fate/stay night 夢よ永遠に 作:fate信者
fate信者です。
今回は短く纏めれました。
これから物語は始まっていく、的な。
では、どうぞ!
俺は覚えている。
あの火の海の中で俺を助けてくれた人を覚えている。
金髪の女性が誰かの名前を叫んでいる。
生きてると言いながら、俺を抱きしめてくれた事を覚えている。
その顔が涙に覆われていながらも安堵の顔をしていた事を覚えている。
死の淵にいる自分が羨ましく思える程、彼女は眩しかった。
そして、もう一人の男を覚えている。
男の人は、俺とその女の人に「二人だけでも生きてて良かった」と泣き笑いで喜んでいた事を覚えている。
男は救われたと言っていた。
助ける事が出来て救われたと言っていた。
まるで、救われたのは俺ではなく、その男の方だったようだ。
その姿はまるで正義の味方の様だった。
それを俺は綺麗だと思った。
その男の生き方がなんて綺麗なんだと思った。
俺はその男の人が見せてくれた笑顔を最後に、意識が消えた。
「んっ、うっ、うう」
気が付き、目を開けると、そこは見知らぬ場所だった。
肌を焼く熱さはなく、鼻を突く焦げた匂いもしない。助けを求める声もしない、そう耳を塞ぎたくなるようなあの沢山の声も……
代わりにあるのは、肌寒い程、冷房が効いた部屋
消毒液とかの薬品の匂い
風の音だけが聞こえる。
そして、俺が暫し風の音に耳を澄ましていると、ガラガラッとドアが開く音がした。
音がした方を見てみると…俺を救ってくれた二人がいた。
その二人は俺の方に来て、シロウ…と言った。俺の、名前?
俺は二人を不思議そうに見ていると、男の方が口を動かした。
「君は見ず知らずのおじさんと一緒に暮らすか、孤児院に預けられるか、どっちが良いかな?」
急に言われたから何の事か分からなかったので、自分なりに少し考えてみた。
おじさんたちと一緒に住むか、知らない子供たちと一緒に住むかの違いである。
俺は少しの間だけ考えた。
そして、俺の中で答えがでた。
俺はおじさんの方を指差した。
すると、おじさんは顔を綻ばせて
「そうか! 僕と一緒に住むと言う事だね。こうしてはいられない。早く荷物の準備をしよう」
そう言うと、おじさんは何やら手続きを始めた。
どうやら俺はもう退院出来るらしい。
俺はおじさんの後に続いていく。
すると、おじさんはこっちを向き、口を動かす。
「今から君に三つの事を言う」
おじさんは指を三本立てて続けた。
「まず、一つ目、君の名前は衛宮士郎。勝手に名前を付けちゃったけど良いかい?」
俺は首を縦に振った。
これは承諾の代わりだ。
「ありがとう。では二つ目、君にはお姉さんが居る。君が覚えているかは分からないけど、君は『独りじゃない』ということは分かってほしい」
俺はもう一度首を縦に振った。
「さて、最後…僕は魔法使いなんだ」
俺はおじさんが言った事が理解出来なかった。いや、正確には理解するのを放棄しただけか。
「おじさん、嘘はよくないぞ」
「これは嘘じゃない。後、僕の名前は衛宮切嗣だから、切嗣とか切嗣さんって呼んでくれても構わないよ」
俺は切嗣さんと呼ぶには抵抗があるし、切嗣…と呼び捨てにする仲じゃないから
「わかった。じゃあ、爺さんって呼ぶことにする」
爺さんは一瞬苦笑いしていたが、すぐに笑顔になり
「わかった。僕も君の事を士郎と呼ばせて貰うよ。さあ、今から君の姉さんに会いに行こう」
俺と爺さんは一緒に病院を出た。
これから俺は新しい家族と、新しい場所で暮らしていく。
新しい暮らしに胸を高鳴らせて俺は爺さんの後を追う
どうでしょうか?
切嗣さんの会話シーンは全然見てませんがこんな感じだったと思います。
士郎君は切嗣さんの家に行きます。
次回はアルトレアさんと士郎君の会話だと思います。
それでは次回