fate/stay night 夢よ永遠に   作:fate信者

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書くことがありませんすいません。



アルトレア

目を開けるとそこは火の海だった。

肌を灼く様な熱さ。

鼻をつく様な焦げた匂い。

私は驚きよりも先に焦りが生まれた。

 

「シロウ!」

 

私は彼の名前を呼ぶ。

名前を呼んだ時にはもう走っていた。

 

「シロウ! シロウ!!」

 

私は叫ぶ。

それは狂気じみた叫びであっただろう。

 

「シロウ!!」

 

どんなに走ってもシロウは見つからない。

いくら呼んでも返事は無い。

私はそれでも諦めない。

 

「シロウ、何処に居るのですか!?」

 

私は軽く一時間は走り続け、瓦礫を退かしてシロウを探し続けた。

すると、私の目の前に小さな子供の右腕が見えた。

小さな右腕はまるで空を掴もうとするかの様に伸ばされていた。

届く筈が無いのに、少年は手を伸ばし続ける。

触れられる筈も無いのに、少年は手を下げようとしない。

私はその光景を可哀想と思った。

少年の手は初めから空なんて掴もうとしていない。

かと言って、触れようともしていない。

少年は初めから誰かにその手を握って欲しかっただけだ。

それだけなのに…たったそれだけなのに…少年の手を誰も掴んでくれなかった。否、掴める人が誰一人としていなかったのだ。

 

「シロウ…」

 

私はもう一度少年の名を呼び、近づいて行く。

少年の目の前に来た。

少年は私の姿が見えていなかった。

私の好きだった決意のある瞳は、虚ろなモノとなっていた。

私は少年の過去を識っていたが、こんなに辛いモノだとは知らなかった。

私は少年を抱きしめた。

少年も微力ながら抱きしめ返してくれた。

 

「シロウ」

 

私は若干泣きながら少年の名前を呼んだ。

私たちは一体いつまで抱きしめ続けたのだろう?

あんまり思い出せない。

 

「君たちは?」

 

声のした方を向くと、そこには、私の元マスターの衛宮切嗣がいた。

切嗣は目の端に涙を浮かべて、私たちの方に歩いて来た。

彼に敵意も殺意も無い事を確かめ、私の方も近づいていく。

 

「君たちは無事だったのかい?」

 

「はい、何とかですが。」

 

私が言い終えると、切嗣の顔から涙が更に出ていた。

そして……

 

「良かった、二人だけでも生きてて良かった……!」

 

切嗣は嘘偽りの無い言葉で私たちが生きている事に本気で喜んでいる。

これが、本当の衛宮切嗣。

魔術師殺しじゃないありのままの衛宮切嗣。

 

「すみませんが、この子を診てもらって良いでしょうか?」

 

私は、シロウを切嗣に託した。

本来なら火の海から助かる唯一人の生存者。

今のシロウは目が虚ろで、呼吸も微かだ。

 

「わかった。任せてくれ」

 

切嗣がそう言って出したモノはアヴァロン

私の永遠に失われた鞘

切嗣はアヴァロンをシロウの体の中に入れた。

シロウはどんどん顔色が良くなり、そして、穏やかな寝息になっていく。

その様子を見た私は安堵の息をはき切嗣にお礼を言った。

 

「ありがとうございます」

 

「いや、まだ安心出来ない。病院に連れて行こう」

 

切嗣は本気でシロウを助けようとしている。

私は嬉しかった。

私のアヴァロンがシロウの命を繋ぎ止めている事が。そして、切嗣が心優しい人だったと言う事が。

 

「そうだ。君たちの名前は?」

 

切嗣が急にそんな事を言う。

自己紹介か…

私はなんと答えれば良いのでしょう?

普通にフルネームを、いや、それは、無しか。

なら、軽い記憶喪失と言う事にしよう。

私の名前を少し変えて後は、記憶喪失で誤魔化そう。

 

「はい、私の名前はアルトレア。そして、この子はシロウ、私の弟です」

 

シロウを弟にするのは流石に無理があったか……でも、貫き通すしかない。

私は一度で良いから弟か妹が欲しかったのです。

 

「僕の名前は衛宮切嗣。よし、そろそろ行こう!」

 

切嗣はそう言うとシロウを抱き抱え先に行ってしまった。

 

「待ってください! キリツグ、私を置いて行かないで下さい」

 

私は切嗣の後を小走りで追っていく。

 

「悪いけど、先に行くよ! このままだったらシロウ君が危ないかもしれないからね!」

 

切嗣は全力で疾走していて、全然距離が縮まらない。

私はそれでも走る。

そして、10分間走り続けた後、病院に着いた。

病院にはあんまり人が居なかった為……シロウはすぐ診てもらえた。

 

「アルトレアさん、君たちの住んでた場所は分かるかい?他の家族は?」

 

切嗣から話し掛けて来た。

聖杯戦争の時は会話らしい事は一度もしていない。

私は切嗣から会話をしてくれる事が嬉しかった。

 

「すみません。私が覚えている事は自分たちの名前と姉弟だったと言う事だけです」

 

「いや、良いんだ。無理に思い出す必要はない」

 

「…」

 

「…」

 

これで会話終了

もう少し喋れないのか、私は!

居た堪れない私が病院の天井を仰いでいると……

 

「アルトレアさん」

 

不意に切嗣からまた喋りかけて来た。

私は病院の天井から視線を切嗣に移す。

 

「なんでしょうか、キリツグ?」

 

「あの、もし、住むところが無いのなら僕の家に住まないかな?」

 

私は驚いた。

まさか、あの切嗣から一緒に住もうなどと言われるとは!

 

「宜しいのでしょうか?」

 

「ああ、大丈夫。僕の家は大きいから二人ぐらい増えても問題じゃないよ」

 

二人とはシロウと私の事。

 

「私は賛成ですが、シロウは」

 

「後でシロウ君にも聞いておこう。だけど、もし彼が住みたくないと言ったら、君たちは孤児院に行くことになるけど良いかな?」

 

「はい、私は構いません」

 

切嗣との会話が終了したと同時に。

病院の看護師からシロウが意識を取り戻したと聞かされた。

私と切嗣はシロウのいる病室に行った。

 

「シロウ!」

「シロウ君!」

 

そして、私たちは病室に入った。

 




アルトリアさんが過去に行きました。
中途半端に終わってしまいました。
次回は病室からです。
早く切嗣さんの名言を書きたいfate信者でした。
次回も宜しくお願いします

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