~E・S~転生者は永遠を望む   作:ハーゼ

39 / 72
主人公のイメージを描いてみました。
目次に載っていますので是非よろしければみてください。


第三十六話 セカンド襲来

「なあ箒、他のクラスの代表ってどんなヤツか知ってるか?」

 

「すまないが私は知らないな。」

 

 

一夏に質問されるが生憎と知らない。

 

 

「しかし、相手が誰であろうと全力を出すことには変わらんのだからさしたる問題ではなかろう。」

 

「うーん、それもそうか?」

 

 

どんな相手でも敬意を払い、全力で相手をするのが礼儀と言うものだ。

 

 

「それに相手を知っているからといって油断されても困る。」

 

「油断なんてしねぇーよ。」

 

 

一夏は否定するが昔から単純なミスをやらかすから心配だ。

 

 

「そんな疑うような顔すんなって。もうちょい信頼してくれよ。」

 

 

思っていたことが顔に出ていたのかそんな事を言われる。

 

 

「そうそう、そんな心配いらないって篠ノ之さん。」

 

「織斑君なら楽勝だって。」

 

 

周りの皆も話に入ってきた。

 

 

「他のクラスを侮りすぎではないか?」

 

 

「それがそうでもないんだよ。聞いた話だと一年生は専用機持ちがうちのクラスと4組だけなんだって。」

 

 

つまり4組の代表以外は全員訓練機ということか。

 

(なるほど、だから楽勝か。)

 

理由はわかったが侮っていることには変わりないと思う。

 

 

「訓練機じゃ専用機持ちには絶対敵わないって、この前の代表決めだってそうだったし。」

 

「あ〜、わかる〜。鳴海君負けちゃったしね。」

 

「そうそう、だから専用機持ちのいる4組以外楽勝____」

 

 

「その情報、古いよ。」

 

 

突如教室の扉が音を立てながら開かれ、そちらから声がした。扉の開く音に反応し、教室にいる者の視線が注がれる。

 

 

「2組も専用機持ちが代表になったから。」

 

 

そこに居たのはツインテールに低身長という可愛らしい女生徒だった。

自身がある口調からいって2組の生徒であることが伺える。

 

 

「鈴?もしかしてお前、鈴か!?」

 

「久しぶりね一夏。今日は宣戦布告に来たわ。」

 

 

どうやら二人は知り合いらしい。

鈴といえば一夏から聞いたことがある。

確か私と入れ違いで出会った友達だったな。

 

 

「鈴…」

 

「なに?」

 

「お前カッコつけてるけど全然似合ってないぞ。」

 

「なっ!?そんなことないわよ!」

 

 

今の一夏の発言でクラスの大半がクスリと笑う。

指摘されてしまった鈴は顔を真っ赤にして今にも一夏に飛びかかりそうだ。

 

 

「邪魔だ。」

 

 

ストンッ!といい音が鈴の頭からした。

鈴の後ろに立つ人物が出席簿を振り下ろしたのだ。

 

 

「いった!なにすんのよ!邪魔しないd・・・・ち、千冬さん・・・」

 

「織斑先生と呼べ。」

 

 

もう一発出席簿が鈴の頭に落ちる。

 

 

「そして邪魔なのはお前のほうだ凰。チャイムはすでに鳴っているのになぜお前は隣のクラスの扉の前に立っている。」

 

 

みるみるうちに鈴の顔からは血の気が引いていく。

 

 

「す、すいませんでしたー!」

 

 

そしてすさまじい速度で走り去っって行った。

 

 

「あの鈴という奴はセシリアに次ぐコント枠なのか?」

 

「私はコメディアンではありません!」

 

 

それからは寝坊してきた鳴海が出席簿で叩かれたぐらいで、問題なくHRが終わった。

 

 

「待ってたわよ一夏!」

 

 

昼時、一夏と鳴海、セシリアとともに食堂に行くと鈴が仁王立ちをしていた。

背が低いため迫力はなく、可愛らしいだけだが。

 

 

「君、食券期の前に立っていたら邪魔になるよ。」

 

「えっ?・・・わ、わかってるわよそんなこと!」

 

 

恥ずかしそうに道を譲る鈴。

 

 

「そうだ、鈴も一緒に食おうぜ。」

 

「別にいいけど・・・その・・・」

 

 

鈴は私たちをちらちら見ながら言いにくそうな顔をしている。

 

 

「一夏、私たちは別の席で食事を取る。久しぶりの再会なのだろう?積もる話もあるというものだ。」

 

「それもそうか。悪いな俺が誘ったのに…」

 

「気にするな。二人もそれで構わないか?」

 

「えぇ、もちろん。」「構わないよ。」

 

 

特に反対意見もないので別々に食事を取ることにする。

一緒に食べられないのは少し寂しいが、久しぶりの再会は二人で話したいという鈴の気持ちはわかるので我慢する。

 

(なに、心配はいらない。一夏から聞いた限りだとただの仲の良い友達だ。)

 

 

そう思っていた時期が私にもあった。

 

(あ、あれは完璧に恋しているではないか!)

 

視線の先には一夏と鈴の座っているテーブルがある。

そして先ほどから見ている限り、鈴は間違いなく一夏に好意を抱いている。

 

(あの唐変木め・・・何がただの友達だ。)

 

これはまずい…

今までは一夏との年月で他の女子よりリードしているため余裕だったが・・・

 

(鈴も幼馴染みとしての年月がある…)

 

思わず席を立って近づいて行こうとするが

 

 

「箒さん、ナンセンスですわ。いくら一夏さんをとられるかもしれないといっても自分の発言ぐらい守らなければ。」

 

「むっ・・・・確かにそうだ…」

 

 

セシリアに手を掴まれ止められた。

確かに二人きりにしたのは私だ。しかしこのまま見ているというのも・・・

 

『行ってしまえ!一夏がとられてしまうぞ。』

 

『ダメだ!自分の行ったことは貫き通せ!』

 

『黙っていろ。』

 

『お前こそ黙っていろ。』

 

脳内会議で二人の私が戦い始める。

私はいったいどうすればいいのだ…

 

 

「篠ノ之さん、心配いらないよ。」

 

「なにを根拠に言っているんだ。」

 

 

鳴海はいつもと変わらない調子でそんなことを言う。

心配するなと言われても無理な話だ。

 

 

「だって、織斑は唐変木だから」

 

『『「あっ、なるほど。」』』

 

 

これには脳内の二人の私も納得だった。

一夏の唐変木加減は異常なほどだ。

 

 

「それで納得してしまえるのが一夏さんですわね…」

 

「でしょ?だから大丈夫だって。」

 

「そうだな、一夏は唐変木だからな。」

 

 

席に腰を下ろす。

私がそれとなくアピールしても全く気が付かないのだ。

そんな一夏なら大丈夫だ、うん。

 

(唐変木が役に立つとは・・・虚しくなってくるな・・・)

 

その後私は微妙な心境で食事を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~驚いた、まさか鈴が中国の代表候補生になっていたなんて。しかも2組の代表だし。」

 

 

話を聞いたら久しぶりに会った幼馴染みが代表候補生になっていた。

これは誰だって驚くだろう。

 

 

「こっちだって驚いたわよ。ニュースを見たらあんたがIS動かしたって有名になってるんだから。どうしてISに触れる機会があったのよ?」

 

 

確かにその方が驚くだろうな。

俺自身もIS動かしたときは相当驚いたし、ISをよく使う代表候補生なら尚更だろう。

 

 

「それが試験会場が迷路みたいに広くてさ、迷ってたどり着いたとこがIS学園がIS置くのに使っていた部屋だったんだ。それでISがあったからなんとなく触れたら起動出来ちまったんだよ。」

 

「会場間違えるって相変わらずの馬鹿なのね一夏は。」

 

 

それを言われると否定できないのが悔しい。

しかし、鈴だって相変わらず変わっていないところがあった。

 

 

「そういう鈴だってまだ千冬姉のことが苦手なんだろ?」

 

「そ、それは…」

 

 

鈴は昔から千冬姉のことが苦手だ。

 

 

「大体なんで苦手なんだよ。」

 

「なんていうか超人過ぎてどう接すればいいのかわからないし、それに・・・」

 

「それに?」

 

「あの頃の千冬さんの印象が強くて…」

 

 

なるほど…

鈴の言うあの頃とは恐らく俺らが中学一年の時の事だろう。

あの頃の千冬姉は酷く荒れていた。食事は余り取らないし、部屋は家具が倒れており物が散乱としていた。

目も虚ろになることが多く、無気力そのものだった。それでもISで負けない千冬姉が不気味だった。

 

 

「まぁ、あの頃はな…」

 

「立ち直っているのはわかってるんだけどどうもね…」

 

 

気が付くと場がすごい重苦しい空気になってしまった。

何とかするべく話を切り出す。

 

 

「そ、そうだ鈴、さっき一緒にいたやつらにお前を紹介したいんだけどいいか?」

 

「そ、そうね。私も気になっていたし。」

 

 

お互い挙動不審だがさっきよりはましだろう。

席を立ち、箒たちのテーブルに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたんだい織斑。」

 

 

一夏が凰 鈴音を連れてこちらのテーブルに来た。

顔合わせでもするのだろう。

 

 

「鈴のことを紹介しようと思ったのとお前らのことも紹介したかったから来ちまったけどいいか?」

 

「全然気にしなくていいよ。ちょうど僕たちもどんな人なのか気になって話していたところだったから。」

 

「それなら丁度良かったわね。私は中国代表候補生の凰 鈴音(ファン リンイン)よ。長いから鈴でいいわ、よろしく。」

 

 

凰 鈴音。中国の代表候補生でここ一年で急に現れた代表候補生で二組に転入。

IS適性は「A」、専用ISは第三世代の【甲龍(シェンロン)】。近接格闘タイプの機体。

これは俺が昨日軽く調べたこの子のプロフィールだ。

 

 

「ご存知だと思いますが私はイギリス代表候補生のセシリア・オルコットです。」

 

「ゴメン、知らなかったわ。」

 

 

ドヤ顔で自己紹介したセシリア嬢が一瞬で撃沈された。

ほんとセシリア嬢は面白いな~。

 

 

「私は篠ノ之箒という。一夏の()()()()だ、よろしく頼む。」

 

「幼馴染み?」

 

「ほら、前に話しただろ。お前と入れ違いに転校しちゃったって話。言うなれば箒がファースト幼馴染みで鈴がセカンド幼馴染みだな。」

 

 

いや~、箒が攻めていってるね~。幼馴染みをすごい強調して言ったよ。

宣戦布告だねこれは。

 

 

「へぇ~、あんたが話に聞く箒って人ね。よろしく。」

 

「あぁ、よろしく。私もお前のことは少し聞いていたぞ。」

 

 

二人が握手するが、二人とも握る力が握手のそれではない。

ギチギチと音がたちそうなほど握り合っているし、目線で火花を散らしている。

 

 

「二人とも仲良くできそうで良かったよ。」

 

 

一夏はそれに気がつかず能天気なことを言っている。

恋愛絡むと本当に一夏はポンコツだなぁ(呆れ)。

一夏も気が付かずセシリア嬢も傷ついているため、このままだと止める奴がいないので話しかけることにする。

 

 

「お二人さん、仲の良いことはいいことだと思うけど握手長すぎだよ。」

 

「「そう(ね)(だな)。」」

 

 

案外二人とも素直に手を離した。

もちろんどっちも手が真っ赤だ。

やめるタイミングがわからなかったんだろうな。

 

 

「ていうかあんた名乗りなさいよ。」

 

「ごめんごめん。僕は鳴海優っていうんだ。よろしくね凰さん。」

 

「鈴でいいってば。」

 

「いや、初対面の人を名前で呼ぶのは抵抗があるんだ。だから凰さんって呼ぶよ。」

 

「ならしょうがないわね。」

 

 

納得してくれたようで何よりだ。

因みに名前で呼ばないのは必要以上に仲良くならないためでもある。

 

 

「初対面でもなくとも鳴海は苗字でしか呼ばないだろう?」

 

「まぁ、そうなんだけどね。苗字呼びの方が落ち着くんだよ。」

 

 

俺の言う事に皆はピンとこないようだ。

本当に最近の子はフレンドリーだと思った。

 

 

「良し、自己紹介も終わったことだしゆっくり話そうぜ。」

 

 

そのあとは昼休みが終わるまでクラスでの出来事を話したり、一夏と鈴ちゃんの思い出を聞いたりした。

 

 

そしてその日の夜、一夏と鈴ちゃんが喧嘩して、クラス対抗戦で勝った方が相手の言う事を一つ聞くことになったらしい。青春だなぁ~。

 




久しぶりの箒視点を入れてみました。
全然話が進まなくてすみません(汗)

次回はクラス対抗戦だと思います。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。