「1年1組のクラス代表は織斑一夏君で決定です。」
「1繋がりでなんか縁起が良いね。」
「流石おりむーだよー。」
クラス代表が決定したからと発表されて盛り上がりを見せる。
「あれ?おかしいな、俺、負けたよね?」
「ナニ・・ヲ・・イッテ・・ルン・・ダ?」
「何!?誰?今の人!?怖い怖い!?」
えー、誰だろうね?(確信犯)
「それは私と、「・・僕。」がクラス代表を降りたからですわ。」
「ナズェデス!?」
「イギリス代表候補の『この私(わたくし)』にあそこまで追いつくのですから、この先もそこそこ強くなると見たからですわ。まぁ、私には及びませんが。」
胸を張りながら言うオルコット。しかし残念かな、一夏君はすでに聞いてない。
「じゃ、じゃあ立木は!?俺より強かったし・・。」
呆れた事を言う。忘れているだろう、この世界での僕の立ち位置は。
「・・記憶喪失。」
自分を指さしながら言うと「「「「あ・・・。」」」」っと声がした。おい、クラス全員かよ。と言うかオルコットまでなんで「そうだった。」みたいな顔してんだ。一緒に話してる時いただろうに。
「では、今から実習を始める。織斑、オルコット、金宮、前に出ろ。」
「「はい。」」「…はい。」
「三人とも、ISを展開しろ。」
「…はい。」「はい・・って早ぇ!?」「早すぎますわ!?」
言われた瞬間展開したらびっくりされた。しかも、織斑先生も驚いてる。ちょっと面白いかも。
「・・オルコット、次はお前だ。」「はい。」
そして展開する・・ぶるー、てぃあーず?だっけ?まぁいいか。
「展開速度はそこそこ良いが横に向けてライフルを構えて出すのはやめろ。せめて下向きにして出せ。あと、武器は今は要らない。いいな?」
答えは聞いてないとばかりに言いつける先生。いや、教官?
「う、うぅ・・・はい・・。」
「次、織斑。」「は、はい。」
うーん、う~ん。と展開しようとするがうまくいかない様子だ。
「早くしろ。」「うぅ、はい、・・んぅ。」
近くに行って頭に触りヘッドマウントの位置に手を置いてみる。
「・・前の展開時、思い出して。感覚に集中。」
スッと、目を閉じて感覚に集中した後、ISが反応したので離れる。
ふと見ると、どこからか手帳を出して必死にメモしてるやつらの塊を発見。
・・いや、勉強だよね?僕と一夏君が近かったからとかで腐った《腐の遺産》のネタとかじゃないよね?・・やっぱり女子って怖い。
「もっと、早く展開できるようにしろ。何かあった時に早く展開できません、じゃ済まないからな。」
「・・はい。」
「じゃあ、三人とも。飛べ。」
「「はい。」」こくり。
すぐに飛びあがる。その場でジャンプしある程度まで飛んだらスラスターで一時的に機体の体制を調整。ブースターで飛ぶがあまりそれに適していないから直ぐに一夏君とオルコットに追いつかれる。
「だから早いって。一瞬消えたように見えたぜ。」
「凄い動きですのね。でも、瞬間加速力はあってもそのほかは低いのですか?」
「・・適した方法がある。この飛び方でなければ加速はできる。」
今はしないけどな。
「そうなのですか。」
『おい、何をゆっくり飛びまわっている。そろそろ降りてこい。急制動と完全停止をやって見せろ。』
「では、わたくしから行きますわ。一夏さん、金宮さん、お先に。」
《一夏さん》ね。ま、僕には関係ないけどね。見たら、地面から10cmくらいで止まっている。
「じゃあ、次は俺が行くぞ。」
一夏君が降りて行った。《ドガアァァァァン》訂正、落ちて行った。大穴の真ん中に埋まっている。あほか。
『次は金宮、お前だ。』
返事もせずいきなり逆さまに急降下。体制も立て直さず一夏君と一緒の状況になると誰もが思っただろう。
「「「「あぁ・・・・ん?」」」」
音がしない事に疑問に感じたのか目をつむっていた女子が目を開けてこっちを見る。
地上から三センチの位置に浮いている。・・逆さまに・・。
「・・PICの操作にもよるがこんなこともできる。が、貴様はまじめにやっているのか?」
「・・当然。見本。」
さも当たり前と言う風に言ってはみたが実は、さっきから織斑先生の驚いた顔が面白くて、ついやっちゃうんだよね。《てへぺろ》(心の中で)
「そうか、貴様が私を驚かして反応を楽しんでるように思えたのだが・・。」
(ちらり)とこっちを見るが幸運にも僕は感情が顔に出ない。「ふぅ・・。」とため息をついて一夏君のほうに歩いて行く。
「この馬鹿者が。後で、ちゃんと埋めておけよ。」
「はい、すいません。織斑先生。」
で、一夏君を連れて来た。
「次は武装の展開だ。オルコットは飛ぶ前に出していたがもう一度だ。金宮は種類が多いらしいから・・片手づつ別の武装を展開してみろ。」
「「はい。」」「・・はい。」
オルコットが展開するのを待つ。
「・・はい。」「次は近接武器だ。」「えぇ!?・・・くぅ・・あぁもう!インターセプター!」
ナイフみたいな感じの近接武器が出る。
「・・近接こそ展開の速さがモノを言う。ちゃんと練習しておくように。」
「・・うぅ・・はい。」
「次は、織斑。」
「ふぅ・・!」
一夏君は『ゆきひら』?しかないからこれで終わり。
「もっと早く展開しろ。お前はそれしかないのだから、オルコットより早くないと話にならん。」
「はい、すいません。」
「最後は金宮。」
「・・はい。」
手始めに右にハンドガン、左に剣。そのまま、右を剣、左をライフル。右にグレネード、左にハンマー。両手を消して槍。最後に両手をハンドガンにして終る。
「「「「おぉ~。」」」」
「だから貴様はもっとおとなしくできんのか。・・まぁいい。これがラピッドスイッチ「高速切替」だ。しかし、貴様は当たり前のようにやるな。」
「・・何か問題が?」
「いや、本当に何者なのかと思ってな。・・まぁいい、では今日はこれくらいで終了する。織斑は穴を埋めておけよ。他は自由だ、解散。」
それぞれがばらばらになって行く。僕は一夏君の後ろをついて穴を埋める方に着いて行く。
「はぁ、なんか金宮に良い所持って行かれまくってる気がするなぁ。」
「そうでもない。」
「うおおぉぉぉ!?び、びっくりしたぁ!なんだよ、居たのか。」
「・・・・・。」
「どうした?」
「・・そんなに驚かなくても・・。」
落ち込んで地面に『の』の字を書き出してみる。
「あぁ・・すまんすまん。そんないじけんなよ。ちょっとお前の存在に気がつかなかっただけなんだし、な?」
かっちーん。ときましたよ。テメェは俺を怒らせた。
「・・こうしてやる。」
ハンマーで『コン』っと丸いものをクレーターの真ん中に入れる。地面が少し赤く染まる。
そこに石を投げ入れると。
《ドガァァン!》
アンスタブル・マインをぶち込んでもっと穴を深くしてやった。
「・・ふん。」
「おおぉぉ!?なんてことしやがる!?」
手伝おうとしたのにそんなこと言いやがるからですよ。し~らない。
部屋に戻ろうとすると廊下で布仏さんとすれ違う。
「あ、りっきー。今日は食堂の一角を貸し切ってクラス代表決定のパーティーするんだって。来るよね?」
そんな話は聞いてないな。・・なるほど。布仏さん以外から僕に声がかかって無い所を見ると、僕は来てほしくないと言う事かもしれないな。僕と違ってかっこいい一夏君が良いって子は多いだろうしな。
「・・時間があれば行く。」
「わかったー。じゃあねー。」
ごめん布仏さん、嘘ついた。やっぱり僕じゃクラスに溶け込めないみたいだから。
うーん部屋に戻って中に居たら布仏さんならまた呼びに来るかもしれないな。
「・・校内歩くか。」
部屋に戻って軽くシャワーを浴び、服を着替えて出る。
途中の自動販売機で缶コーヒーを買い適当に歩き回る。そろそろ始まる時間かもしれないと思い人目に着かない所を歩くことにする。休憩のついでに芝生の上にねっ転がってみようかと考えたがちょうどいい所が無い。・・木の上に寝るというのも今ならできるかもしれない。ゲームでよく出てくるシチュエーションで憧れていたので決行してみる。これがなかなか風通しが良くて気持ちがいい。・・眠くなってきた。
・・・はっ!危ない危ない。このままでは風邪をひくかもしれない。・・ひくかなぁ?
まぁ、また機会があればやろう。
「・・・て・・こ・・よぅ。」
ん?下から声がする?
「ここ何処なのよ。掲示板ではこっちみたいに書いてあったのに何も無いし・・。暗いしわかんない‥。うぅ・・。」
気がついてなかったが木にもたれかかるように一人の少女が座り込んでいる。
泣いてまでは無いが今にも泣きそうじゃないか。ツインテールにツリ目。気が強そうなしゃべり方、泣きそうになっている甘えん坊な性格。・・ヒロインと見た!(キリッ!)
《ガサッ》「ひぃっ!?・・な、なに?!」
あ、音立てちゃった。まぁ、木の下に居たら僕が降りれないと思いわざと声を出す。
「・・驚かせた。ごめん。」
「え?そこに居るの人なの?」
その場からどけたので地面に《スタッ》っと降り立つ。
「・・男?・・・あぁ!二人目の。」
「・・そうらしい。で、・・どこ?」
「え?な、何が?」
この子はあほの子か?それとも天然か。あぁ、驚いて頭から抜けてしまったのか。なら僕の所為かもな。
「行きたいとこ」
「え・・あぁ、えっと、総合受付。そのあと職員室なんだけど。」
わかった。と言う意味を含めて頷き歩き出す。その後を慌てて着いてきて横に並ぶ女子。
「・・生徒?」
「今さら聞くの?まぁ、そうね、正確に言うと転入生よ。あたしは中国代表候補生の『凰 鈴音』よ。」
「・・正体不明人物、金宮 立木。」
「カナミヤ タツキ・・ね。おっけー、こんどから立木って呼ぶわよ。」
「・・好きに。」
少し歩くと校舎が並ぶあたりに着く。そのまま、校舎の中に入ってすぐの所に受付がある。
「はい。ってあれ?君は・・どうしたの?」
「・・なに隠れてる?」
何故か後ろに隠れていた凰を押し出す。
「え、いや、その。」
「あれ?貴女は・・《ファン・リンイン》さんね?明日来るんじゃなかったかしら?」
「その、上層部のミスで予定の飛行機が取れなかったらしく、急遽今日付けの飛行機で来たんです。連絡も来てないんですか?」
「えぇ?・・いえ、連絡は来てないはずよ?」
「はぁ・・、すいません。面倒かけますが、そういう事なんです。どうにかできますか?」
「大丈夫よ。えーと、あった。この書類を書いて。あと、他の先生にも連絡しないといけないから中に入って。」
そう言って、担当の教師は凰を招き入れる。
「あっ!すいませんちょっと待ってもらえますか?」
入ろうとしたが何故かこっちに来る。
「・・ん?」
「ありがとね、助かったわ。アタシの事は《鈴》って呼んでね。じゃ、ホントありがと。」
何故か右手を持たれ無理やり握手させられた。・・行動が男らしいと言うかなんというか。
ま、感謝されるのは悪くは無い・・か。この感情の動きも面白いな。
時計を見ると少し遅くなってきた。そろそろ部屋に戻ってもよさそうだ。ゆっくりと部屋に戻るとするか。明日も、面白ければいいのにな。・・いや、何かある。そんな予感がした。