インフィニット・エクシリア   作:金宮 来人

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皆の好きなあの子登場。
まぁ、主人公の性格上アレだけどね。


第10話

「えー、今日は転校生を紹介します。」

また?とか言うなよ。僕は初日だし、鈴は二組だ。このクラスへの普通の転校生ははじめてだろう。

「入ってきてください。」

しかし一目見て気がついた。こいつも、普通(・・)の転校生じゃないな。

「えー、はじめまして。シャルル・デュノアです。」

男子の制服を着た人がそこに居た。でも、気がつくだろう。

コイツは絶対ちがう。声が高いし、線が細すぎる。顔のつくりが違うし男子なら高校生にもなるとヒゲが生えるやつもいる。しかしそのあたりの肌があまりにも綺麗すぎる。つまり男子じゃない可能性が非常に高い。

「僕と同じ境遇の人がいると聞いてやって来ました。」

いや、いないいない、君と同じ境遇など居ないさ。

「これからよろしくお願いします。」

礼儀正しく挨拶した途端、女子が空気を吸う音が聞こえた。一夏君に目配せをして耳を塞がせる。僕?最後の『す』が聞こえた瞬間に耳栓したよ。

「「「「「きゃあぁぁぁぁぁぁあああああアアア!!」」」」」

「男の子、しかも織斑君とも金宮君とも違うタイプ!」

「かわいい系な顔、王子様系ね。」

「あぁ、守ってほしいし、守ってもらいたくなっちゃう。」

「これは!薄い本が厚くなる!」

「(^q^)」

「おい、数人自重しろ!」

「やっかましいわあ!馬鹿どもがぁぁぁ!!」

騒がしい奴はことごとく粛清されました。そりゃなぁ。

「はぁ、では、この後は実習だ。織斑、金宮、デュノアの面倒を見てやれ。」

「はい。わかりました。」「・・。」

頷くだけにしておこう。何か面倒なことになりそうだなぁ。

「よし、俺、織斑一夏。一夏って呼んでくれ。こっちのは金宮立木。」

「あぁ、君がうちの会社のテストパイロットか。君のおかげで少し業績が戻せたと社長が喜んでいたよ。」

「そう。」

正直どうでもいい。やる気ない返事で返すとデュノアは苦笑いしている。

「まぁ、紹介は後にして急ごう。俺たち男子はアリーナの更衣室で着替えなきゃならないから遠いんだ。」

「そ、そうだね。じゃあ急ごう。」

一夏君がデュノアの手を引いて走りだす。

「・・・なるほど、ね。」

走り方での骨格の違いも発見。うぅむ、こりゃ一波乱きそうだなぁ。

「ね、ねぇ?あそこに立っているの金宮君じゃない?」

廊下に一人立っているものだから目立ってしまったらしく、同級生、上級生に囲まれそうになってしまう。

「ね、ねぇ、金宮君少しいいかな?」

「駄目。時間がない。」

はっきりと断って歩き出す。どこへって?窓にだよ。決まってんだろ。

窓から思いっきりジャンプ、とまではしないで直ぐ飛び降りるだけ。前もやったとおりに壁を蹴って無事着地。さらにそのままアリーナ方面にダッシュ。ものの数分で付いた。

「はぁはぁ、ってなんでお前が先に居るんだ?!」

「はぁ、ぇぇえ!?さっき後ろにおいてきちゃったって、あれ!?」

そんな驚いてる暇があったら着替えろよ。

「・・・先行ってる。」

「ま、待って。直ぐ行くから。」

「お、おい、クソ。早くいかねぇとまた叩かれちまう。」

そう言っているうちにデュノアが出て来た。早いな。・・・下に着ていたか?

「あ、金宮君。待っててくれたの?」

「・・良いから行くよ。」

更衣室から実習場まで少しあるから早歩き以上じゃないと間に合いそうになかった。

「…待っていたのは言われたから。それだけ。」

「そ、そう。ありがとう。」

振り向かずにいうとデュノアも困ったように答える。…デュノア社。何かあるな。

 

「うおおぉぉぉぉぉ・・・。」

隣で結局遅刻した多馬鹿者が呻いている。

「うるさい。」「ひどくねぇ・・?」

「そこ、私語は慎め。織斑はもう一度叩かれたいか?」

「隣が五月蠅いから注意しただけ。」

「そうか。では、織斑は静かにしておけ。」

「酷えぇ。」

そのやり取りもよくあることだ。今日は二組と合同で実習を行うらしく鈴の姿もあった。

そして、鈴とオルコットがタッグを組んで山田先生にぼこられていた。(笑)

その後、専用機持ちがリーダーとして各チームに分かれ一人ずつ訓練機に乗る。専用機持ちはそのサポートをする。そう説明されて別れたはずなのだが、

「「「「「よろしくお願いします。」」」」」

手を前に出してなんじゃそのポーズは。ISの拡張領域からある物を取り出す。

白くて何段にも重なったような形状をしていて、特に関西地方から有名になった武器。

ソレを振りかぶって

≪すぱーん≫

音でおわかりだろう、『ハリセンだ。』

「…む、無言‥。」「無言ではたかれた・・。」「あれ、どっから出したの?」

「お、女の子を叩くなんていい度胸してんじゃない・・。」

「はぁはぁ、結構快感かも・・。///」

最後のはどうかと思うが君達が授業中に何しとんじゃいなことするからだ。

「‥今授業中。織斑先生とどっちが良かった?」

「「「「ごめんなさい。」」」」(ぼそり)「・・もう一度お願いします。」

無視。うん、無視しよう。

「イメージは竹馬。歩くときに引っ掛かりそうになりやすいから注意。」

「よ、ほ、は、お、おぉぉ!?」

歩いている途中でこけそうになる。ISを展開しコケないように後ろから引っ張る。

「言ったそばから。」

「え、えへ。ごめん。」

「・・ふぅ・・。」

「た、ため息はひどくない!?」

 

と、まぁ、そんなこともあったが概ね普通に終わった。

「なぁ、立木。昼って何か用事あるか?」

「ない。どうした?」

「昼飯一緒にどうかと思ってさ。」

「三人?」

頭の中では一夏君、デュノア、僕だ。

「いや、えっと、俺、箒、鈴、セシリア、シャルル、立木だな。」

「・・発案者は?」

「いや、箒が一緒に昼どうかと聞いてきたからさ。」

かわいそうに篠ノ之。二人っきりで食べたかったんだろうが・・。

「・・はぁ。わかった。場所は?」

「今日は天気も良いし屋上でどうだ。」

「わかった。買ったら行く。」

「おう。じゃ、昼な。」

はぁ。面倒だ。

 

 

「……………‥。」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。」

目の前で土下座するオルコット。本気でどん引きしている三人。意識の無い一夏君。

昼休み半ばで屋上はカオスと化していた。

 

まずは、昼に屋上に集まる。篠ノ之はかなり表情が険しかったが、僕を見るとさらに険しくなる。ちょうど開いている所が篠ノ之と鈴の間だったので座る。

篠ノ之に小声で

「‥一夏君と二人が良かった?」

「それが分かっているなら、何故来た?」

「‥一夏君が無自覚ハーレム状態で座ることにならない?」

「‥すまない、ありがとう。」

想像したのか、こめかみがピクリとしてその後礼を言われた。まぁ、面白いことが見れるかもと思ってきたのが本音だけどね。

「そ、そうだ。一夏、弁当を作ってきたのだが食べてくれないか?」

「わ、私も、サンドイッチを作りましたので、どうぞ一夏さん。」

「た、立木。その、前言ってた分作ったわよ。あと、一夏には酢豚ね。父さんに負けないくらい上手になったから食べて見て。」

僕用に別容器に入った麻婆豆腐が手渡される。酢豚は真ん中に。…これ僕個人用?大好きだから嬉しいけどさ。でも容器は結構デカイよ?

とりあえず、プラスチックのスプーンですくって一口・・って鈴近い近い。しかもじーっと見過ぎ。

「(じーーーー)ど、どう?」

「…旨い。」

「よし。・・ってもう少し明るく言えない?笑うとかさぁ。」

無理。あと、正直これ以上のは食べたこと無いくらいうまい。やべぇ、他に渡したくねぇ。

「なぁ、こっちの酢豚も一口食わねぇか?俺もそっち一口食べて見たいn」

「もう無い。」「早い!?」

コレは俺のモノだ!俺だけのモノだ!と言うわけだ誰にも分けてやらないよ。

「そ、そこまで必死になってもらうと作った甲斐はあるわね。あはは・・///」

「旨かった。」

「そう、それならよかったわ。」

鈴が凄いにこにこしてる。まぁ、作った料理がおいしかったって言われるのはうれしいよね。

その間に、一夏君は篠ノ之が作った唐揚げとか、鈴の酢豚とかを食べていた。そして、

「はい、一夏さん。どうぞ。」

そう言って出されたのはサンドイッチ。しかし、かすかに漂う匂いがおかしい。

見た目は完ぺきなのに其処から匂ってくるのは思いがけない匂い。

「あ、あぁ、そうだな・・。」

一夏君も戸惑っている。(ちらっ。)こっち見んな・・・。そんな目で見るな・・あぁもう!わかったよ!

「オルコット、僕も一つ。」

「金宮さんもですの?はいどうぞ。」

おそらくデュノアはわかったのだろう。僕に同情したような視線を送ってくる。あぁ、他の二人もか。

「じゃあ、い、いただきます。」

「・・・ん。」

もぐり。…◆●☆。◆§〒■。感想はこういうしかない。未知の味。しかも、まず過ぎる。隣を見ると一夏君が顔を真っ青にして飲みこめずに硬直している。

「…ん、・・てい。」「ん、ぐぅ!?」

首元を少し叩き、飲みこませ、その後首の後ろを叩いて気絶させた。気がついたころにはましになっているはずだ。

「…オルコット、少し、話がある。」

怒りゲージ☆マックス☆さらに無表情なのに怒気が漏れているのが分かる。

「あ、阿修羅が見えるわ・・。」

「ボ、ボクもなんか怖いモノが見える気がする・・。」

「こ、金剛力士像だと・・!?」

ははは、じゃあ、ちょっとだけ、

「‥O☆HA☆NA☆SIしようか?」

「ひ、ひぃぃ!?」

首根っこを掴んで一時的に校舎の中に入って行く。

「ひ、ひやああぁぁぁぁぁ!?」

 

帰ってきてさっきのに戻るのだ。はぁ、食材がもったいない。

(サンドイッチは一切れ食べさせて、残りは変わりに僕がいただきました。)

(オルコットは他の二人から弁当を分けてもらいました。)

 




食材を無駄にするのは、
《ダメ、ゼッタイ!》

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