fate/stay night 夢よ永遠に   作:fate信者

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久しぶりの投稿です
今回はある人が正義の味方になります?
まあ、何とか書いていけそうです!
それではどうぞ!


正義の味方は涙を流す

「爺さん、俺も魔法使いになりたい!」

 

士郎のこの一言によって空気が変わった。

士郎は言ってはいけない事を言ってしまったのだ。

『魔法使い』とは魔術師の到達点とも言われているぐらいに凄いものなのだ。そして、魔法使いの単語を聞いた切嗣は、私を一瞥し、あることを察した様に、真剣な面持ちになった。

ただ、「魔法使い」と聞いただけで、切嗣はこんな態度になりはしない。

これには理由がある。

『魔法使い』と言う単語はこの日常にありふれている。

童話にアニメと言ったモノでも出てくる。

今の士郎ぐらいの年齢の子供たちが好きなモノ。

しかし、士郎は、あの時以降、童話なんて読んでいないはずだし、テレビだってニュースしか見ていない。

外で遊んでいるのなら聞く事もあるかもしれないが、残念ながら士郎が外に出るのは食材を調達する時ぐらいだ。

それも、私と一緒に付いているので、士郎に話しかける人が居たら私だって見ている筈だ。見ていないと言う事は、士郎に話しかけている人は今はまだ居ないと言う事である。

結論から言って士郎には魔法使いと言う単語は知るよしも無いのだ。

切嗣は一回深呼吸をして、笑顔で士郎に問いかけた。

 

「士郎、どうして魔法使いになりたいんだい?」

 

その言葉には決意と覚悟が秘められていた。

もし、士郎が魔術師の部類だったなら、切嗣は士郎の額に銃口を押し付けるだろう。無論、そうはさせないが。

 

「? 爺さんそんなに知りたいのか?」

 

士郎は切嗣の態度に首を傾げて言った。

切嗣はそれに返事をするように首を縦に振った。

 

「ああ、これは確認しないといけない。士郎が幸せに生きていく為に必要なんだ」

 

縋るような切嗣の言葉に私は驚きを隠せずに居た。

切嗣なら士郎を殺すと思っていたが、どうやら違ったみたいだ。切嗣は、士郎の記憶を消して家族として暮らしていくみたいだ。

 

「良いよ、教えてあげる」

 

士郎は切嗣に笑顔を向けて魔法使いになりたい理由を話した。

 

「俺は爺さんみたいになりたいんだ」

 

士郎の言葉には強い決意が感じられた。

士郎のこのたった一言に、私たちは言葉を失った。

正確に言うと、私はわかっていたから、イリヤスフィールは何かを察して、黙った。切嗣はと言うと、驚愕に言葉を発せずに居た。

 

「士郎、どうしてキリツグみたいになりたいと思ったのですか?」

 

このままでは誰も何も発せず、沈黙が続く。

だから、私が切嗣の代わりに士郎に聞いた。

 

「アルトねぇはこの街を襲った火事を覚えてる?」

 

士郎は体を小刻みに震えさせながら聞いてきた。

そんな士郎の態度は恐怖に怯える小動物の様だった。

 

「ええ、覚えていますとも」

 

「俺が魔法使いになりたいのは、あの時みたいなことがあったら、みんなを助けたいからなんだ!」

 

士郎は強い決意に満ちた瞳で私たちを見た。

その瞳は私が大好きだったあの時の士郎の瞳だった。

 

「魔法使いになりたい理由はわかりました。しかし、キリツグの様になりたい理由がわかりません」

 

私はそう言うと、私と切嗣を交互に見て、こう返してきた。

 

「俺はあの火事の時にアルトねぇと爺さんに救われたんだ。その時、爺さんの安心した顔を見て思ったんだ。ああ、俺もこんな風に生きたい、ってな」

 

士郎は満足したみたいに笑顔だ。

この光景に笑みがこぼれる。

 

「キリツグはどうです…か?」

 

私は切嗣の方を向いて見ると、切嗣の双眸から止めどなく涙が溢れていた。

私たちは言葉を失った。

切嗣の性格を知っているからだろう。

切嗣の泣いてる姿に驚きを隠せずに居た。

 

「皆、ごめん。何故か急に…」

 

切嗣は自分がどうして泣いているのかわからないらしい。

多分、切嗣は認めて欲しかったんだと思う。誉めて欲しかったんだと思う。そして、自分のやってきた事が無駄じゃないと誰かに教えて欲しかったんだと思う。

切嗣のやってきた事は正義の味方のふり。だが、今日この日に限って切嗣は本当の正義の味方になった。

 

「話を戻そうか、どうして『魔法使い』と言う言葉を知っているんだい? 誰も言ってないと思うけど?誰かに教えてもらったのかい?」

 

切嗣は自分の目から出てくる涙を拭い、

士郎に尋ねる。

 

「知ってるも何も爺さんが言ったじゃないか?」

 

「えっ!? 僕ッ!?」

 

切嗣はどうやら覚えていないらしい。

そして、切嗣がいつ言ったのか私も知らない。

 

「うん、そうだよ」

 

「一体いつなんだい? 一体いつ!?」

 

切嗣は士郎の肩を掴んで、凄い形相で問いかける。

そんな切嗣に、若干ひくつきながらも士郎は答えてくれた。

 

「病院の時に、爺さんが、言ったじゃないか。『僕は魔法使いなんだ。』ってさ」

 

士郎の言葉を聞いて、切嗣は自分の記憶を思い返しているようだ。

そして、直ぐに思い出したようで……

 

「あっ!?思い出した! 確かに言った!!」

 

私は思った。

「魔術師は皆うっかりなのか?」と。

そして、士郎は切嗣に魔法使いのなりかたを聞いていた。

これで、今日の話は終わり。

明日は一体どんな話になるのでしょう?

私は明日を楽しみにし、今日を終える。




最後何か微妙な気がします。
でも、これ以上書いたら多くなるからここら辺で終わらせないといけません。
次回は、多分、剣道するんじゃないかと思います。
投稿は多分遅くなります。
それでは次回は見て頂いたら幸いです。

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