~E・S~転生者は永遠を望む   作:ハーゼ

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第二十話 ある日の日常

(やばいやばいやばい‼間に合うかッ!?)

 

 

俺の名前は暮見雄二。どこにでもいる中学三年生だ。

そんな俺は今・・・

 

 

民家の屋根の上を走りながらあるところに急いでいる。

 

(クッソ!?何がすぐに終わる手伝いだ‼騙されたッ!)

 

俺はちらりと腕時計を見る。時刻は10時前。

なぜ俺がこんなに急いでいるかというと今日は箒の入学式なのだ。

 

そのため俺は学校を抜け出し、入学式を見に行こうとしている。

本来もっと余裕をもっていくつもりだったのだが先生に頼まれごとをされて時間はギリギリ。

 

(式の開始は10時からだったな。あと五分しかねぇ‼)

 

民家の屋根をギリギリ壊さない程度の力で飛び、俺は最速で小学校に向かった。

 

 

学校につき、急いで体育館に入り席に着いた。

 

現在時刻9時59分。ギリギリ間に合った。

 

 

「遅かったじゃないか雄二。」

 

 

俺の席を取っといてくれたちーちゃんが声をかけてくる。

 

 

「先生から頼まれていたことしていたら、思っていたより時間がかかって遅くなった。俺も最初から学校休んどきゃよかった…」

 

 

ちーちゃんは一夏の親代わりなので今日は学校を休んでいる。束も今日はサボっていたはずだが姿が見えない・・・・

 

 

「束は?」

 

「あそこだ。」

 

 

ちーちゃんが指を刺した方を見ると最前席近くにうさ耳が見えた。その横に千春さん達もいるので間違いないだろう。

うさ耳は俺が昔誕生日プレゼントで似合いそうだからと送ったもので、今なお着けてくれている。

俺はそれを見て毎日心の中でニヤニヤしている。

 

 

「あいつはいつもあれをつけているから一目でわかるな。」

 

「そうだねー」

 

 

ちーちゃんは呆れたように言うが・・・・

 

 

「でも、そういうちーちゃんも俺が昔上げた髪留めリボンをまだ大切に使ってくれてるよね。」

 

 

実はちーちゃんも後ろ髪をまとめるのに俺がプレゼントしたリボンを今なお使ってくれているのだ。

 

 

「・・・・・・買い替えるとお金がかかるからな…」

 

 

恥ずかしいのか、少し顔を赤くしながらそういうちーちゃん。

ちーちゃんのこういうところは本当に可愛いと思う。

 

 

『皆様、大変お待たせしました。これより新入学生の入場です。拍手でお迎えください。』

 

「おっ!始まった。」

 

 

そうこうしているうちに入場が始まった。

千春さんから来たメールによると箒は一組だからすぐ来るな。

 

 

「ちーちゃん、一夏は何組だった?箒は一組だったんだけど。」

 

「一夏は二組だったから違うクラスだな。」

 

 

なるほど。つまり一組の時は箒に全力をそそげるな。

そんなことを考えていると箒の姿が見えた。少し緊張しているようで表情がかたい。

 

 

「箒~!かわいいぞ~!こっち向いてくれ~!」パシャパシャ

 

 

俺は懐からデジカメ(改造済みを取り出して)連写する。

そんな俺の声に気づいたのか箒がこちらを向く。

俺をみると安心したのかニコッと笑った。

 

 

「うおぉー‼箒まじ天使ー‼」カシャカシャカシャカシャ

 

「おい、うるさいぞ!・・・浮いてるではないか。」

 

 

ちーちゃんにそういわれ周りを見ると俺はいつの間にか立っていて注目されており、クスクスと笑い声が聞こえた。

ちなみに俺と同じような状態のパパさんたちが数人いた。

あと前を見たら束が発狂していた気がする・・・。うん、俺は何も見ていない…

 

 

「す、すいません…」

 

 

ぺこりと頭を下げ席に座る。

 

 

「まったく、限度というものがあるだろう…恥ずかしい…」

 

「申し訳ない限りです…」

 

 

俺は謝りながら次に来る二組の一夏に備え、ちーちゃんにカメラを貸す。

 

 

「すまないな、借りるぞ。」

 

「遠慮なく連写してくれ。」

 

 

その後一夏が見えた瞬間、二人で一夏を呼んだ。

俺はさっきより控えていたがちーちゃんはさっきの俺並みに発狂していた。

 

 

「オ、オホンッ」

 

 

一夏が檀上まで行ってようやく落ち着いたちーちゃんが咳払いしながら急いで座る。

状況に気が付いて恥ずかしくなったのだろう。

 

 

「恥ずかしいわ~、知人が隣で発狂するの恥ずかしいわ~。」

 

「・・・・すまない。」

 

 

ちーちゃんは顔を赤くしながら謝る。

可愛いので一枚撮っておく。

 

 

「なぁっ!?おまえ!?カメラをy「はい騒がない。また注目されちゃうよ?」くっ‼」

 

 

俺はこの状況を生かしてちーちゃんをたしなめる。

そしてすでにデータをこっそり携帯にコピーしてある。おぉ、ゲスイゲスイ。

 

(これは今月のちーちゃん写真勝負は俺の勝ちだな、束。クックック。)

 

ちなみに俺と束は毎月ちーちゃんの写真を撮って勝負しているのだ。

これはここ数ヶ月続いている遊びで今は一勝一敗一分けという結果だ。

 

俺はその勝負の勝ちを確信しながら入学式を見るのだった。

 

 

「兄さん!」

 

 

入学式も終わり後は帰るだけとなったので束達や箒と合流した。

そしたら箒が俺に抱き着いてきた。やっべ、可愛すぎて意識飛びかけたわ。

 

 

「入学式お疲れ様箒。疲れなかったか?」

 

「うん、だいじょうぶ。」

 

 

そういいながら箒の頭をなでる。なでると嬉しそうである。

箒はすでに俺のナデポの支配下にあった。

 

 

「雄くんばっかり箒ちゃんに抱き着かれてずるい!箒ちゃん‼こっちおいで‼」

 

 

ふっ、無駄だ束。箒は俺の支配下にあるんだ。

そちらに行くはずがn「うん!」な、なにぃ!?箒が束のほうに・・・・

 

 

「箒ちゃんはほんとに可愛いな~。」

 

「姉さんのなでなですき~。」

 

「なん・・・だと・・・!?」

 

 

俺は絶望して膝をつく。そしてそんな俺に束は勝ち誇った顔をしてくる。

馬鹿な・・・負けた・・・だと・・・!?

だが、まだだ!ナデポが負けただけで俺自身が負けたわけじゃない。

 

 

「箒は一番誰が好きなんだ?」

 

 

俺がその質問をした瞬間束がピクリと反応する。

 

(どうしたぁ?動揺しているのかぁ?)

 

俺は目線でそう伝える。

 

(雄くんのほうこそよくそんな分かり切ったこと言えるね。哀れでしょうがないよ)

 

束からもそんな目線が帰ってくる。

 

 

「ん~とね・・・」

 

(俺だよな!)(私でしょ!)

 

 

緊張のひと時・・・・そして勝ったのは・・・・

 

 

 

「お母さーん‼」

 

 

そう言って箒は千春さんに抱き着いた。

 

 

「「カハッ・・・・」」

 

 

俺達は吐血してその場で倒れた…

 

 

 

 

 

 

「何やっているんだ…お前たちは…」

 

 

私は思わずため息をつく。私の前には口からケチャップを吐き出し倒れている天才馬鹿が二人。

 

 

「ちーちゃん!そこは私たちに駆け寄って名前を叫んで心配するところでしょ!」

 

 

うさ耳の方の馬鹿が体を起こしながら馬鹿なことを言ってくる。

 

 

「そうそう、ちーちゃんはそういうとこ冷たいよね。」

 

 

もう一人の馬鹿も同調してやはり馬鹿なことを言う。

 

 

「おはようございます皆さん。」

 

「うむ。」「おはよう千冬ちゃん。」「おはようございます。」「おはよう千冬さん。」

 

 

馬鹿は無視して篠ノ之家の方々に挨拶をする。

無視はひどいよとかなんとか言っているが無視。

 

 

「ほら、一夏。挨拶しろ。」

 

「う、うん」

 

 

私の後ろに隠れていた一夏に挨拶するように言う。

 

 

「おはようございます。」

 

 

一夏も挨拶したところで自己紹介をさせる。

 

 

「一夏。自己紹介するんだ。この人たちがお前が今度から行く道場でお世話になる人たちだ。」

 

「うん!わかった。織斑一夏です。よろしくお願いします。」

 

「よろしくね一夏くん。私は篠ノ之千春っていうのよ。そっちのおじさんが夫で師範代をしている柳韻でこっちのお姉さんが雪子さん。それでこの子が娘の箒ちゃんよ。同い年だから仲良くしてあげてね。」

 

 

千春さんが皆の自己紹介を行ってくれ、箒のことを少し押し出す。

 

 

「篠ノ之箒・・です。よ、よろしく。」

 

「うん、よろしく。」

 

 

これで全員の自己紹介も終わった。

 

 

「では全員自己紹介も終わりましたし、写真でも撮りましょう。」

 

「「ちょっと待て~い‼」」

 

「誰か」「忘れちゃ」「「いませんかねぇ~?」」

 

 

馬鹿二人がうざいコンビネーションを見せてくる。

 

 

「お前らのことは一夏も知っているから必要ないだろ?だからそのうざい顔とポーズをやめろ。」

 

「俺は暮見雄二。改めてよろしくな、一夏。」

 

「私は天才、篠ノ之束。気軽に束さんってよんでね☆」

 

 

私の発言を無視してさらにウザイ決めポーズをかまして自己紹介する馬鹿ども。

そしてこちらを見てドヤ顔。なるほどなぁ~

 

 

「お前たちは私に喧嘩を売っているのだな?いいだろうその喧嘩かってやるっ‼」

 

 

私は馬鹿二人にとびかかった。

 

 

 

 

 

 

いや~思わずテンション上がって、ちーちゃんをからかいすぎた。

殴られた頬がひりひりと痛む。

ちなみに今は全員で集合写真を撮るところだ。

 

 

「じゃあ、タイマー押しますよー。」

 

 

タイマーを押して俺は自分の位置に戻る。

 

カシャッ

 

うまく撮れたようだ。

 

 

「じゃあ、俺は学校戻るんで。」

 

 

学校を抜け出してきたので俺が学校に戻ろうとすると

 

 

「え!?雄二兄ちゃんもう行っちゃうのかよ。」

 

 

一夏に引き留められた。ちなみに兄ちゃん呼ばわりはいつの間にかされてた。

まぁ、弟みたいなもんだし別にいいかなって思っている。

 

 

「まぁ、今度遊んでやるから許せ。」

 

「絶対?」

 

「おう、絶対絶対。」

 

 

一夏の頭を少しワシャワシャっとなでて俺は学校に向かった。

 

 

「おっ!暮見。先生がカンカンだったぞ。」

 

「あっ!暮見くん、どこいってたの~?」

 

 

学校に戻り教室に入るとクラスメイトから話しかけられる。

5,6年前では考えられない光景だったが今ではこれが普通だ。

 

 

「ちょっと妹の入学式にね。」

 

 

俺がそう言うと皆が笑いだす。

 

 

「この前の卒園式の時も学校休んでたよね~」

 

「ほんと暮見くんって妹バカだよね。私もそんな優しくしてくれる兄ちゃん欲しいわ~」

 

 

笑いながらそんなことを言われる。

妹バカ?う~んそうかな?妹大切にすんのは当たり前だと思うけど。

 

 

「あっそうだ!暮見くん、一緒に弁当食べようよ。お昼まだでしょ?」

 

 

そんなことを考えているとお昼のお誘いをうける。

 

 

「オッケー。ちょうど食べようと思ってたんだ。」

 

 

俺はバックから弁当箱を取り出して答える。

そして俺が机をくっつけて弁当箱を開けると軽い拍手が起こる。

 

 

「おぉ~、相変わらずすごいね。あっ!この唐揚げ私のミニハンバーグと交換しよ?」

 

「これ全部手作りなんだよね?いいな~私の弁当なんて冷凍食品のオンパレードだよ。ということで卵焼き頂戴。」

 

「じゃあ私はこれもらうね。代わりにプチトマトあげるから安心して?」

 

 

「はぁ~、最初からそれが目的だったでしょ君たち…いいよ。というか最後は建前すらなかったね!?欲望の塊だったよね!?もうちょい隠そうよ!」

 

そしてあっという間に俺の弁当はキメラ弁当へと変化を遂げた。

唯一原型が残っているのが三段目の白米のみ。

二日に一回ぐらいの頻度で俺の弁当がキメラってる気がする・・・

 

 

「この唐揚げおいしー。やっぱ昼飯は暮見くんのおかずに限るわ。」

 

「手作りっていいよね~。うん!おいしい。」

 

「おいしい。」

 

(ま、いっか。皆喜んでくれているし。)

 

 

そう思いながら俺はキメラ弁当を食べるのだった。

 

 

「キビキビ働け~少年。」

 

「いや、先生も運んでくださいよ…」

 

「私ってさ~チョークよりも重いもの持ったことないのよね。」

 

 

今は放課後で俺は先生にこき使われている。どうやら恩師の先生が遠回しに言っていた雑用の才能が俺には本当にあるらしく、俺はよく先生に頼まれごとをされる。

 

 

「よいしょっと!これで終わりですか?」

 

「うん!ご苦労様、ありがとね少年。」

 

「じゃあ俺は帰りますから。」

 

「気を付けて帰るんだぞ少年。君は特にな。」

 

「??わかりました。それじゃあ先生また明日。」

 

 

先生に別れを告げて、帰宅するため下駄箱に向かう。

君は特に気をつけろとはどういうことだ?

 

(まぁ、あの先生よく謎のこと言っているし気にしなくていいか。)

 

俺がそう思い下駄箱に向かっていると

 

 

「暮見せんぱ~い。助けてくださ~い。」

 

 

一学年下の後輩の女の子に止められた。この子は確か生徒会の子だ。

 

 

「どうしたんだ?泣きべそかいて?」

 

「生徒会のパソコンがウイルスに感染したみたいで先生でもどうにもできないんです。」

 

(嫌な予感がしてきた・・・)

 

「でも暮見先輩ならどうにかできると思って、それで・・・」

 

「わかった。何とかしてみるよ。」

 

(先生の言っていた気をつけろってこういうことか・・・)

 

 

俺は先生の言葉の意味に気づきながら生徒会に足を運んだ。

 

 

「ただいま~。」

 

 

結局色々手伝って帰ってきたのは19時頃。

部活を何もしていないのにこの遅さはやばいと思う。

 

 

「おかえり兄さん。」

 

 

バフッ!っと俺の懐に箒が飛び込んで出迎えてくれた。

 

 

「ただいま、箒。」

 

 

箒を抱っこしながら居間に向かう。居間には皆そろっておりもうすぐ夕飯といったところだ。

 

 

「おかえり雄くん。また手伝っていたの?物好きだよね雄くんってさ。」

 

「うるせー。俺だって手伝いたくて手伝っているんじゃねぇーの。ただ「『俺に頼らざる得ない相談が良く来るだけだ。』でしょ?」

 

 

束が俺の言葉の続きを言う。その通りなのだ。今日の場合ウイルスの件とかそうだな。

 

 

「でも、そのあとのついでみたいな頼みもてつだっているよね?それが原因じゃないの?」

 

「そうかもな。でもほっとくのもかわいそうだろ?」

 

「ここに今日ほっとかれていた束さんがいるのですがそれはどうなのさ?」

 

「悪かったよ。飯食った後で手伝うよ。」

 

 

本来だったら飯を食ったあとは趣味の方を進めるのだが今日はISを手伝うことにした。

 

 

「よろしい、それでこそ私の雄くんだよ。」

 

 

束は上機嫌になりながらそんなことを言っている。

いつものことだし気にしない。まぁ、元気なのはいいことだと思う。

 

それから飯食って、箒と風呂入って、束を手伝って寝た。

 

こんな一日が今の俺の日常である。




普通の日常でしたね。
ちなみに今作では箒と一夏を違うクラスにしました。

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う~ん最後の方がキレがなかった気がする・・・

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