皆様ありがとうございます。
篠ノ之家に来てから半年ほど経った。
あの試合以降ちーちゃん(本人から呼ぶ許可を得た)とも仲良くなれ、友達づくりは順調だ。
ちーちゃんの影響力は格が違った。
なにせ、俺はクラスの皆と挨拶はできるぐらいまで関係が進んだのだ。
挨拶をしたら挨拶が帰ってくる…初めて返してくれたときの感動は忘れない。
えっ?友達になれてないじゃないかって?
いやいや、記念すべき第一歩だよこれは。
俺の見積もりだとこのままいけばあと2年ほどでみんなの誤解も解けると思う。
(あれ?友達ってつくるのに数年かけるものだっけ?)
いや、考えるな…むなしくなる…
べ、別にいいし!束とちーちゃんいるから寂しくねぇし‼
それに箒は天使だし、千春さんや雪子さん、柳韻さんもいるから‼
うん、問題ないな。
あっ!そうだった。(話題替え)
修行をちーちゃんとするようになったんだよ。
いや~誰かと修行するっていいね。気分がいいよ。
しかもちーちゃんは美少女だから尚更うれしい。
しかし、これをちーちゃんに言うと殴られた…
ちーちゃんは恥ずかしがりやみたいでこういうこと言うと殴られる。
まぁ、顔を真っ赤にしながらってのがさらにかわいいんだけどさ。
とまぁ、ちーちゃんに殴られながらも日々修行しているわけです。
そんな俺が今やっていることは
「束~こっち終わったからあとでチェック頼むわ。」
「りょうか~い。」
ひたすらパソコンに向き合ってプログラミングしている。
なぜかといわれれば俺が手伝わせてもらっているからだ。
この【インフィニット・ストラトス】通称【IS】の作成を。
そしてなぜ俺が手伝い始めたかというとことの発端は数ヶ月前に遡る。
・
・
・
・
数ヶ月前・・・
「束。」
「ん?なに?」
パソコンをいじりながらも束は反応してくれる。
作業の手は一切止めてない。
「聞きたいことがあるんだけどさ。」
「んー、なに?」
「いつもパソコンいじって何のプログラミングしてんの?」
そう、前々から気になってはいたのだ。
暇さえあればパソコンをいじっている束が何を作ろうとしているのか。
前にチラッと見たときは姿勢制御とセンサーのプログラミングをしていた。
ロボットでも作ろうとしているのかな?
「ん~とね~。・・・聞きたい?」
束が作業の手をパタリと止め、聞いてくる。その顔はどこか楽しそうで今にも言いたいって顔だ。
「うん、聞きたい。」
束がそんな顔するもんだからよっぽどの物なんだろう。余計聞きたくなった。
「えぇ~どうしようかなぁ~?」
「もったいぶらずに教えてくれよ。」
「ん~、でもなぁ~?」
束がもったいぶるため少し卑怯な手を使う。
「そっか、そんなに教えたくないならもう無理に聞かないよ。邪魔してゴメン。」
そう言って俺は部屋を去ろうとする。
押してダメなら引いてみろってやつだ。束の顔からしてものすごい自慢したそうなのはわかる。
それを逆手に取った作戦だ。
「えっ!?ちょ、ちょっと待ってよ!ごめんごめん、教えてあげるからさ!?待ってよぉ~。」
束が俺の腰に抱き着いて止めに来た。計画どうり。(デスノート並み感)
「で、どんなものなんだ?」
椅子に座りながら束に改めて尋ねる。
「私が作っているもの、それは【IS】だよ!」
「IS?」
アイエス?なんだそれ?聞いたことないな…
「聞いたことないって顔してるね。それはそうだよ!通称【IS】、正式名称【インフィニット・ストラトス】は私が生み出す全くもって新しいパワードスーツなんだから!」
インフィニット・ストラトス・・・・直訳で無限の成層圏か。
「そのISというのはどういったパワード・スーツなんだ?」
「それはね・・・・」
束が腕を掲げて天を指さす。
「
「宇宙か。それはまたスケールのでかい話だな。でもどうして宇宙なんだ?」
宇宙での活動を想定したパワード・スーツ、それはとても難しいものだろう。
パワード・スーツを作るだけなら地上での活動を想定したものの方がはるかに楽なはず。
「だって、宇宙は未知のことでいっぱいなんだよ‼自分でもわからないことがそこら中にあると思うとさ・・・・・すっごくワクワクしない?」
そう語る束はとても興奮しているのがわかる。
「私はね、すっごいワクワクする。私でもわからないことがまだあるんだって。それはどんなものなんだろうって。」
両手を広げ、踊るように束はそういう。
あぁ、そうか。束は生まれ持っての天才だ。それもわからないことがないようなとびきりの天才だ。しかし、それはとてもつまらないのだろう。
だからこそ宇宙。そこは未知であふれた楽園。
「だからね、IS・・・インフィニット・ストラトスは無限に広がる
そう言い切った束の顔はいままでにないほど輝いていた。
なるほど、だからインフィニット・ストラトスか。
それは無限に広がる
「いいな、それ。最高にロマンがある!」
「でしょでしょ。」
「そして何よりも・・・・」
そう、何よりも・・・・
「その夢を追う束。お前が綺麗だ。」
「ふぇっ!?」
この美しい夢をかなえようとするこの子の力になりたい。そう純粋に思った。
だから・・・・
「だから束。俺にその夢の手伝いをさせてくれないか。」
そう願った。
・
・
・
・
とまぁ、そのあと束が快く了承してくれて今に至るわけだ。
いや~、それにしてもこのISはかなり難儀なものだった。
今の俺でも理解するのに苦労する。これは頭を良くしてもらって正解だった。
そんなことを考えながら二人でカタカタとパソコンを叩いていると、
「邪魔するぞ。」
ちーちゃんが部屋に入ってきた。はて?ちーちゃんがなんで家に?
「お前たちが今日家に来たい来たいとうるさかったからしょうがなく許可したのに来ないから心配になってきてみれば。はぁ~、またそれか・・・・」
あっ!?完全に忘れてた…
隣を見ると束も同じような顔している。ちーちゃんは完璧に呆れている。
「ご、ごめんちーちゃん。一度始めるとなかなかやめられなくてさ…アハハ・・・」
とりあえずすっぽかしてしまったので謝る。
「そうかそうか。私との約束よりそんなパソコンをいじる方がさぞ楽しいと?」
超怒ってる…そりゃそうか、無理言って約束とりつけたのにすっぽかされてるんだもんな…
もっとちゃんと謝らないと・・・
「そ、そんなことないよ。信じてもらえないかもしれないけどちーちゃんとの約束の方が大事さ。」
「どうだかな…」
「本当さ、信じてくれ。」
「ちょっと雄くん・・・・?」
束に声をかけられ振り返るとなぜだか束も怒っている。
「IS作るのよりもちーちゃん家行く方が大事なの?つまり私よりちーちゃんの方が大事なの?」
そ、そういうことかーー‼でもなんか論点変わってね!?
「い、いやそれは言葉の綾というものであってだな・・・」
「ほーう、つまり束の方が大事ということか。さっきのは嘘だったわけか?」
後ろからちーちゃんの追求。
「いや、嘘とかそういうのではない。ほんとにちーちゃんが大事だよ・・・」
「雄くーん?」
ちーちゃんに弁明するため振り返ったところで束が言葉で背中を刺す。
しかし、束に弁解しようとするとこんどはちーちゃんに・・・・
(な、なぜこうなった・・・!?)
必至に打開策を考えたが・・・・・・無駄…
全く思いつかない。
そんな俺に見かねたのか・・・
「束。あまり怒るな。」
ちーちゃんが助け舟を出す。ちーちゃんも相当怒ってたのは気のせいだろう・・・
いいぞーちーちゃん頑張れー!
「雄二は私の方が大事だと事実をのべてるにすぎん。そうやって脅すのは良くない。雄二が困っているではないか。」
とんでもない爆弾を投下していきやがった・・・・
「ふ~ん。そういうちーちゃんこそ威圧かけるのやめてよ。雄くんが私の方が大事って言いづらいでしょ?」
やめてっ!なんでそこでそうなっちゃうの!?
「雄二は常日頃から恥ずかしげもなく私に可愛いと言っているぞ。お前は言われてるか?」
いや、ちーちゃん反応が面白いし可愛いから言ってるけどさ…
「私は何よりも綺麗だって言ってもらえたよ。何よりもってね。」
いや、それも言ったけどさ…
「「・・・・・・」」
やばいやばいやばい!?今にもやりあいそうな雰囲気だ!?
そうなったら間にいる俺は助からない…
な、なんとかせねば…
「け、喧嘩はよくないぞ~」(震え声)
『ギロリッ』
(ひっ!?)
そんな効果音が聞こえてきそうなほど鋭い二つの視線に思わずビビる。
(に、逃げるんだぁ、勝てるわけがないYO)
俺は和解をあきらめてこっそり部屋から出ようとする。
「何処へ行くんだぁ?」
が、伝説の超地球人に捕まった。
すでに前方には束が回り込んでおり、後ろにはちーちゃん。
「で?結局どっちなの雄くん?」
束が満面の笑みで俺に聞く。顔は笑っているが笑ってない…
「で?どっちなんだ雄二?」
後ろからも声をかけられる。それはまさに死刑宣告…弁解は不可能…
「ふ、二人とも大事だよ。比べるなんてとんでもない。」
最後の希望にすがる。二人ならきっとわかってくれる。
「そうか・・・」
「そうなんだ・・・」
二人がそれぞれ俺の右手と左手をとる。
そして・・・
「わかってくr『ゴキリッ‼』
同時に腕を決められた。
「_________!?」←声にならない叫び
「「・・・・・・」」
その後は二人にぼこぼこにされてその日は動けなかった。
今日の教訓〈約束は絶対に守ろう〉
安心してください、折れてはいません。
主人公はせいぜい関節外されて骨にひびが入るぐらい圧迫されただけです。