インフィニット・エクシリア   作:金宮 来人

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初の投降&執筆作品です。
つたない所もありますが、改善していくつもりなのでよろしくお願いします。


第01話

 

目が覚めると知らない荒野に佇んでいた。

ここがどこかはわからない。しかし、見た事がない景色だと言う事はわかる。

「そうか、また誘拐されたのか。」

小さい頃、親が資産家と言う事でよく誘拐される事があった。【よく】とは言ってもそう頻繁ではないが、運よく人質を殺さない臆病な誘拐犯に三、四回当たっただけだ。そのおかげで生きているのだが。

「しかし…犯人は見えない。じゃあ、どういう事だ?」

「ここはお前の居た世界の隣の世界じゃ。」

後ろから声をかけられてびっくりして振り返る。

「・・・その顔でびっくりしておるのか。器用な奴じゃな。」

「はぁ。まぁ、その、顔に感情が出にくいもので・・。」

その答えに呆れたのか小さくため息をつく目の前の女性。少女と言っても良い見た目だ。右手を上げて指を鳴らす。

「…ま、座れ。茶くらいは出そう。」

そう言うと、どこからともなく目の前に畳みとちゃぶ台、それに急須と湯のみが出てきた。

「魔法?」

「いや、わしの特技じゃな。」

「すごいですね。」

「・・・うぅむ、なんか気が、こう・・そがれると言うか何とも言いづらいのぅ・・。」

なんか褒めたら微妙な顔された。何が悪かったんだろう。

「そうじゃの、せめて笑顔なら」「無理。」「・・そうか。」

手元の湯呑に入っているお茶をずず~っと飲む。そして一息。

「僕はなんでこんな所に?」

「コレはお前の居た世界の隣の世界の末路。お前の世界もいずれこうなる。しかし、そもそもお前の居た世界、それは普通の世界では無い。」

「普通じゃない?」

「わしらが共同して作った実験世界じゃ。その中から選ばれた得意個体がお前だ。」

「・・・実験動物?」

自分を指さして言うと怒っていると思ったのか苦い顔になる。

「言い方が悪いが大まかに言えばそうなる。気を悪くしたら済まぬ。」

「いや、生まれた時からそんな感じだった。」

「・・お前の人生を覗いても良いか?」

「どうぞ。」

簡単に言えばさっき言った親は誘拐犯に一切金を払わなかった。すべてに対して言った言葉は

「家には長男と長女、それに【代えの素材】しかないので。どうぞ、お好きになさってください。ああ、臓器にばらすんなら心臓と肝臓は残してくださいね。言い値で買い取りますんで。」

などと言ったらしい。警察には事件をお金でもみ消しその発言も聞かなかった事にした。つまり、【誰も誘拐などされていない】のだ。姉や、兄の代えのパーツ。適合性があったから部品取りに使おうと言うことだった。殆ど家から出ていないが、そこそこ体を鍛えておかないといざという時、【代え】になれない。だから感情も出す必要などなかった。

「わしがした事より悲惨な人生じゃな。」

「そうでもない。」

暗い声で言われた言葉に明るく返す。

「好きな事は出来た、狭い範囲でも好きに生きた。それでいい。」

「で?」と言うと、「ん?」と返された。いや、ここに連れてこられての話から脱線して、まったく全貌は見えていないんだけど。

「おお、そうじゃった。えっと、それでの、得意個体が生まれた以上この実験については終了と言う形になるんじゃ。」

「・・実験終了ならその実験に使った設備は必要なくなる。」

「お前、賢いな。その通り。わしらの力を使って作ったがその力を戻さなければならない。世界ごと終わらせて力のかけらを回収せねばならん。簡単に言うとパソコンを切って使用していた電力をバッテリーの電気ごと回収すると言うのが近いの。あー、つまりは、お前が生まれた故郷は存在しなくなるのだ。それを理解してほしい。」

ややこしいが、僕の住んでいた地球ごと宇宙全部が消えると言う事かな?

「いい。別に思い残すことは無い。ここに来た時点で生まれて、生きた意味も無くなってるから。」

「そうか。すまぬ。」

そういうと右手を掲げ指を鳴らした。手のひらを上に向けるとそこに小さな青っぽい球体が浮かんでいる。地球?

「これがお前の住んでいた地球だが、回収させてもらった。」

「どうぞ、貴女の持ちモノなら貴女がどうこうするのは勝手だ。」

そう言ったら、少し悲しい顔をして右手の地球を握った。少し光った後、その手の中には無いも無かった。

「・・さて、得意個体と言ったがお前にはわしらの指令通りに動いてもらわねばならぬ。」

「わかった。何?」

「早いのぉ。それでは初めは・・世界渡航の旅~!」

「世界渡航・・。なのはだっけ?」

「いや、あれはそもそも多次元世界じゃ。そうじゃなくていろんな世界に行くのじゃ。」

・・・あぁ、なるほど。えっと、なんて言ったっけ?ご都合主義?

「いや、そんな顔されてものぉ。まぁ、初めは楽しそうな世界にするから許してくれ。」

「ロボット関係がいい。」

「げんきんな奴じゃの。ならば好しこの世界じゃ。そうじゃ、一応死にづらい体にしておくからの。えっと、この設定をこうしてっと。」

右手の人差指で目の前の空間をはじくと空中にスクリーンみたいなものが現れた。かっこいい。

「よし、これで完了じゃ。それじゃあ、言って来い。面白い事になるよう期待しておくからの。」

「もしかして、僕が世界渡航するの、貴方達の娯楽のため?」

「違う、それは追々教えるから大丈夫じゃ。ま、一種の経験のため・・じゃな。」

「経験・・。」

まぁ、正直世間の事をあまり知らないから経験なんてものは少ない。これからが僕の人生と呼べるものなのかな?

「そうじゃ、ついでに聞いておくが好きなものはあるか?」

「ゲーム、特撮、後何か作るとか・・かな。」

「・・現代っ子じゃのう。」

「ほとんど家の中に居るだけ。何もやる事がなかった。」

「・・・すまぬ。」「・・いえ。」

下を見ながら小さくしたウィンドウみたいなスクリーンを操作していた。いや、そんなに気にしなくても良いのに。一人の男に対して親身になり過ぎだよ。

さて、と言いながらスクリーンを消して左手を上げる。するとその先にトンネルができる。

「それを抜けると最初の世界に行くが・・。」

ソレを聞いたらすぐ立ち上がってトンネルみたいな裂け目に入ろうとする。

「おぉ、なんの戸惑いもなしか。変な所で男らしいの。まぁ、健闘を祈る。」

「ありがとうございます。では。」

そう言って歩き始める。トンネルの先は見えないが歩く感覚ですすむ。

この先に何があるのか少し期待している自分に驚いたがま、僕らしいと思って気にしない事にした。

 




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