インフィニット・エクシリア   作:金宮 来人

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またタロットカードが出て来ますが・・コレは複線等じゃなく唯の作者である私の趣味です!


第14話

さてさて今日は待ちに待ってないタッグマッチだ。

「さあ、立木。張り切って行くわよ。」

「…面倒。」

最近は鈴のおかげで少しは女子とも話せるようになってきた。が、まだまだ、面倒だ。

「そんなこと言わずに。あんた、あのボーデヴィッヒと戦うんでしょ。」

「だるい。‥とりあえず、他は任す。」

「他の試合の奴も!?アタシ一人じゃ無理よ。」

「え~‥。」

思わずだるそうな面倒な感じの声を上げてしまう。

「いや、流石にあたしでも二人は結構きついわよ?」

「じゃ、適当に弱そうな方、回して。」

「いや、アンタが強いほう担当しなさいよ。」

「…はぁ、面倒だ。」

「こっちのセリフよ。なんでそんなにやる気無いのよ。」

「昨日、ちょっと夜更かししたから。」

「‥‥はぁ。」

ちょっと、ため息つくなんてひどくない?

「ま、いいや。あ、立木、そろそろ対戦相手決まるみたいよ‥。…!?」

「…ふむ。いいね。」

対戦相手は第一試合、『ラウラ・ボーデヴィッヒ+篠ノ之箒』対『金宮立木+凰鈴音』。

「ここまで来ると、誰かしらの仕組みを感じるかも。」

「生徒会長かな?」

「だれ?」

生徒会長の事を持ち出すと鈴の目つきが少し変わった。でも、首をかしげる仕草はなかなか似合っている。

「更識家代表、更識楯無。現ロシア国家代表。生徒会長は最強の称号だと。」

「はぁ、大層な人ね。確かに権力とかありそうだけど。」

「頭も良いみたい。ま、どうでもいいけど。」

ISスーツの下に懐中時計を忍ばせる。当然これはクルスニクでは無い奴だ。元の世界から持ってきていたお気に入りの時計。ISに触った時に違和感があったから予想通りだとしたらこの時計にはあの力があるはず。

「なんか、嫌な予感。」

そう言ってロッカーの中から一つのカードの束を取り出す。そのカードを上に投げる。

「ちょ!?いきなり何!?」

その中から一枚カードを取る。

「…Wheel of Fortune。」

「運命の輪?」

しかしそれは逆位置だった。

「情勢の悪化、別れ、すれ違い、…アクシデントの到来。」

「何か起きそうね。でも、とりあえず、」

そう言って声のする方を見ると下にしゃがんでいる。

「カード、片づけなさい。」

「はい。」

おとなしく従う事にした。

 

 

「ようやく貴様と戦う事が出来るな。」

「僕は嬉しくないが。」

「私は、この場で貴様をひねりつぶせると思うと嬉しくてたまらない。貴様より私が強い事を教官に見せてやる。」

「出来るんでしたらどうぞ。」

そう言って体をクニクニ動かす。うーん、やっぱりこの突っ張るような感覚好きじゃないなぁ。

「っく、貴様・・!」

「はいはい、そろそろ試合始まるからそれからにしましょ。」

「‥ふん。」

「なぁ、私って空気か?」

篠ノ之がやたらと自分の立ち位置に危機感を持って来たらしい。

「一夏君と好きにすれば?」

「‥‥お前は心底どうでもよさそうだな。」

「恋愛事情には口出さない。お好きにどうぞ。」

あまり、そう言った事に興味も無いしね。

『両者、既定の位置についてください。』

「行くか。鈴、篠ノ之は任せた。」

「おっけ。アンタはヘマすんじゃないわよ?」

「誰に言っている。」

『では、第一試合開始。』《ビー》

開始のブザーが鳴り、鈴が篠ノ之の方へ一直線に突っ込んでいった。

「…来る?」

「貴様は相方なしでいいのか?私にはもちろん不必要だが。」

「動き考えるの面倒。適当に思ったとおりに行く。」

「…きさま、やる気あるのか?」

くるっと逆さになって片足で立ったようなポーズをする。

「ない。」

The Hanged Manの格好をしておちょくる。

「良いだろう。ぶっ潰してくれる。」

こめかみに血管が浮いているのが分かる。ははは、この程度で怒るんじゃまだまだだね。

そう思っているうちに肩のレールガンを起動して撃ってきた。体を反らし避ける。

「っく、そんなふざけた格好なのに、何故私の行動が分かる?!」

「適当。」

そして、逆さのまま地面を蹴るようなイメージで加速。瞬時に近づく。

「くぅ!?早い!?」

そして、迎撃するために体制を変え、AICを起動させようと構えるが、僕はそのままの勢いで横を通り抜ける。

「何!?」

抜けた先には鈴と篠ノ之が戦っていて鈴が優勢だった。ライフルを展開し、即座に発射。逆さの位置からバレルロールするように一回転し、合計五発を撃つ。弾は、篠ノ之の右足、左手首、右肩、剣、背部ユニットに当たる。ちょうど、鈴の攻撃を刀で受けようとしていたところだったからそれが思わぬ方向に弾かれ鈴からの攻撃をもろに受ける。

それを見届けるとそのまま体を起こしつつライフルをリロード。こっちに向けているレールガンに撃つ。ライフルを納め、同時にハンマーを出し、投げてから数本ナイフを投げる。

「く、気付かれたか!」

「いや、ロックアラートなってる。」

君は馬鹿かと。うん?これ、前にオルコットともやったな。そうしている間に、ライフルの弾には数発当たるが、レールガンでハンマーを撃ち落とし、ナイフは避けた。一番くらいそうなものだけ落としたようだ。少し、評価を上げる事にする。

少し本気目に脚部に力を入れて、地面をける。それと同時にスラスターの操作も起動。

前に一歩出るごとに左右に体を振り、殆ど瞬間移動で左右に現れているように見せかける。

「は、早すぎる!?」

流石にその機体制御には追いつけないのかレールガンを止めて、ワイヤーブレードで攻撃してくる。そこで、急ブレーキ。地面をけって下がりながらライフルとガトリングを出して打つ。

「くそっ!そうくるか!」

ライフルはこっそり戻し、グレネードランチャーに変える。

《ゴガガガガガガガガガガガ…スポン…ガガガガガガガガ》

と激しい音がして、ガトリングを撃ちまくる。

「ふっ、そのような豆鉄砲、この停止結界の前でぶわぁっ!?」

《ドガーン》といきなりボーデヴィッヒの機体が吹き飛ぶ。

「ぐぅ!?なにが、・・・どうなって・・。」

吹き飛んだ時点でガトリングとグレネードランチャーは納めてライフルに戻す。そのまま肩のレールガンと背中のワイヤーブレードに攻撃を撃っておく事は忘れない。

ふらふらと立ち上がるボーデヴィッヒ。ちょうどそのタイミングで鈴が来る。

「箒は先に倒しておいたわよ。ってか、アンタアタシの時とやたらと戦法違うくない?」

「相手に合わすのが基本。後は煮るなり焼くなり出来る。」

「料理でもしてんのアンタ?」

料理か。それも面白そうだが、そろそろけりをつけるか。

「‥だ、…は‥にも‥たくな・。」

「ん?アイツ何か言ってる?」

「私は、私は誰にも、負けたくない!」

そう叫んだ瞬間にボーデヴィッヒのISに異変が起きる。

「ぐぅ、あぁぁああああ、うわああぁぁああああ!!?」

黒く変形し、ボーデヴィッヒの体を飲み込んだ。

「な、何よあれ!?アイツの隠し技!?」

『試合中止!総員退避!』

その必死な声がアリーナに響く。えー、こんな勝負の結果じゃボーデヴィッヒが俺に突っかかって来るかもしれないじゃん。そう思っているうちに隔壁みたいなものが降りてアリーナ内は僕と鈴、黒いモノだけになる。

「よし、逃げるわよ。…ってちょっと!?」

鈴がなんか言うがそんな気はこれっぽっちも無い。ここで、けりつけときゃ後から言い逃れできるかもしれないしな。ちょうど、あれもあるし。

「やってみる。」

ISを解除し、地面に立つ。さらにもう一個の時計を取り出し、前に構える。

「はぁぁぁああああ!」

念じるように変身した自分を思うと時計が光り出す。体から《黒いしみ》みたいなものが出て来てそれが体にまとわりつくようになる。目を開けると視界は変わらないが、おそらく仮面みたいなものが付いているのだろう。さらに周りも黄色い空間になって歯車がクルクルと回っている。イメージはスリークウォータースタイル。

すぐに走り目の前で槍を振る。相手は刀で応戦する、なかなか強い。ただ、見た目が誰かに似ているような気がするが、‥まぁ、いいか。

「ふ、は、セクセンチア!蒼破刃!絶影!せい、は、や、は、は、双刃乱舞!」

切る切る、切るなどの応酬に流石に相手することができず、黒いのはダメージを受けて行く。

「最後だ。せいやぁあああ!」

槍を投げて相手に当てて足を止めさせ、さらに次々に槍を出しては投げて行く。

「は、せい、せや、は、とりゃ、うおぉぉぉおお!」

最後に槍を突き出して黒いのを突き、切り裂きながら中に手を突っ込む。手に、ボーデヴィッヒがあたる感触があるので引っ張り出してそのままとどめを決める。

「マターデストラクト!!」

変身を解くと同時に周りの世界も戻る。時計はさっきから一秒たった状態を指している。

「は!?立木!?」

鈴はさっきまで隣にいた僕を探してきょろきょろし、黒いものはショートを起こしつつ元の形に戻った。その先に、ボーデヴィッヒを抱えた僕を見つけて、

「へ!?何?何が起きたの?!」

と、鈴はいまだ訳が分からず、きょろきょろしている。

「か、なみ・・や。」

「ん?何?」

「なぜ、お前は、・・そう、も強いんだ?」

「ふむ?考えた事は無い。‥が、」

顎に手を当てつつ考えて見るが、そりゃ神様のおかげかな?あとは、気の持ちようか。

「護るものがあると、強くなる。それだけ。」

「そう・・か。私は‥。」

「今は寝ろ。」

頭をぽんぽん叩くと規則正しい寝息が聞こえて来た。そのまま担架が来るまで膝枕をしてみた。鈴がなんか不満そうだった。

 

ボーデヴィッヒは教師陣に任せ、僕は部屋に戻る。大会は中止となったが、第一回戦だけはやるらしい。ま、結果は知らないけどね。少し疲れて横になっていたらいつのまにか寝ていたらしい。目を開けた時に外を見ると暗くなっていた。頭を戻し、まっすぐにすると目の前にシャルの顔があった。

「…僕、襲われてる?」

シャルは僕の体にまたがっていたのだからそう思われても仕方ないと思う。しかも制服で寝ていたはずなのに、シャツが反脱ぎになっているし。

「ち、ちがうよ!なんか、立木が寝てたから、制服だけでも脱がしてあげようかと思って。」

「脱がそうという前提はおかしい。でも、一応、ありがとう。」

「あうぅぅ・・。…そ、そうだ、立木が寝ている間に先生が来てね‥。」

シャルは顔を真っ赤にしながら呻いていたが、話題を変えることにしたらしい。

「なんか、時間限定で男子にも大浴場が使えるようになったって。」

「いいや。シャワーがあれば。今日は先使うね?」

「え?あ、う、うん。」

そう言って、シャワールームに入る。あぶなかった。気がつかれるかもしれない所だった。

そう思いながら目を落とす先には手のひら大の《黒いしみ》ができていた。皮膚ごと変質しだしたそれは、おそらくあの力を使ったために起きる副作用だろう。こりゃ、寿命は長くないな。

そう思って、体を洗い汗を流した。

シャルは、なんか悩んでいるようだったから前みたいに紅茶を入れて、

「思う通りにしたらいい。後悔はしなければ。」

と、何も聞かずに言った。紅茶であったまったので僕はまた寝ることにした。あぁ、お腹すいたかも・・でもねむぃ・・。

 

 




前話からタロットカードの話を出していますが、作者の私は占い等が結構得意です。占う側ですが。
その為、作品にも出てしまっているのです。申し訳ない。
でも、気になった方は調べてもらうと面白いと思われますよ。

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