なんか違うぞこの世界   作:黒姫凛

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………今、いつだ?何時何分だ?

はっ、スマン遅れた。単純に言えばバトルの回想が思いつかなかった事と初めてのバイトで忙しくて仕方無かったのだ。許してくれ。これからちまちまと投稿していくから、よろしく頼む。いや、頼みます。

待っていてくれてた人。バトルの回想を期待してくれていた方がいるかもしれないが、期待を裏切るようですいません。(ネタバレ)


やっぱ大人で尊敬出来る人って凄いよね。

ーーーカチッ、カチッ、カチッ………。

 

時計の針が谺響する。あるのは無数の時計、それを浮かす無の空間。全ての時計が同じタイミングで針を動かし、止まることの無い永遠の時を刻む。違うのは、針が指す時の位置と、針の進む方向のみ。どれも同じ時を刻むものは無く、全てが個の時を刻み進ませる。

 

「ーーー誰だァ?俺んとこの領域に勝手に入りやがったのはァ」

 

ピタリと針が全て止まった。谺響した音は消え、風の音すらしない静寂が無の世界を支配した。

一瞬空間が捩れ、そこから人影が姿を現す。ここに物の概念は無い。あるのは時間を動かす為の道具である世界の時計の数々のみ。物の姿をこの世界で作る事は世界時計以外では無理である。

その影とは別のもう一つの影が姿を現す。

 

ーーーーーーーーーーーー(久しぶりね。元気していたかしら?)

 

声は聞こえない。しかし、影の口の動きから大体の察しをつけた。

 

「そんな世間話のために俺の世界に来たと?……言っとくけどなぁ。俺はお前に協力なんぞしてねぇんだからな。……あの人を、この世界に呼ぶって聞いたから、仕方なく手を貸してやったんだ。態々アイツと組んでまで新しい世界を作らせやがって。もしあの人が、手に入らなかったら、てめぇを完全に()()()やるからよ」

 

影は何も言わない。対面する影からの殺気は本気のものだ。しかし、影は怯えた様子もなく、逆に口元を緩めた。

 

『ーーーーーーーーーーーーーーーーーー』

 

影は言った。しかし、もう一つの影は顔を顰めていそうな呆れた態度を取る。

 

「………その割には、楽しげな顔してんじゃねぇか、えぇ?俺達で決めたよな?あの人の人生に関与しないって。ただ、あの人が俺達の元に来れる()()()()()()()しただけのはずだが?」

 

『ーーーーーーーーーーーーーーー』

 

影は言う。影は何かを悟ったかのように片腕らしきものを上げ、指のように影を細くして、そっと空間を押すように動かした。

 

「分かっていると思うが、今お前はあの人の人生を狂わせたんだ。もしかしたら、無いはずのイレギュラーが出たりして、もう一度()()()()事になるかもしれないんだぞ。そうなった時、次は何億何兆回目で当たってくれるか……」

 

『ーーーーーー』

 

分かっていますよと、言いたげな影にフンっと顔を背ける影。ではまた、と言ったかのように、影は空間の中に消えていく。

 

「……最後に、言わせろや」

 

空間が歪み、その中に影が入り込んでいる間際、影が言った。

 

「後悔すんじゃねぇよ。お前が始めて、お前が狂わせた事だ。どっちにしろてめぇは絶対後悔する事になる。必ずな………」

 

ただ悠々と、その言葉を聴きながら影は消えていった。残されたのは、再び取り戻された静寂と、ただ呆然と浮遊する影。

しかし、影はひたすら続く虚無の空間を見つめ続け、脳裏に浮かんでいるであろう先の会話を思い出していた。

 

「……狂わせる、ね。そりゃ、アイツだけってのは筋違いか。人っていう概念の限界を超えさせちまってるからな。こりゃ根回しが必要、かな。アイツらにも頼んでおくか」

 

両手を合わせるかのように影が動き、パチンっと音が響く。それは空間全体に広がるだけでなく、止まっていた世界時計を動かす為のスイッチの役割も果たす。

 

「……さて、まずは最初の根回しだ。死んでくれるな、ーーーさま」

 

1つの時計が、本来正常に動くはずの時計が、狂い始める。

 

誰も知らないハッピーエンドが、誰も知らないバッドエンドに近づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーガッハッハッ。いやいや、君とのバトルはとても面白かった。1番、とは流石に言えなかったが、ポケモン達との絆はトップクラスであるな。うむ、将来が楽しみで仕方ない」

 

デンタさんとの試合は白熱した。俺はミカンちゃんとサーヤ、そしてアリアで挑んだ。結果は、うん、まぁ……ぼちぼち何じゃね?1勝2敗という戦果でしたー。これほんとにやって行ける?

 

「俺は物凄く勉強になりました。デンタさん、改めて言わせてください。俺の我儘に付き合って下さり、ありがとうございました」

 

「うむ、もう気にすることではない。珠にはこういう試合もしてみたいのは仕方の無い事だ。ジムバトルは勝ってバッチを取るだけではないのだ。自分よりも遥かに強い強者に触れる。成長への栄養となれた事に、俺は深く感動しているぞ!!」

 

デンタさんのキャラがこういう人でホント良かった。負けても何故かウキウキした感覚が止まらない。この人と戦えて良かったって心底思えてくる。またバトルしたくなるじゃないか。

 

「でも、ほんとに凄かったよ。私じゃまだ追いつけないね」

 

「そんな事ないよ。シロナだって、いつかもっと凄いバトルが出来るよ」

 

「うむ、人には様々な戦い方があるのだ。焦らず自分のスタイルを見つければいい。そして何より、俺は将来また君たち2人とバトルしてみたいな」

 

シロナは驚きを隠せなかった。デンタさんの口から俺だけでは無く、シロナの名前もあがったからだ。

 

「わ、私も良いんですか?」

 

「当然だろう。君は彼の近くにこれからもいるのだろう?ならば、君は彼の成長を見ながら自ら成長出来るはずだ。更に言えば、『メガシンカ』とは己とパートナーとの絆を深く結んでいなければならないのだ。生半可なものでは『メガシンカ』なぞ会得出来ん。だからこそ、『メガシンカ』を会得するであろう君ともバトルしてみたいのだよ」

 

「ありがとうございます!!私も、精一杯頑張ります!!」

 

「うむっ」

 

結論。デンタさんはめちゃくちゃいい人。

この世界に来て初めて人間性として、トレーナーとして、憧れを持ったかもしれない。デンタさんの性格もそうだが、俺の我儘を笑顔で聞いてくれる器の大きさ。これは流石に真似出来ない。俺だったら、何だこのガキってなっちまうだろうから。そして何より、戦っていないはずのシロナにも期待をしてくれていた。俺達は必ず『メガシンカ』を会得出来ると。そうデンタさんは思っていてくれているんだ。ならば、その期待に答えるしかない。絶対に、俺達は『メガシンカ』を会得してみせる。

そう思いながら、俺達はミアレジムを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




めちゃくちゃバトルの回想悩んだ。どうしようどうしようってめちゃくちゃ悩んだ。学校行ってもペン持ってそれをずっと考えてた。
ごめんなさい、ホントごめんなさい。
あの展開絶対バトルするじゃんって思っていた人大半だと思いますけどごめんなさい。

あ、でも、それでも俺はこの作品を待っていた方達に大きな大きな感謝をします。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

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