fate/stay night 夢よ永遠に   作:fate信者

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気が着いたら棒が黄色くなってました~~~!!!!!
めちゃくちゃ嬉しいです。
この作品を評価してくれた皆様には感謝してもしきれません
本当にありがとうございます!!!!!!!!!!!!


今後の方針

そんなこんなで夕食が始まった。

 

「……」

 

こっちは無言で通している。

さっきの事もあって、ここで遠坂と話をするのも癪に障るし、セイバーの顔を見るのも気恥ずかしかった。

 

「…………」

 

セイバーは黙々と食事を進めている。

その仕草は上品で、とても剣を振るっていた少女とは思えない。

それに、なんていうか。

 

「…ふむ。…ふむ、ふむ」

 

手をつけてない料理を口に運ぶたび、こくこくと頷いたりする。

その仕草は凄く見覚えがあるものだった。

アルトねぇも新作料理を食べるといつも頷いていた。

おそらくは美味しいという意思表示なのだろう。

ちなみに、きちんと箸を持てた。

 

「……」

 

一方遠坂はと言うと、

 

「よし、これなら勝った……!」

 

なんて、一口食べただけで握り拳をする始末だ。

 

「ふふ、明日を見ていなさいよ衛宮士郎……!」

 

ふるふる、と握った拳を震わせる遠坂。

 

「……」

 

ゴッド。

俺、なんか悪いコトしましたか。

 

「あのな、さっきの話だけど」

 

「「?」」

 

二人同時に顔をあげる。

 

「っ!」

 

待て、待て待て待て待て。

一人でさえ緊張するっていうのに、二人同時に反応するなっていうんだ。

 

「さっきの話って、何のことよ」

 

「……だから今後の方針ってヤツ、人が飯作ってる時に話してただろ」

 

「まずは他のマスターを捜す、という事ですか?」

 

「そうそれ。具体的にはどうするのかなって思って」

 

「どうするも何も、地道に捜すしかないでしょ。

あ、そうだ。士郎、魔術師の気配ぐらいは判る?

なら話は早いんだけど」

 

「判らない。二年近く学校にいて、遠坂が魔術師だったなんて知らなかったんだぞ、俺」

 

「やっぱりそうなのね。……ま、それはいいわ。

どうせ他の連中はみんな気配を絶ってるだろうし、魔術師の気配から辿る線は無理っぽいもの。

セイバーはどう? サーヴァントはサーヴァントを感知できるっていうけど」

 

「多少はできますけど、あくまで身近で能力を行使している場合だけです。

私では半径二百メートルほどしか捉えられません」

 

「なるほどね。じゃあますます相手の出方を待つか、どこかおかしな場所を探すしかない。

マスターが何か行動すれば、その痕跡は残るもの。

私たちはそれを探り当てるってわけ」

 

「つまり、町中を調べろって事か?」

 

「いいえ、それは止めた方がいいわ。

あっちも網を張ってるから、そんなことしたら一発でマスターだってバレるわよ。

とりあえずは、こっちの態勢が整うまでは後手に回りましょ。

今まで通りに生活してマスターだと悟られないこと。

腕の令呪は他人に見られないように隠しておくこと。

できるだけ人気のない所には行かないこと。

日が落ちたらすぐに戻ってくること。

えっと、あとは……」

 

「外出する時はサーヴァントを連れて行くようにしてください。

アーチャーは凛の護衛ができますか?」

 

「それぐらいなら出来るみたいね。

霊体にして待機させておくから私は大丈夫よ。

問題はーー」

 

「私のマスターですね」

 

「そ。ちょっと、聞いてる士郎?

外出する時はちゃんとセイバーを連れて行きなさいよ。

人目につかないようにするのがわたしたちのルールだけど、中には昼間っから襲いかかってくるバカがいるかもしれない。

そういう時に備えて、セイバーとは一緒にいなさいよね」

 

「ーーわかった、努力はする」

 

気乗りのしない返事を返す。

言っている事は分かるけど、セイバーといつも一緒にいる、というのは抵抗がある。

遠坂を相手にするのも緊張するけど、セイバーはそれ以上に緊張する。

……いや、緊張というのは違うか。

セイバーと話をするのは、ともかく苦手なのだ。

 

「なにか?」

 

「ーーなんでもない。おかわりならつぐから、茶碗よこせよ」

 

「いえ、結構です。実に見事な味付けでした、シロウ」

 

「っ!」

 

思わず視線を逸らす。

……こんな風にまともに顔を合わせられないんだから、いつも一緒になんていられるもんか。

 

「あ、でもダメか。セイバーは霊体になれないんだから、学校まで付いて来られない」

 

「学校……? シロウは学生なのですか?」

 

「そうだけど……あ、そうか。

セイバーは生徒じゃないんだから、学校には入れない。

……学校に行っている間は、うちで待機してもらうしかないかな」

 

「……学校に行かない、という事は出来ないのですか、シロウ」

 

「できないよ。普段通り生活しろってんなら、学校には行かなくちゃ。それに学校に危険はない。

あれだけ人がいる場所ってのもそうはないぞ」

 

「ですが」

 

「大丈夫よセイバー。

学校にはわたしだっているんだから、もしもの時はフォローするわ」

 

「だから、もしもの時なんてないって」

 

「……分かりました。マスターがそう言うのでしたら従います」

 

セイバーは納得のいかない様子で、とりあえずは頷いてくれた。

 


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