fate/stay night 夢よ永遠に   作:fate信者

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秘密の話

セイバーとの部屋の件について一件落着し、セイバーに屋敷の見取りについて説明する。

 

「こっちが和室。裏側にまわると居間とか風呂とか、そういった共通施設に出る。で、縁側をずっと歩いてあっちの別棟に行くと客間がある。

……遠坂はそっち側に行っている筈だ」

 

聞いてるのかいないのか、セイバーは頷きもせずに付いてきていた。

 

「屋敷の見取りはもういいです。

それよりシロウの部屋はどこなのですか?」

 

セイバーはどうやら俺の説明がお気に召さなかったらしい。

長々と部屋の説明をしなくても良いのは此方としてもありがたい

俺はそう思いながら自分の部屋に向かう。

 

「俺の部屋はこっち。

わりと奥まったところにある」

 

「ではそちらに案内してください。

内密に話があります」

 

「内密な話?」

 

それは遠坂に聞かれたくない、という事か?

遠坂は別棟に行っているからここでも構わないと思うが、アイツだってマスターだ。

壁に耳あり障子に目ありというし、確かに縁側で内緒話もない。

 

ーーー

 

「ほら。ここが俺の部屋」

 

「ここがシロウの部屋、ですか?」

 

部屋に入るなり、セイバーは目を丸くして驚いている。

 

「どうした? セイバーをびっくりさせるようなモノなんかないと思うけど」

 

「いえ、少々私が想像してた男性の部屋とはイメージが違ったのでびっくりしてしまいました」

 

「ああ、この人形とかぬいぐるみとかだろ?

これはアルトねぇとイリヤからのプレゼントなんだ

最初はこの部屋に何もなくて

それをみたイリヤが寂しい部屋って言ってきて、それから一年毎にイリヤとアルトねぇが俺の部屋に人形を置いて行くんだよ

これなら士郎も寂しくないでしょ!って、でも、やっぱり変だよな? 良い年した男が女物の人形とかを部屋に飾ってるのって」

 

「いいえ、私はそんな事を気にしませんし、それが人の善意の事ならバカにする人も居ないでしょう。

それに、ここの部屋はとても温かい」

 

セイバーはそう言うと人形の中からライオンのぬいぐるみを手にとった。

セイバーはライオンのぬいぐるみを数秒間見つめていた。

 

「……良かった

これなら大丈夫そうですね」

 

セイバーはそう言うとライオンの人形を元の場所に戻す。

……聞くなら今だろう。

 

「それで?内緒の話ってなんだよ、セイバー」

 

「二つあります。そのどちらもシロウと私だけの隠し事にしたいのですが、いいですね?」

 

「? いや、セイバーがそうしたいっていうんなら構わないけど、できれば先に内容を言ってくれ。

良い話か判断がつかない」

 

「どちらも悪い話です。少なくとも、他のマスターには知られたくはない」

 

セイバーの面持ちからするに、悪い話ってのは俺たちの欠点のコトなんだろう

 

「そうか、話の趣旨は判った。真剣に聞くから、言ってくれ」

 

「はい。まず一つめ、召喚されたサーヴァントの最初の義務、自信が何者であるかをマスターに告げる。

これを果たせない事を許してほしい」

 

「何者であるかを告げるーーああ、セイバーの本当の名前の事か」

 

サーヴァントは英霊だ。

その正体はあらゆる時代で名を馳せた英雄である。

彼らはクラス名で正体を隠し、自らの手の内をも隠す。

だが、同時にマスターだけは知っておかなければならない事でもあるのだ。

何故なら、英霊の正体が解らなければ正確な戦力が判らない。

マスターとサーヴァントは一心同体。

どちらかが隠し事なんてしていて、まともに戦える訳がない。

ーーとまあ、それは普通のマスターの事情だ。

セイバーの真名を知った所で俺には彼女を扱えないし、何よりあまり興味がない。

 

「ふうん。いいけど、どうして?」

 

「私なりに考えた結果です。

いかにシロウが私の真名を隠そうとしても、シロウから知識を奪う術は多くあるでしょう。

シロウの魔術抵抗はお世辞にも高くはありません。

敵が優れた術者ならば精神介入も容易い。

敵の魔術にかかれば、貴方の意思に反して私の真名が明かされてしまう」

 

「成る程、暗示をかけられたら一発だもんな」

 

「ええ……もっとも、私自信はそう高名な者ではありません。バーサーカーに比べれば数段ランクは落ちるでしょうし、知られたところでどうという事はないでしょうが」

 

無念そうに呟くセイバー。

英雄としてバーサーカーに劣っている事を悔しがっている。

 

「いいんじゃないか?切り札は隠しておいてこそ切り札だろ?

マスターがこんなんだからさ、セイバーが工夫しようとしているのは判るよ。

それとバーサーカーだけど、アレは反則だろ。

セイバーが落ち込む事はないし、セイバーも全然負けてない。

あんな傷を負ってたのに真っ正面から打ち合ってたじゃないか」

 

「そうですね。前回は不覚をとりましたが、傷が癒えれば違った結果になるでしょう」

 

「だろ? よし、一つめの話はこれで終わり。

二つめの話っていうのは?」

 

「ええ、それなのですが……おそらく、これは私たちでは解決出来ません。

私たちサーヴァントはマスターからの魔力供給によって体を維持する。

だからこそサーヴァントはマスターを必要とするのです」

 

「俺が半端なマスターだから、セイバーは体を維持するのに必要な魔力がないって事か?」

 

「違います。例え少量でもマスターから魔力が流れてくるのなら問題はないのですが、シロウからは全く魔力の供給が無いのです

繋がっている筈のラインが断線しているのです」

 

「セイバー、それは」

 

「シロウ自身の欠点ではありません。おそらく召喚時に問題が起きたのでしょう。

本来繋がる筈のラインが繋がらなかったようです」

 

「……待て、それじゃあどうなるんだ。魔力を回復できないって事は、セイバーは直ぐに消えてしまうのか」

 

「ええ。私がもつ魔力を使いきれば、この世界に留まる事は出来なくなるでしょう。

その為、私は少しでも魔力の消費を抑えなければならない。供給がないのなら、あとは睡眠する事で魔力の消費を押さえるしかありません」

 

「睡眠……眠れば魔力は回復するのか?」

 

「……解りません。ですが最低でも、眠っている間は魔力を使わない。

ですから、これから出来る限りの睡眠を許して欲しいのです。

常にシロウを守ることは出来なくなりますが、それも勝利の為と受け入れてほしい」

 

「はあーー」

 

大きく胸を撫で下ろす。

……良かった。そんな事でいいんなら、いくらでも受け入れる

昨日からセイバーに助けて貰ってばかりだ。

少しでもセイバーの負担を減らせれるなら、これ以上の事は無いだろう。




久しぶりです。
本当にすいませんでした!
少しのつもりが一年も休んでしまって申し訳ありません
一年ぶりなので誤字、脱字が目立つと思いますが、その時は教えて頂ければ幸いです。

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