fate/stay night 夢よ永遠に   作:fate信者

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早く書いています。
あと、二話でfate編に行く筈です。
では、どうぞ!


姉の思いと弟の願い

「士郎、君は死を恐れたりしないかい?」

 

切嗣は静かに、そして、はっきりと聞こえる声で話した。

 

「突然の事で何て言って良いか解らないけど……爺さんのその顔は何か大事な時にしか出さない顔だって事はわかるよ」

 

士郎は切嗣に笑顔を向けて言い放った。

ーー士郎、その笑顔はズルいです。

今度からお姉ちゃんにもその笑顔を向けてください。

はっ!? 今のは無しです。 無し!

 

「ありがとう、士郎。君の言う通り、この話はとても重要な事なんだ」

 

切嗣は真剣な表情で士郎を見つめる。

 

「解ったよ。爺さんは俺の為に何かを悩んで、そして、決めたんなら俺は否定なんかしないよ」

 

ーー士郎は優しいですね。

そして、笑顔が素晴らしいです。

 

「お姉ちゃ〜ん、さっきから顔がだらしないけど、一体『なにかんがえてるの』かなぁ?」

 

突然のイリヤスフィールからの横槍に私はドキッとしました。

恋の方ではないです。

 

「い、イリヤスフィール! 私はだらしない顔なんて!」

 

私がそう言い訳紛いの弁解をしていると、彼女は頬を膨らませ出した。

ーーどうしろと?

 

「い、一体どうしたんですか、イリヤスフィール?」

 

「それ!」

 

イリヤスフィールは元気良く私に指を指して言ってきました。

ーーこら!人に指を指してはいけません!

 

「それ!? どれですか!?」

 

「そのイリヤスフィールって言うの止めて! 私達は家族でしょ!?だから、イリヤって言って!ずっと最初からそう言ってたでしょ!!」

 

ーー嗚呼、そうか。

イリヤスフィールは呼び方が気に食わなかったんですね。

これは、私の落ち度ですね

 

「分かりました…………イリヤ。これで良いですか?」

 

私が言うとイリヤスフィールは満足したのか、満面の笑顔を見せてくれました。

 

「士郎、君はどうする?」

 

ーーあれ?

イリヤと話していると話が飛んでいました。

いえ、これは、私が悪いんですけどね。

 

「き、キリツグ……一体何の話をしているのですか?」

 

「ん?ああ、士郎に僕の魔術回路を移植するかしないかって話だよ」

 

ーーいつの間にか其処まで話が飛んでいましたか……ですが、士郎に切嗣の魔術回路を更に移植、ですか……成る程。それなら凛の言っていた謎も解けます。

凛は昔言っていました、「士郎の魔術回路は普通の人と比べると多い」と。

切嗣の魔術回路を移植していたからですね。

 

「爺さん、決めたよ。俺は爺さんの魔術回路を移植してもらうよ」

 

士郎も覚悟を決めたようです。

 

「士郎、身をもって知ったと思うけど、魔術回路の移植は激しい苦痛を伴う。前は一本だったけど、今回は僕の魔術回路26本全てだ。その痛さは僕も想像出来ない。だから、怖くなったら言ってくれ、その時は止めるから」

 

切嗣は真剣な表情で士郎に話す。

 

「大丈夫だよ、爺さん!俺が決めたんだ、こうして欲しいって。だから、自分の考えは貫くよ。最後まで、な。」

 

ーー士郎、貴方も立派になりましたね。

あると姉ぇは嬉しいです。

だから、その気持ちを忘れないで下さい。

 

「わかった、士郎。直ぐに魔術回路を移植しよう」

 

そして、魔術回路を移植しに土蔵へと行った。

 

~~~

 

土蔵の真ん中に魔法陣を描いて、その中に士郎を座らせる。

魔術回路を移植させやすい様に、士郎は上半身を脱いでます。

ーーやはり、あの時の士郎と違って其処まで筋肉はついていませんね。

まあ、小学生ですから当たり前ですけどね。

 

「それじゃあ、行くよ。移植は直ぐに終わるけど痛みはどのくらい続くか見当も付かない。十分か一時間か一日か、最悪一週間かもしれない。だから、士郎はまだ止める事が出来る。どうする?」

 

切嗣、本当に貴方は、親バカです。

本当に良いお父さんですね。

 

「俺はもう覚悟出来てる。やってくれ…!」

 

士郎の表情は穏やかだった。

その顔には一片の恐怖も不安も感じられない顔だった。

普通の人なら不安になるし、怖くもなる。だけど、士郎にはそれがない。それこそが、士郎の強さと言えるでしょう。

だが、同時に不安にもなる。

人は死の危険に晒された時に恐怖を感じる生き物です。

それが無いと、人間としては不完全です。

むしろ、機械と同じでしょう。

士郎には機械になって欲しく無かった。

ーーはっ!? 私は何と弱気な事を……。

まだです! まだこれから何です! 私は諦めません。

「諦めなければ叶う」と言う事は、貴方が教えてくれたんですからね?

 

「行くよ」

 

切嗣の一言で移植は開始された。

魔術回路は切嗣の体から肩に、腕に、手首に、そして、士郎の背中に動いていった。

魔術回路が士郎の背中に着いた瞬間に……。

 

「ぐっ! ぐあっ!! ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

士郎は苦しみ出した。

それは、拷問を受けているかのようであった。

 

「くっ!」

 

切嗣も苦悶の表情だ。

自分の息子の苦しむ姿なんて見たくないのだろう。

 

「がああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

それでも、士郎の苦しみの声は止まない。

どんどんと大きくなっていく。

私は自分の耳を塞ぎたくなる。

自分の目を瞑りたくなる。

其ほど迄の光景が目の前にある。

私は逃げ出したくなった。

私は来なければ良かったと後悔した。

其ほど迄の悲しみがある。

だが、私は逃げなかった。

目を反らさなかった。

耳を塞がなかった。イリヤだってそうだ。目に涙を溜めて、堪えている。

其ほど迄に私達は士郎を信じている。

士郎なら、こんな痛みをはね除けて来ると私たちは知っているから。

 

「良し! 終わった。アルトレアさん、イリヤ、士郎の布団の準備は出来てるかい!?」

 

事前に、私とイリヤは士郎の布団を用意してある。後は、其方へ切嗣が士郎を抱き抱えて運んでいくだけだ。

 

「ふぅ……後は士郎の問題だ。僕たちが出来ることはもうやり尽くした。」

 

切嗣が言い終えるのと同時に私は安心したのか足から力が抜けて座ってしまった。

 

「良かった~、お兄ちゃんは無事みたいだし、後は待つだけだね」

 

「ああ、そうだね」

 

イリヤと切嗣は満面の笑顔で話し合っている。

ーー良かったです。

貴方の苦しむ顔は何回も見て来たつもりですが、やはり、辛いものがありますね。

アルトレアとなって更に弱くなってしまいましたね。

ですが、私は最後まで貴方の味方ですよ




切嗣くんも頑張りました。
士郎くんも頑張りました。
あとは、僕が頑張るだけですね。
あと、士郎くんの魔術回路が多いのは多分こうじゃないか?と言う僕の妄想です。
ですから、矛盾している所も在るんじゃないですかね。
最後に評価、感想、ダメ出し。
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