昨日は大浴場を使わなかったためよく知らないが、色々あったらしい。
なんか、シャルと一夏君がもじもじしてる気がする。
「…またエロハプニングか。」
「ぎゃあぁぁぁぁ!?」
そう言って一夏君の頭を締めあげた。何故この男は普段から気をつけないのだろうか‥。神様、僕よりこの男の方が見てて楽しいんじゃないですかい?
「立木!一夏もう動いてないよ?」
ぴくぴくとしている一夏君を篠ノ之が来たのでそこに投げておく。「なんでこうなっている?」と睨まれたので理由は「ラッキースケベらしい。」とだけ伝えると、「‥そうか、よくやった。」と褒められた。ざまぁ・・。
「きょ、今日は新しい?お友達を紹介・・します?」
「センセ、なんで疑問形なんですか?」
「えっと、どうぞ、入ってください‥。」
生徒の疑問に答えず転校生の紹介をする。そこには、
「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします。」
「デュノア君はデュノアさんっと言う事でした。」
「・・・は?」
静まりかえる教室の中に篠ノ之のつぶやきがこだまする。‥ような気がした。
『ええええぇぇぇぇぇえええ!?』
「じゃあ、デュノア君って女の子だったの?美少年じゃなくて美少女だったってわけ?」
「金宮君、一緒の部屋だから知らないってことは無かったでしょう?」
「まぁ、知ってた。」
「ちょっと、まって!?」
その叫び声に教室が静まる。
「昨日、男子が大浴場使ったよね?」「「「!?」」」
一気に視線が僕と一夏君の方に向かう。《ドカーン》と、音がする。そこには壁を壊して侵入してきた鈴がいた。さらに、一夏君側には竹刀を振りかぶる篠ノ之、参考本を投げようとするオルコットがいた。
「たあぁぁぁぁつううぅぅぅきいいぃぃいい!?」
「あー、ま、どうにかなるか。」
僕が避けると一夏君が全部命中するので避けられない。せめて、鈴のをくらっても全治五日ってとこかな?《ドゴーン》《ガス》《バシ》
「…どういう事?」
僕がつぶやく理由は、目の前にはボーデヴィッヒの顔。いま、僕はボーデヴィッヒにお姫様だっこみたいに抱えられている。片手はAICを起動し鈴の攻撃を防いでくれた。
ちなみに一夏君の方はクリーンヒットしていた。
「…まぁ、助かぁ、むぐ・・・!?」
言葉が続けれない理由は口がふさがれたからだ。ボーデヴィッヒの口で。
「ふぅ、…き、貴様は私の嫁にする。決定事項だ。」
と胸を張って宣言した。でも僕はこう答える。
「無理。」
「ど、どうしてだ!?私では何が足りない!?」
狼狽したように慌てた様子になる。どうにかしようとあたふたするがそう意味ではない。
「男は、嫁になれない。婿にはなるが、まだ年齢が達していない。」
日本で結婚できる年齢、男は十八歳からだから無理。さらに問題がある。
「僕は身元不明、戸籍上の親がいない。結婚できない。」
結婚届け等にも親の署名が居るのだ。だから、僕は無理なのだ。
「な、なんだと・・。」
「そんな・・。」「そう言えば、日本はそうだった‥」
ボーデヴィッヒがうなだれるのはわかる。しかし、シャルと鈴はどうしたものか。
「ま、僕と結婚したいなんて言う、そんな奇抜な人はそうそういないし、気にするだけ無駄だろうが。」
僕がつぶやくとその声に反応したように一斉にこっちを皆が見た。山田先生と織斑先生もだ。しかも揃って、驚いた顔をしている。一夏君も例外ではないので声をかける。
「何?」
「いや、それ、本気で言ってるのか?」
「何が?」
「・・・いや、いい。」
そう言って、鈴とシャル、ボーデヴィッヒに近づいて肩をポンと叩く。
「すまない、織斑一夏。私はお前を誤解していたようんだ。なかなかやさしい所もあるのだな。」
「まぁ、なんか知らんが、誤解が解けたんならいいや。」
よくわからない空気が教室をおおっていた。
ちなみに鈴は壁を壊したことで叱られていた。そらそうだ。
「あ、そう言えば‥」
「どうしたの?立木?」
右に座っているシャルが聞いてくる。
「僕、多分初めてだ。」
「え?なんの事?」
今度は左に居る鈴が聞いてくる。
「接吻。」
「「「ブー!!」」」
「‥、汚い。」
今は昼の食堂でいつものメンバーと昼食を取っていたが、僕の一言でオルコット、篠ノ之、一夏君が思いっきり噴き出した。
「ごっほ、ごほっ、おい、立木!?」
「い、いきなりなんですの?」
「も、もしかして・・」
「記憶ないから確実ではないが、感じたこと無い感覚だったから多分あってる。」
生まれてこのかた女子と付き合った事も無いしな。記憶しっかりあるから、確実にファーストキスだ。
「つ、つまり‥?」
「ボーデヴィッヒが初めての相手と。」
「「「「は、はぁあああああ!?」」」」
「うわ、うるせぇ・・。」
「‥ふむ、そうだったのか。」
その場にいる全員が叫んだ。そこでやっと口を開いたのはボーデヴィッヒ。
「つまり、私が・・その、嫁に一番近いと言うことか・・・?」
頬を染めながら言ってくるボーデヴィッヒ。何これ可愛い。というか、
「今さらだが、何故僕?」
むしろ、気分でぶっ飛ばしたし試合前は険悪じゃなかったっけ?
「私のISが暴走した時、お前が助けてくれたんだろう?目を覚ましたときにお前の腕に抱かれていたし・・。その時お前が頭を優しくなでてくれたのが凄く嬉しかったし心が安らいだ。この感情を副長に相談したらそれは恋かも知れないと言われて‥。」
その結果があれか。アグレッシブだねぇ。
「すまないけど、僕はそういうのよくわからない。」
まだ、生まれてこのかた初恋すらしてないからなぁ。恋って感情がよくわからないんだよね。
「大丈夫だ、私はお前が私を選ぶその時を待つ。」
「自信満々だなぁ‥。」
一夏君があはは・・、と乾いた笑いを洩らしているが君の横も虎視眈々と狙っているようだよ?
「ま、なんでもいいけど。」
また、メガ盛りのきつねうどんを完食して僕はつぶやいたのだった。
なんか、鈴とシャルの目つきが怖い気がするけど、気にしない。
放課後になり部屋に戻りコーヒーを飲む。
シャルが女子であることをばらしたために部屋割を変えることになった。僕はまた一人部屋に戻ったわけで、それを満喫している。
やっぱり僕がまだ正体不明だからだろうが一夏君と同じ部屋という事にはならなかった。
シャルは移動していった先の新しいルームメイトを教えてくれた。というか、
《コンコン》「立木、私だ。」「ボクもいるんだけど、良いかな?」
「どうぞ。」
そう促すと中に二人が入って来る。シャルとボーデヴィッヒだった。
そう、この二人がルームメイトになったのだ。どうにもボーデヴィッヒには一般常識が足りてないらしく、織斑先生から頼まれたそうだ。シャルも元々なのか面倒見が良くて嫌がることなく進んでいろいろと教えてあげているらしい。そのせいかこの二人はすぐに仲良くなれた。
「あ、ボクにもコーヒーもらえる?」「私も貰おうか。」
冷蔵庫からドリップした後のコーヒーを出してグラスに氷を入れ、その上から注ぐ。ミルクとシロップは好みで入れてくれ。という意味でグラスの横にストローと共に置いた。
「‥ここまで本格的なのは予想してなかったな‥。」
僕が飲んでいる方を見ながら言う。僕が飲んでいるのはまとめ買いしておいてある缶珈琲《微糖・深入り》。缶コーヒーが出ると思ったら喫茶店みたいなコーヒーが出たものだから驚いていいのか呆れていいのかみたいな表情をしている。
「‥コレは旨いな…。」
「確かに…。」
その言葉に満足して缶コーヒーを飲み干す。
「で?何?」
「あ、一応部屋替えが終わったから報告。あと、‥ラウラが行くっていうから。」
「嫁‥じゃない、えっと‥婿?の顔を見るのは妻の務めだろう。」
「ラウラはまだ結婚してないし、立木は婿にもなって無いよ‥。っていうのにこれだもん。はぁ・・。」
シャルがつかれた表情をしているが、まぁ、頑張れとしかいう言葉は無い。
作者の私は珈琲、紅茶に緑茶も趣味ですが、最近は梅こぶ茶とせんべいにはまっています。水分、塩分補給大事に。