらけだ。

 

「止めます…」

 

「天馬君?」

 

「ベータは必ず俺が止めます!次こそはなんとかします!」

 

 

「……なんとかね。頼んだよ(僕のたったひとりの血の繋がった大切な妹の命がかかってるんだ。可能性ではなく確実にしたい。だが、可能性に頼らざるをえない)」

 

アフロディはそっと拳を力強く握りしめた。

 

後半開始、同点になったオーガはまずは点を取ろうとサッカーをする。

 

「おらおら!ボールを寄越しやがれ!」

 

化身アームドしたベータがボールを奪いに走り出す。

 

「必ず俺が……止める!」

 

ボールを持った天馬とベータが激しくぶつかる。今度は天馬も負けていない。

 

「なに!?」

 

「まさか、花瑞達との時空の共鳴で力が増幅しているのか!?」

 

「くっ!生意気なガキ!」

 

均衡する両者、その力で全く動かないボールの位置に割ってはいるようにバダップがボールを奪う。

 

「しまった!」

 

バダップはボールを持ったままエスカバ、ミストレを集結させる。

 

「喰らえ、デスブレイク!」

 

「あ、あんな技がまだあるなんて」

 

「負けないっ!止めます!真ゴッドキャッスル!」

 

花瑞最大火力のゴッドキャッスルで迎え撃つ。しかしそれでも止まらない。

 

「アイス……バーン!」

 

クララは先程と同じく杏の力を借りて両手でこのシュートを止めた。

 

「黒嶋!」

 

「おう!」

 

ボールを受け取った黒嶋を潰そうとベータが迫る。

 

「てめぇだけでもこの世から!」

 

「お断りだ」

 

黒嶋は烈風ブラストでロングパス。フェイにボールが渡る。

 

「古代の牙!」

 

威力十分なミキシマックス後の必殺技、しかしザゴメルの方からブボーとゲボーが現れたかと思うとふたりを両手で掴み

 

「ハイボルテージ!」

 

このシュートを止めた。

ディフェンス陣とのボールの奪い合いはボロボロのマキ達では敵わずボールを奪い返せない。

 

「ちっ、先に選手を潰して試合に勝たせてもらうか。いいな、バダップ」

 

「同意だ。敵の戦力を削りきる」

 

再び彼らの選手削りが始まってしまった。次の狙いは天馬であった。どんなにボロボロにされようと決して挫けずボールを手に入れようと立ち上がるが、もはや走れない。

 

「これ以上はまずい!天馬君!立ってはだめだ!」

 

「亜風炉さん、ダメなんです。ここで立たなくちゃサッカーがなくなっちゃう。だから立つ。立ってサッカーを守るんだ!」

 

天馬の思いにこれまで兄の静止に従っていた花瑞の中で何かが押されたように前に歩んだ。

 

「……お兄ちゃん、わたし行くよ」

 

「花瑞、だから冷静に……」

 

「冷静だよ。冷静だし、怒ってる。これでもかというくらい穏やかな気持ちのなかに怒りも存在させてる」

 

花瑞から邪でも聖でもないオーラが溢れ出る。

 

「…わかった。行こう」

 

二人は天馬を助けるべく走り出す。

 

「飛んで火に入る夏の虫だなぁ!落ちろ!シュートコマンド07!(ダブルショット)」

 

ベータは兄妹二人に必殺シュートを放つ。

 

「もう、わたしのために誰も傷つけさせないし私も犠牲にしない!」

 

 

花瑞の覚悟に答えるように身体のオーラが背中へと集約していく。

 

「花瑞、それは!」

 

 

「勝利の女神 ニケ!」

 

花瑞の口からは自然とその化身の名前が叫ばれていた。

神々しい化身が出現する。純白の肌に白い衣を纏った薄い金髪の女性、まるで彼女自身が大人になり、神話風に描かれたような風貌。

 

「それがどうした! オレのシュートを止められるものか!」

 

「ゴッドフラワーG5!」

 

ベータ渾身の攻撃を花瑞が受け止める。その衝撃は凄まじく、花瑞が後ろ髪を束ねていたヘアゴムがプツンと切れてしまうが、シュートを完全にブロックしていた。

 

「ば、ばかな! だ、だがそんなものすぐ奪い返せば!」

 

「ヘブンズタイム!」

 

「なっ!?」

 

化身を発動した花瑞はヘブンズタイムを扱えるようになりベータが突破された。その瞬間化身は消えたがもう問題ない。今すぐ攻めればベータは間に合わない。

 

「通すものか!」

 

バダップが立ち塞がるが花瑞はアフロディへ渡し、アフロディはマキへとパスを出す。

 

「くたばり損ないが!」「ぼろ雑巾同然なお前など俺達が!」

 

ミストレとエスカバがマキに立ち塞がる。そこにヒロトが駆けつけるが二人ともボロボロである。

 

「ヒロトさん!マキ!」

 

花瑞は叫ぶように二人を呼ぶと今出せる力を振り絞り二人を上空へと押し上げる力を出す。とてもエスカバやミストレが追い付ける高さではない。

 

「感じる、花瑞の力を」

 

「マキ、これ好き」

 

「「ザ·ギャラクシー!」」

 

「「「いっけぇぇぇぇ!」」」

 

「ハイボルテージ!」

 

三人対三人の力が激突する。バチバチと閃光や火花が飛び散る。

 

「止めろ!ザゴメル!」

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

「負けるかぁあ!」

 

花瑞達のパワーが勝った。後半終盤、遂に勝ち越した。

 

 

「ちぃ、負けるわけには…負けるわけには行かねぇんだよ!」

 

ベータは試合再開と同時にエスカバからボールを奪って単身強行突破に掛かる。

 

「魔神……ペガサス…くっ」

 

天馬は死力を尽くした。さすがに立ち上がれない。

 

「わたしが止める!」

 

花瑞はそう言うが自分だってかなりの力を消耗している。

 

「全く、ひとりで背負い込むな」

 

「私達にも頼ってくれ」

 

「クララ、杏! そうだね……」

 

「シュートコマンド07!」

 

「ゴッドフラワーG4!」

 

 

 

化身パワーなくしてはまだG4であるゴッドフラワー。当然止められはしない。

 

「ゴッドブレイク!」

 

アフロディもそのあとにシュートブロックに入る。止まりはしなかったが後ろにはまだ二人がいる。

 

「アイスバーン!」

 

「あれだけ格好つけてたんだから、止めろよ?」

 

「杏、お前も言ってるじゃないか」

 

「そうだな、うぉぉぉ!」

 

止めた。クララは肩で呼吸をしながら微笑んだ。

 

「止めたよ」

 

「ば、ばかな……オレのシュートが」

 

「作戦時間は終了していないっ!」

 

バダップはまだ諦めていない。いや、この燃え上がり方はまるでサッカーを楽しんでいるようではないか。

 

「相手さんもやる気のようだし、あと少し頑張っておくれ皆!」

 

クララのボールをアフロディが受け取る。

 

「取ってみせる!」

 

バダップはアフロディからボールを奪おうと果敢に攻める。

 

「その顔、君もこの試合を通して感じてるのではないかい? サッカーの楽しさを」

 

 

「楽しさだと?」

 

「そうさ、負けたくない。勝ちたい。この試合で君はサッカーを知った。かつての僕みたいに」

 

アフロディはバダップを突破、すぐさまベータが前に現れる。

 

「君は、元からわかっているようだね。でもそれを隠している……本当の目的はなんだい?」

 

「未来のためにサッカーを消す! それだけだ!」

 

「強情だね。 でもこの試合は僕達の勝ちだ」

 

試合終了のホイッスルが鳴り響いた。かなりの負傷を負うものもいたが辛うじて勝利したのは花瑞達であった。

 

「任務失敗、撤収だ」

 

オーガは去った。しかし、彼女はまだそこにいた。

 

「手ぶらで帰るなんてそんなわけないじゃないですか♡」

 

試合前に使ったあのボールが再び花瑞を襲う。その吸い上げに、先ほど切れたヘアゴム、ヒロトからもらったあのヘアゴムがボールに吸い込まれる。花瑞は手を伸ばすが完全にボールの中にヘアゴムは消えてしまう。

 

「ちっ、こいつ事態にも時空への干渉力が付いてやがる。花瑞とヒロトの架け橋のひとつだからか?」

 

ボールの中に吸い込まれたヘアゴムに宿る力にベータは愚痴を漏らす。それを見ていた黒嶋は、花瑞を捕らえるまで終わりを迎えなさそうなこの時間を終わらせるために覚悟を決めて一周回って爽やかな顔でベータの前に立った。

 

「好きにさせるかよ」

 

「なっ、てめ!」

 

「黒嶋さん!」

 

「わるい。オレがこいつを止める。だから、世界一はお前らに託す。勝て」

 

「や、やむをえん! 今のうちに脱出するぞ!」

 

「待って!ワンダバ! 彼だって…」

 

「問題ないはずだ! 今は彼女達を救う方が優先だ! そうしなきゃ、彼が盾になっている意味もなくなる!」

 

「黒嶋さぁぁん!」

 

 

 

気付いたときにはライオコット島に戻っていた。黒嶋を除いて。

ベータが現れない間は黒嶋がベータを止めているということなのだろう。未来からの救援者、カノンと天馬、フェイは元の時代に戻っていった。

 

そして、天使と悪魔との死闘を終えた円堂達も負傷者を出しながら二人を取り戻していた。

 

 

 

 

 

 




八神「すまない、あとは任せる」

クララ「八神は腰にヒビか…」

杏「私は足首の捻挫だけだからすぐ治るが八神は……」

クララ「二人の思いは私が引き継ごう、任せてくれ」

杏「待て、わたしはすぐに治る!」


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