筆者「そりゃまあ、未来の戦士だし」
ヒロト「勝つ可能性正直かなり少ないけど、花瑞を失うなんて絶対に嫌だ」
筆者「……頼むぜ、二人とも」
ヒロト「あぁ。言われるまでもない」
マキ「勝ってみせるから」
「これだけの実力差を見せつけられ何故目が輝き続けている」
「あぁ、オレもそう思うぜ。しゃーない、もっと痛め付けてやる」
ベータの全力、それについていけるバダップの二人による猛攻が始まった。
「ぐっ! きゃぁ!」
マキが最初の餌食になる。左右から何度も何度もボールが襲い掛かり身体を傷つける。
「やめろぉ!」
止めにはいった八神の腹にボールを一撃喰らわせてダウンさせる。次はヒロトが狙われる。目で追うことすらままならない猛攻を前に手も出ない。ヒロトもみるみるうちにボロボロにされていく。
「やめてよ……やめて…………やめなさいよ!」
「花瑞!? 冷静になれ」
「お兄ちゃん…止めないで」
「ダメだ! 冷静になれと前も言った。そしてそれを花瑞は乗り越えた。それを今また繰り返してはダメだ」
「だからって、わたしの大切な人達が私のせいで傷つけられるのを見てらんないよ!」
「……なら僕が行く。花瑞はゴール前を守ってるんだ」
「………」
アフロディはヒロトを救うべく前に出る。
「とはいえ、僕一人では厳しいか……カノン」
アフロディはカノンに目配せをして二人で救出に向かう。
「へっ! 雑魚どもがしゃしゃりでてんじゃねぇよ!」
ベータがアフロディにボールを放つ。アフロディは頭を少し横に傾けて躱す。ボールが後ろ髪の間を通過する。背後からバダップが近づきボールをダイレクトに蹴り返してボールはアフロディの後方上空から落とされる。アフロディは僅かに足を横にずらしてボールの落下地点から外した。ボールはバウンドして空に打ち上げる。威力はなくなり誰でも取れそうになったボール、そこには既に円堂カノンが先回りして待っていた。アフロディが引き付けて回避に専念、カノンはこの機会を伺いジャンプするタイミングを計っていたのだ。
「ふっ、役割分担は大切だね」
「このボール、絶対にゴールさせるから任せて!」
カノンはベータが迫るのを感知して天馬に一度ボールを預け、再びカノンにボールを戻す。
「ゴッドキャノン!」
「エレキトラップ!」
カノンのゴッドキャノンがザゴメルのエレキトラップを突破して一点目を手にした。
「ちっ、あいつらに可能性を与えちまった」
「しかし、ダメージを負った奴が増えればいくらでもこちらが勝てる。前半はこのままダメージを与える作戦に出る」
再び攻撃が始まる。次はカノンであった。そして杏、二人がボロボロにされていく。
「いいのかよ?そんなとこで見てるだけでよぉ? お前のせいだぞ? 花瑞ぃ?」
「挑発に乗るな花瑞、お前のせいじゃない。奴らが勝手に襲ってきてるんだから」
「わかってるよ…わかってても許せないよ」
「ワンダバ! 僕にミキシマックスを!」
「わ、わかった! こんな早く必要になるとはな……いくぞ!」
「うぉぉぉぉぉ!ミキシトランス!ティラノ!」
花瑞にとってまたも新たな力であるミキシマックスによりパワーアップしたフェイがバダップからボールを奪う。しかし、ベータにボールを奪い返される。
「その程度で調子に乗ってるんじゃねぇぞ!おらぁ!」
フェイが簡単に吹っ飛ばされる。もう我慢ならなかった。花瑞は兄の静止を無視してボールを奪いに走り出した。
「へっ、来たか。やられに」
「ゴッドフラワーG4!」
「そんなんで止められるかよぉ!」
ゴッドフラワーを簡単に破り、ボール越しに花瑞に蹴りをいれる。
「とどめだ、おらぁ!」
ふらふらと立ち上がる花瑞の頭上にボールが振り下ろされる。
「花瑞さん!」
「真ゴッドノウズ」
アフロディがそのボールを右足で対抗する。しかし威力が足りない。
「ジャスティスウィング!」
「烈風ブラスト!」
そこに黒嶋と天馬が加わり押し返す。
「なに!?」
逆にボールはベータの腹に直撃する。
「くっ、雑魚どもが……」
「みんな、ごめん……ありがとう」
「冷静になれ。花瑞」
「気にするな、それよりまだプレー中だ」
黒嶋はボールを持って攻勢に出る。ボロボロなマキ達も攻撃に参加して前半のうちに同点にしようと力を振り絞る。
「いかせねぇ!」
エスカバがボールを奪いに立ち塞がる。
「天馬!」
「はい!黒嶋さん!」
天馬がボールを受け取りジャスティスウィングを放つ。
「ニードルハンマー!」
しかしあと僅かというところをザゴメルに防がれる。
「そんな!」
そのボールはあっという間にバダップに渡る。
「デススピアー!」
「止めなきゃ……アイスブロックっ!」
威力では確実に勝てていないが、絶対に決めさせないという気持ちで持ちこたえる。しかし、じりじりと追い込まれていく。
「負けるな! クララ!」
「杏!?」
ボロボロな杏がクララの背中を両手で支える。クララに杏の熱い思いが伝導する。
「これは……」
クララの左手が燃え上がる。
「この左手、いけるかもな」
右手のアイスブロックに左手の炎。ボールに二人の力をぶつける。
「はぁはぁ……」
「止めた……だと」
「ありがとう…杏」
「礼なら試合が終わってからだ」
このボールを花瑞に託しそのボールは最後に天高く空へ、花瑞とアフロディが飛翔する。
「ゴッドブレイク!」「ゴッドノウズインパクト!」
「ニードルハンマー!」
二人の力、そしてまだボールに残っていたクララと杏の炎と氷の力が加わりカオスブレイクのような力がボールに伝わる。
「ぬ、ぬぉぉぉ!?」
同点、前半を負える直前に希望を繋いだ。
クララ「杏」
杏「なんだ」
クララ「うん、呼んだだけだ」
杏「な、なんだそれ!」
八神「やれやれ、微笑ましいな……いてて」