fate/stay night 夢よ永遠に   作:fate信者

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予告通り大河が出ます。
あんまり会話をしません。
すいません。
大河はこれからもちょくちょく出していくつもりです。


冬木の虎

私たちは切嗣の後を追う。

切嗣が行こうとしている場所は私が良く知るあの武家屋敷だ。

 

「ここが君達の新しい家だよ」

 

切嗣が家を紹介する。

案の定、武家屋敷だった。

 

「すげぇ~」

 

「……」

 

士郎は驚き、私は過去の思い出と一緒に思い返す。

ここでは色々あった。

大河や桜や凛達と暮らしていた事を思い返す。

 

「さあ、中に入ろう」

 

切嗣はそう言いながら、先に入って行った。

士郎と私は切嗣の後を追う様に入る。

 

「うわ~、凄く広いな」

 

「ええ、そうですね」

 

士郎は終始興奮状態だ。

私は見慣れているから大丈夫だ。

 

「おかえりなさい……さて、案内するよ」

 

切嗣の言う通りに私たちは切嗣の後を追う。

 

「ここが居間だよ」

 

切嗣が最初に向かった場所は私が良く知る居間だった。

ここではご飯を食べたりお菓子を食べたり

他には……えーと、他には……特にありませんね

 

「ここが和室で、ここが洋室」

 

切嗣が紹介した部屋の数は十部屋で下手な旅館よりある。

 

「ここが土蔵。まあ、物置小屋だね」

 

ここは私と士郎が出会った場所。

思い出の場所だ。

 

「ここは今作ってる最中だけど道場になる予定だ」

 

ここも思い出深い場所だ。

士郎と何度も打ち合った場所。

 

「さて、案内も終わった事だし、士郎とアルトレアさんは自分の部屋を決めて来てくれ」

 

私と士郎は部屋を決めに行く。

切嗣は縁側に座った。

 

「シロウ、何処にしますか?」

 

「ん~、そうだな俺は和室にしようかな?」

 

「では、私はシロウの隣の部屋にしてもいいですか?」

 

私が言うと士郎は驚き、その後、笑顔になって良いよと言った。

 

「キリツグ、部屋が決まりました」

 

「わかった。後…そろそろこの家に僕の知り合いが来るから」

 

「分かりました。それで、その人の名前は?」

 

「ああ、その娘の名前は藤村大河って言う可愛い女の子だよ」

 

私は切嗣にバレない様に驚いた。

大河は一体いつからこの家に居るのだろうか?

 

「分かりました。任せて下さい」

 

私がそう告げた矢先、玄関の方から

 

「切嗣さ~ん、居ますか~!?」

 

と言う元気な声が聞こえた。

勿論。大河である。

 

「大河ちゃん。こっちだよー」

 

切嗣も大声で場所を知らせる。

「む? そっちか! 」

 

「切嗣さ~ん、あ〜そ〜びぃま〜しょ…う?」

 

大河が固まった。

いや、体がでは無く、心が。

体は小刻みにふるふると揺れていた。

この時の大河は爆発寸前の火山だ。

大河が爆発する前に私は士郎の耳を塞ぐ、今の士郎ではとてもじゃないが耐えられないと判断したからだ。

 

「切嗣さん! 誰ですかこの二人!? まさか! 切嗣さんのヨメさんとコドモですかぁ!?」

 

大河は爆発した。否、吠えた。

まるで虎の様に吠えた。

 

「大河ちゃん、落ち着いて!この子達は僕の養子だよ!」

 

「切嗣さんが女を連れて来るなん…へ?」

 

大河は又しても固まった。

今度は本当に固まった。

体は一ミリたりとも動いていない。

心配した切嗣が彼女の頬を叩くと、意識が帰ってきたようだ。

 

「切嗣さんの養子なんですか?」

 

「ああ、そうだよ。二人とも自己紹介を。」

 

切嗣は私達の方を向き、そう告げた。

私と士郎は言われた通りに自己紹介をする。

 

「衛宮アルトレアです。宜しくお願いします」

 

「衛宮士郎です、宜しくお願いします」

 

これで大丈夫……な筈だ。

 

「切嗣さんの養子なんだ」

 

「はい」

 

大河は安心したのか、私達を睨まなくなった。

 

「ところで? 大河ちゃんは何しに来たんだい?」

 

切嗣が言うと、大河は切嗣の方を向き、

 

「暇だから来ました」

 

何とも大河らしい理由だった。

大河は昔から変わっていない。

性格も態度も、唯一変わっているのは髪型ぐらいか。あの頃ではショートヘアーだったが、過去ではポニーテールとなっている。

 

「ああ、大河ちゃん、士郎、アルトレアさん。一つ言わなくちゃいけないことがある」

 

切嗣は真剣な顔になり、そう切り出した。

 

「何ですか、切嗣さん」

 

何かを悟ったらしい大河も真剣な顔になる。

 

「実は、明日から僕は海外に行く」

 

「「えっ!?」」

 

私と大河が驚く、士郎は何の事か分からず首を傾げている。

可愛い。

 

「どうしてですか?」

 

「実は、僕の娘が寂しい思いをしていると思ってね。明日から僕はその子を迎えに行く」

 

大河は驚いている。

私も少しだけ驚いた。

 

「それで、士郎、アルトレアさんにお願いがある」

 

「お願い?」

 

「なんでしょうか?」

 

「君達にこの家を任せても良いかな?」

 

私と士郎は頷く。

 

「任せてくれ、この家は俺が守ってやっから!」

 

「お任せ下さい。不貞の輩に、私達の家は、指一本触れさせません」

 

私と士郎が凄い意気込みで答えると、

切嗣も安心した様に

 

「そうか。ああーー安心した」

 

切嗣は一言呟き、、歩いていく。

切嗣はこちらを振り返り、

 

「頑張って早く帰るから」

 

と、実に彼らしい事を言って、旅立って行った。

この時の私には知る由もないが、この切嗣の行動から未来は変わっていく。

未来はたった一つのイレギュラーで変わってしまう。

しかし、それで、士郎が救われるならそれでも良いと思う。




さあ、切嗣さんの行動からどんな未来になるのでしょうか?
本来なら切嗣さんは士郎が一人でも留守番が出来る様になってから行きますが、この話ではアルトリアさんが居るから通常より早く行くことになりました。
次回は日常かな?

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