インフィニット・エクシリア   作:金宮 来人

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連投最終です。


第09話

今日はクラス代表戦。だが、かなり嫌な予感がする。こう、何と言うか・・誰かが怪我しそうな気がする。

でも僕が、そして一夏君がそんなことはさせない。・・・って行ってもまだ予感の域を出ないから気にし過ぎても仕方ないけどね。

そう言えばクラス代表戦の事で噂が立ってるんだけど、優勝したら僕か、一夏君と同じ部屋になれるって・・・。一夏君大変だなぁ。僕と一緒の部屋になりたい人なんかいないだろうけどさ。

『第一試合、一組代表 織斑一夏対、二組代表 凰 鈴音』

おぉ、早速始まるみたいだ。‥で、…ここ何処だろう。

飲み物を買いに歩いていたらアリーナの中で迷った。あれ?僕迷子?・・地理感無いからなぁ。

近くのドアに入ってみる。…おい、此処、一夏君側のピットじゃないか。なんで普通に入れるんだよ。…ま、席に戻れるか分からないし、此処で観戦させてもらおうか。

壁のスクリーンモニターを入れて、鈴さんが押されている?いや、一夏君の動きにほんろうされている‥か。‥ついでに上部定点カメラにつなげて見る。

・・・居る。何か居る。黒い豆粒みたいな点だけど絶対あそこに何かが居るって、動いてるし。

そして、チャージし始める所が見えた、軽く見て狙いは・・一夏君か!?

ISのヘッドマウントを起動!通信接続!

「一夏君、上だ!避けろ!!」

『はぁ!?何…うおぉぉ!?』

『きゃぁぁぁ!?』

間一髪で一夏君が鈴さんを引っ張り避けた。

ビームはアリーナのシールドを軽く破って、そのままの勢いで地面にクレーターを作る。

高出力過ぎるだろ。

見れば、腕が大きくさらに巨大なエネルギー兵器が付いているようだ。見た目は射撃特化タイプの機体で一夏君とは相性が悪そうだ。

さらに、アリーナの隔壁が閉じ始める。

『緊急事態発生、各種隔壁を閉鎖します。繰り返します、緊急事態発生・・』

マジか!?どうしよう‥モニターを見ると一夏君はその侵入者?と戦っている。

よし、此処は一夏君を信じて僕も行動しよう。

緊急事態だからISを使う。クルスニクを起動しドアを蹴破る。

『ゴシャァ』

さらに廊下を蹴りながら猛スピードで近くのドアに行く。

「此処の中、誰か居る!?」

『は、はい!閉じ込められています!助けて!』

「蹴破る。ドアから離れて。真っ正面には立たないで。」

『・・・離れました!』

《ゴシャン》

さっきより力をセーブして蹴る。ゆがんだ所に手を入れて無理やり引き開ける。

「避難通路より避難。上級生は指示を。」

「は、はい。皆こっちへ!」

そう言うと代表してさっきドアで答えた女子が先導し始める。

僕はそれを見てすぐ次のドアに行く。

「ここは誰か居る?」

『来賓席の方たちがいます!』

「ドア蹴破る、下がって。」

『は、はいぃぃ!』

蹴破ると中からスーツを着た人がぞろぞろと出て来た。各国のお偉いさんらしい。

「あ、ありがとうございます。わ、私は・・」

「礼はいらない。早く逃げて。道わかる?」

「え?は、はい・・。」

ソレを聞いて安心したからまた廊下を蹴って次のドアへ行くことにした。

それで各ドアを蹴破りながら織斑先生に連絡。

「各アリーナの非常ドアを蹴破った。来賓、A,B,Cブロックのドアから避難してる。」

『金宮か!?助かったぞ。こちらもそのほかのドアをクラッキングで開けた。しかし今度はそれを織斑たちに知らせようにもジャミングされているのか通信できない、伝えに行こうにも手が開いたものが居ない。伝えれるか?』

「了解。」

来た道を戻り最初のドアからそのままピットへ飛び出す。

気がついた侵入者が撃ってくるがバレルロールで回避。鈴さんが牽制に肩の部分から打って注意をそらせる。そのまま一夏君の横に並ぶ。

「一夏君、観客席避難通路確保完了。」

『金宮!?そうか、わかった!そういや、さっきはサンキュー。助かったぜ。』

「それよりどうする?」

『無論、逃げる。…って言いたいんだが観客席の奴らが避難完了するまではもう少しかかるだろうし、教師陣が来るまで時間稼ぎでもするか。』

「…むしろ、あれを倒してしまってもかまわないんだろう?」

生前『言ってみたかったセリフベスト20』の中のセリフ。言った、言えた。いやぁ、コレ結構恥ずかしいもんだねぇ。そういや、この距離だと一応通信できているみたいだし、ジャミングを出しているのはこの機体か?

『・・行けるのか?』

「…さて、ね。」

恥ずかしさを誤魔化すように言って、武器を出しハンマーを構える。さっきの動きから見て、向こうの機体は重いらしく機動はそこそこ遅め、射撃中は行動が制限されるらしい、ならば。

「アンスタブル・マイン」

ハンマーで赤い玉を打ちぶつかるかと思った所で右に避けられる。しかし、放つと同時に地面を蹴り接近、途中で回転させながらハンマーを投げる。

「サキオン・アクセ。・・アンビュスマーチ、ロクスウィング。」

投げたらすぐに双銃を展開。相手の足もとに打ち込みさらに右方向に光る弾を撃つ。

《・・・・》

回転してくるハンマーを撃ち落とし、急ブレーキ。足元を削りながら止まって光る弾を回避。だが、それがこっちの狙いだ。

「ちっ・・・なんてね。」

舌打ちした瞬間相手がこっちに向かって腕の砲門を向ける。構えを取るため踏み込んだ瞬間に地面から石の槍が(・・・・)飛び出す。そして右腕の砲門を破壊し、さらに腕を貫く・・ん?

「・・・んむ。」

ある事に気がついてのでラピッドレンジを撃つ。少しだけ右側に(・・・)。

直ぐに相手は回避をする。かすかに右寄りであるために避けやすい左に避ける。

そして、すぐに距離を詰めようと近づくとまた構えるために体制を変える、と次の瞬間に撃たずに自分から突っ込んで来た。フェイントを入れてくるのか。少し空中で滞空しながら体をひねるようにしてそのまま殴りにかかってくる。避けながら近くで観察してみるが、おそらく予想通りだろうと見立てて反撃にでる。

銃を納めて双剣にして反撃開始。

「朧鼬・・虎牙破斬。」

左右へ斬り抜け、空中からカカト落とし。さらに上下からの切り上げと切り下ろしを連続で叩きこむ。侵入者は切られた状態で体勢を崩し一旦地面に降りる。が、それが悪手だ。

地面に降りた瞬間下から爆発が起きる。最初に放ったが避けられた技《アンスタブル・マイン》つまりは設置型の地雷。ソレを今踏みつけたと言う事だ。

剣を銃に変えてスタンブリッツを打ち込む。そのままハンマーに変えて一気に加速をつけて近づく。

スタン状態、つまり一時的に体の動きを奪う弾に吹き飛ばされているときに避けれる事は出来ず、当たってマヒした所に一気に近づいて振りかぶる。

 

ハンマーの重さ+ハンマーの振る勢い+加速による慣性+僕の体重(IS含む)=なーんだ?

 

答え《破壊力》

ちなみにハンマーとかには一番威力が上がる位置があってソレの事をインパクトポイントと言う。で、それも当然一番ダメージが行く所に叩きこむ。つまり体のど真ん中。

「せやあぁぁぁぁぁああ!!」

この学校で初めてこんなに大きな声を出した気がする。当たった瞬間、くの字に体が曲がりそのままアリーナの壁に叩きつけられて、めり込む。

『お、おい、やりすぎだ!』

『そんなんじゃ中の人は・・。』

「いや、中に人なんていない。」『『は?』』

そう言ってめり込んだ機体の頭を持って引きずり出しぷらぷらと揺らす。

「このどこに体がある?」

体から見えるのはコード、配管、チューブ。後ところどころからスパークする回路とモーター音。

「中には誰もいませんよ。」

『どういう事だ?』

『ISは人が居なくちゃ動かないはずなのに。』

そんなことはどうでもいいんだけどさぁ…。この無人機をごそごそ探ってある回路を探す。

・・お、これかな?破壊すると、

『おい、金宮!織斑!凰!返事をしろ!』

「あ、聞こえた。こっちは全員無事終了。教師陣はまだ?」

『金宮か!?お前が出て行った途端またハッキングされてロックをかけられた。しかも今度はさっきよりも丈夫にだ。お前がその機体を破壊した途端に直った所も見ると原因はそいつらしい。いま、回収部隊を向かわせる。』

「了解。一夏君、鈴、待機。」

『え?あ、おう。』『あぁ、うん。』

あぁ、だるい。やっぱり戦闘なんかするもんじゃないね。お腹すいた。

 

無人機の事は極秘になったらしくさらにクラス代表戦も中止になるらしい。だけど、一応でクラス代表の力は示しとかなくちゃいけないらしく一回線だけはやる事になったとか。

どうでもいいけどね。

クラス代表が数人ほど近くの席で落ち込んでいるが、ま、僕しらね。

あ、ちなみに僕はお礼として食堂の料金払わなくてよくなったらしい。来賓席の人が替わりに払ってくれるんだと。なんでも、この学園のスポンサーの一人だったらしく、危険を顧みず人を守っている姿に感心したとか。いずれうちの国の代表にならないかとか言われたが考えとくとだけ答えた。だって、国籍問題は後二年は先送りにできるしね。

山盛りの稲荷寿司と大盛り(を超えたメガ盛り)きつねうどんを食べながら僕は考えるのをやめた。

 




うどんを食べる時に、いつも『きつねうどん』に『お揚げをトッピング』する僕って異常ですかね?

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