fate/stay night 夢よ永遠に   作:fate信者

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どうもfate信者です!
新しく書いて見ました。
この物語はfateのゲームをして思いつきました。
書くのに苦労しましたが
書けて良かったです。
それではどうぞ!


夢の始まり

これは、ある少女の願いを叶える物語

その物語は本来あり得る筈がない。

イレギュラーな物語である。

 

 

 

「契約は完了した。貴方たちの勝利だ、凛」

 

聖剣が薄れて行く。

もう魔力は残っていないが、無理をすれば少しだけほんの少しだけ留まれる。それに。

 

「彼らの行く末を、最後まで見守りたい」

 

これが少女の新しく、そして、何者にも侵害されない願い。

 

「行けるのなら何処までも行きたく。出来るのなら、貴方たちの剣として私は最後まで生きたい」

 

聖杯を求めた一人の王は、ほんの少しの未練を残して、運命の丘へと旅立つ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

少女は目を瞑った。

着く場所は変わらない。

それなら、少し目を瞑り、聖杯戦争の出来事でも思い浮かべよう。

色々とあった。

アーチャーがシロウだとわかった時やランサーが手を貸すと言った時は驚いた。

英雄王が現界していたのにも驚いた。

凛やシロウと三人で行った事。

シロウの料理が美味しかった事。

私はこの事を思い浮かべると涙が出てきた。

必死に涙を我慢しようとしてもどんどん出てくる。

私はこんなに辛いモノ等知らない。

強敵との戦闘や、仲間の反逆等、辛い出来事を沢山経験してきたがそんなに辛くはなかった。

私は大事な人たちとの別れがこんなに辛いモノだと知らなかった。

私は胸の痛みを我慢する。

我慢しないと涙が止めどなく溢れる気がしたからだ。

私は最後に少年の名前を呼ぶ。

 

「ーーーーシロウ」

 

この少年の名前を言うと心が落ち着く。

私は睡魔に襲われ、意識を落とした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お ーーーーー ル ア」

 

誰かが何か言っている。

だが、聞き取れない。

「おいーーーーーアル ア」

 

もう一度言っている。

だが、まだ聞き取れない。

 

「おいーーーーーアルトリア」

 

誰かがもう一度言う。

今度は聞き取れる。

 

「おい!起きろよ。アルトリア」

 

ーーーーー誰だ?

ーーーーー私はあの丘に着いた筈。

 

「貴方は、誰だ?」

 

私がそう言うと、全身刺青の少年が意地悪な笑みを浮かベた。

「やっと起きたか」とは、少年なりの挨拶なのか、それとも皮肉なのか。

 

「とりあえず起きて安心した」

 

少年はそう呟く。

私もどんどん意識が覚醒していく。

 

「あと…この場所は何処ですか?」

 

私が居る場所は周りが黒い部屋。

その天井には部屋と同じぐらいのステンドグラスがあった。

私はしばらくの間。

天井のステンドグラスに心を奪われていた。

 

「おーい、あんたの質問は俺の名前とこの場所のことだけでいいのか?」

 

「はい。」

 

私は少年に向き直る。

 

「俺の名前はアンリ・マユ、この世全ての悪とも言われている」

 

「アンリ・マユ……この世全ての悪」

 

私はこの言葉を聞いた時、危機察知能力が発動した。

今の内に倒してしまえ

私は、鳴り続ける自分の警報を抑え、アンリ・マユと名乗る少年と会話を続ける。

 

「さてと次は……この場所のことだよな?」

 

「はい。そうです」

 

アンリ・マユは立っているのが辛くなったのか、地べたに胡座をかいて座る。

 

「ここは聖杯の中……って言って分かるか?」

「なっ!?」

 

どうして? 私が聖杯の中に居るのか分からない。

この少年は私が此処に居る理由を知っているかも知れない。

 

「アンリ・マユ、私がどうして此処に居るか分かりますか?」

 

「どうしても何も…あんたは死んだ。だから、此処に来たんだろ?」

 

アンリ・マユの言ってる事が分からなかった。

私は死んではいない。

魔力切れで消えたのだ。

 

「それは、どういう意味ですか?」

 

「いいか? 聖杯はサーヴァントを動力源に動くモノだ。だから、サーヴァントを取り込む」

 

少年は私にも解りやすく説明してくれる。

そして、少年の解説に疑問が生じた。

 

「アンリ・マユ…貴方はサーヴァントが動力源と言っていましたね」

 

「ああ、確かに言ったぜ」

 

「それなら、サーヴァントの何処を動力源として使うのですか?」

 

私が思った疑問はそこだ。

一体、サーヴァントの何を動力源として使うのだろうか?

 

「そこは、俺も詳しくは知らない。多分、英霊が座に帰る時の運動エネルギーを使ってると思う」

 

「成る程。それなら納得がいく」

 

その力を利用すれば半永久的に使える。

これならば、聖杯が奇跡を起こす杯だと言うのも頷ける。

 

「それで、これから私はどうなるのですか?」

 

「それなんだが、お前に頼みたい事があってな。」

 

アンリ・マユは真剣な顔つきで言ってきた。

今さっきまで人をバカにするような笑みを浮かべていたのに、、急に真剣になられても困る。

 

「頼みたい事?」

 

「俺はある一人の人間を救いたい」

 

私は驚いた。

自分でこの世全ての悪と言った者が、人助けをしたいなんて

 

「それは、どんな人なのですか?」

 

私はアンリ・マユに聞く。

この世全ての悪が助けたいと言う人だ、どんな人か私にも興味がある。

 

「ソイツは諦めが悪くて歪な願いを持った変な奴。俺から見たらバケモノだ」

 

アンリ・マユがバケモノと言う人が居るとは、どんな人なのだろう?

 

「その人の名は?」

 

「ソイツの名前は衛宮士郎。俺が最も気に食わない奴だ」

 

私はアンリ・マユが言った事に驚きを隠せずにいた。

アンリ・マユは衛宮士郎と言ったのか?

私は、聞き間違いと信じたくて、アンリ・マユに問う。

 

「あの、もう一度名前を言って貰って良いですか?」

 

「ん? だから、衛宮士郎だって!」

 

私は再度驚いた。

間違いであって欲しかった。

 

「名前は分かりました。ですが、士郎を救うとは一体どういう意味ですか?」

 

「そのままの意味だ。アイツに『正義の味方』と言う理想を諦めさせる事、それが救いになる」

 

士郎が正義の味方を諦める事が、どうして士郎を救う事になるのだろうか?

 

「士郎から理想を取り上げる事が救いになるとでも?」

 

「アンタ、まだ分からないのか? それでもアイツのサーヴァントか?」

 

「すみません。教えて貰って宜しいですか?」

 

私はアンリ・マユに頭を下げて言う。

アンリ・マユはやれやれと首を左右に振りながら言う。

 

「いいか? アイツはあの理想がある限り歩き続ける。どんなに辛くても」

 

「はい、それがどうしたのですか?」

 

「どこまでもアイツは歩き続ける。休む事なく…いや、それ以前に休む場所すらない。そんな奴が自分の体の事を気にすると思うか?」

 

成る程、士郎は自分の身が大切だと言う人じゃないから、自分の体が壊れても歩き続けると言う事ですか

 

「しませんね」

 

「そうだろ? 俺はアイツの自己犠牲が見ていて腹立つんだよ。だから、俺はアイツの理想を否定する」

 

私はアンリ・マユが言いたい事が何となくわかった気がした。

 

「アイツはある意味呪いを受けている状態だ」

 

「呪い、ですか?」

 

「『正義の味方』……これが、呪いの正体だ」

 

アンリ・マユは苦虫を噛み潰した様な顔をする。

 

「つまり、貴方は、私に士郎の理想を諦めさせろと言いたいのですね」

 

「やっと分かってくれたか」

 

「ですが、どうやって士郎に理想を諦めて貰うのですか?」

 

私は士郎のサーヴァントだ。

士郎が簡単に自分の理想を諦める人ではないことくらい理解している。

 

「アンタには過去に行って貰う」

 

私はアンリ・マユが言った事を理解出来なかった。

否、理解するのを止めた。

 

「過去? どうやって行けと?」

 

「俺が溜め込んだ魔力を全部使って、お前を過去に飛ばす」

 

アンリ・マユは信じられない事を口にした。

アンリ・マユは、自分の為の魔力を、士郎の為に使う……と。

 

「本当に良いのですか?」

 

「ああ、気にするな。俺が使いたいと思ったから使うまでだ」

 

「それではお願いします」

 

私はアンリ・マユに一度礼を言う。

アンリ・マユは邪悪な笑みを浮かべてから準備に取りかかる。

 

「アルトリア」

 

「はい? なんでしょうか?」

 

「今のアンタを過去に飛ばしたら色々と面倒だ。だから、アンタの体を変える」

 

アンリ・マユは唐突に意味不明な事を言ってきた。

私の体を変えるとは一体どういう事か?

 

「……どういう意味ですか?」

 

「悪い、少し解りにくかったな。アンタの体の年齢を進ませると言う事だ」

 

体の年齢を進ませる?

私には全然意味が分かりません。

 

「ん?」

 

私は自分の体に違和感を感じた。

自分の体を見てみると、背が高くなっていた。

あと……………胸も、大きく、なっていた。

 

「……こういう事ですか?」

 

目の前でニヤニヤしながら笑っている少年にそう言い捨てる。

 

「ああ、そうだ、アンタ成長すると良い女になるんだな?正直ここまでになるなんてビックリだ」

 

「で、貴方の方はどうですか?」

 

「? 何の事だ?」

 

アンリ・マユは首を傾げて聞いてくる。

 

「過去に行く準備は整いましたか?」

 

「ああ、それね!」

 

アンリ・マユは両手をポンと叩いて納得がいった様な顔をしていた。

 

「こっちは準備万端だ。」

 

「では、行くとしましょう」

 

「ああ、そうだ! アンタの持ってる剣は此方で預からせて貰うよ」

 

私は黙りこんだ。

何を言っているんだコイツは?

そうしたら士郎が助けられなくなるではないか

 

「どうしてですか? 私のエクスカリバーが無かったら士郎を…!」

 

「アンタはアイツを守らなくて良い!一緒に居てやってくれれば、それでいいんだ!」

 

「ぐっ! わ、分かりました」

 

そう言うと私はエクスカリバーを自分の足元に突き刺した。

 

「よしよし! それじゃあ、彼方へどうぞ」

 

アンリ・マユが指差した場所はこの暗い部屋の外側に繋がる道、つまり、出口だ。

 

「それでは行って参ります」

 

「ああ、衛宮士郎を宜しくな」

 

別れの言葉を聞きながら、私は過去に向かって歩いていく。

私が外に出ると、そこは虹色に光る下り道。

私はその道を征く。

下れば、下る程、頭が割れる様な痛みが襲う。

記憶は曖昧だ。

気を抜けば消えそうになる。それを、持ち前の我慢強さで離さない。

そして、少女は過去に向かう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方その頃

 

聖杯の中で一人の青年が胡座をかいている。

その青年は今日会った一人の女性の事を考えていた。

それは、まるで一時の夢の様な光景。

青年は口の端を歪ませて独り言をつぶやく。

 

「さ~て、セイバー(・・・・)はどんな風に衛宮士郎を更正させるか、楽しみ楽しみ」

 

青年は少女の事を全然心配していない。




すいません。
ちょっと長すぎましたね。
自分でもちょっと長くねと思っています。
キャラが崩壊してる部分も有ると思います。
そのときは教えて欲しいです!
アルトリアの年を取った見た目はランサーアルトリアをイメージして欲しいです。
ランサーアルトリアの槍無し、馬無しです。
あれ?これじゃ誰だ?
まぁ、後で考えるとして
次回アルトリアさんが過去に行きます

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