実は作者、故障中でして通院を何度もしているんです。
かれこれ何度も手術をしていたらいつの間にか6回もしていましたです。
神経も少しやられているので、感覚がない部分もあるです。
まあ、動くから問題ないですね!
什造くんも片足なしであれだけ戦闘できてたんだから作者もどうにかなるはず(意味不)
まあ、言いたいことはとにかく遅れて申し訳なかったってことです。
エタルつもりは今のところさらさらないのでどうぞよろしくです。
それはさておき、いつの間にか四半期のランキングで50位になってました……
皆さんもやっぱり有馬さんが好きなんですね!
有馬さんパワーでこれからも頑張っていきますです!
有馬たちが冥界へ訪れてから早数日。
あれから有馬たちが何をしているのかと言うと
「冥界の魚うまうま」
「………」
「………」
「ジャンヌ食いすぎ、ジークは無言で食べ過ぎ、有馬さんは読書してるし、協調性ゼロですか?」
忙しそうに口と手を動かすジャンヌ、それとは逆に無言で食べ続けるジーク、そんな状況で一人本を読む有馬、そんな彼らに1人ツッコむリント。
ここで新たなに現れたメンバーリント、彼女は誰ぞやとなっている人も多いだろう。彼女は有馬と幼少の頃からの付き合いの悪魔祓いであり、その実力は表だって知られてはいないがジャンヌたちと遜色ない。
冥界行きのメンバーを決めるとき、有馬は討伐任務の準備をしていたリントに今回の護衛に参加できないか聞いてみた。普通なら討伐任務がある時点で参加はできないと答えるが、リントはその任務を了承、電光石火で討伐任務を終わらせ、今回の護衛任務に出向いた。
流石の有馬もまさか十日はかかるであろう任務を行き帰りの時間を入れ三日で終わらせてきたリントに内心驚いたが、本人曰く、『今までの無茶に比べたら何でもない』との事。彼女も有馬に毒された人物の一人だ。普通の悪魔払いであるはずがない。
そんなこともあったが、無事に有馬はメンバーを収集することができ、護衛任務に就いた。
そんな彼らは何故か冥界の町で食べ歩きをしていた。
何故護衛で来た彼らが護衛もせず食べ歩きをしているのかと言われれば、暇だったからとしか言いようがない。
護衛をしに来た彼らだが、その護衛対象が上層部の者しか参加できない会議に参加してしまった為、付き添うわけにはいかず、時間が空いてしまったのだ。
その結果、どういう流れになればこの結論に辿り着いたのかわからないが、食べ歩きをすることが決まったのだ。
当然、最初から食べ歩きをすることが決まっていたわけではない。だが、有馬が面倒事から避けるにはそれしか手段がなかった。
『三対一なら勝てるっしょ』
『二刀なら』
『冥界に来てまでやることじゃないでしょ』
この二人、冥界に来てまで有馬と稽古をしようとしていたのだ。
三人でならどうにかなるんじゃないかと言うジャンヌ。
二刀ならもう少し喰らいつけるのではと意気込むジーク。
そんな状況に困惑するリント。
当然有馬もどういう考えをしたらここで稽古をするという選択が出てくるのか理解に苦しんだ。そこで唯一自分に味方してくれそうなリントにどうにかしろと言う視線をぶつけてみると
『あ、えっ、そ、そうそう!何か食べに行かない!冥界に来ることなんてそうあるもんじゃないんだし!』
その言葉に反応したジャンヌは半ば強引にジークとリントを引きずりながら町へ向かい、その後に有馬が続くことになり、食べ歩きをする事となった。
有馬本人は稽古じゃないならもうこの際何でもいいか、と諦めている。
そんな事で彼らはつかぬ間の自由を各々満喫していた。
道中、ジャンヌやリントが悪魔の男性にナンパされていたが、有馬が居ることに気がつくと
『ひっ!白い死神!?』
『殺さないでぇ!』
等々の言葉を叫びながらその場どころか町から走り去っていった。
まるで化物を見たかのような反応に若干傷ついたがそれは仕方のない事だ。
余談だが、有馬の噂は教会よりも悪魔の中の方が有名だったりする。おかげで有馬の周りには悪魔が近づくことはまずない。それでも近づいてくる悪魔は有馬に気づいていない者か、その噂を信じていない馬鹿だけだ。
「よぉ、奇遇だな」
そんな静かな時間も堕天使総督が現れたことによって儚くも終わりを迎えた。
「あれ、どっかで見たことある顔」
「ジャンヌ、堕天使総督の顔ぐらい覚えておいてほしんだけど」
「堕天使総督……アザゼル!流石リント、博識で助かるわ」
「元聖女ならそれぐらい覚えておいてほしいんだけど」
相変わらず興味のない事は記憶にないジャンヌに溜息を吐くリント。これで元は聖女だというのだから人間分からないものだ。
もし彼女を聖女と称えていた人たちがこの光景を見れば卒倒するかもしれないな、なんて事を考えながら目の前に現れた危険人物に近づかないようジークを盾にするような立ち位置に移動する有馬とそれに気がつかないジーク。
何気にジークの扱いが雑な気がするのは気のせいではない。
「で、その堕天使総督が何でここに居るの?」
リントは警戒の色を見せながらアザゼルを睨め付ける。
たとえ和平を結んでいたとしても、三竦みの中で最も信用がなかったアザゼルだ。それが前触れもなく突然現れたとなれば警戒をするのは当然だ。
そんな臨戦態勢一歩手前の一行に頭を乱雑に掻きながら近づく。
「そう警戒すんな。会議なら粗方終わったから後はシェムハザに丸投げしてきた。用事があってグレモリー領に来てみれば白いコートを着た人間が街をうろついていると聞いて見に来ただけだ。それにしても一人は知らねえが、白い死神に魔剣使い、元聖女様まで居るとはな。護衛とはいえ過剰戦力にもほどがあんだろ」
アザゼルは呆れたようにぼやく。
自分自身も何人か護衛を連れてはいるが、ここまでの戦力は連れてきていない。
有馬貴将一人が護衛に着くだけでお釣りが多くて困るレベルにもかかわらず、そこに有馬が選んだ精鋭の参加。正直、どこかの勢力にカチコミに行くと言われても冗談だろと笑えない程の戦力だ。
「お前らは自覚がないかもしれないが、もし若手悪魔の連中とレーティングゲームしたら勝負にならねえぞ。むしろ若手全員対お前らでようやく天秤が釣り合うぐらいだ」
アザゼルはお世辞にも聞こえる言葉を述べるがこれは比喩でもなんでもない。過大評価どころか過小評価してこれだ。悪魔の領土だからこそ言葉を控えたが、若手の中で有馬と辛うじて闘いが成立するのは若手ナンバーワンのサイラオーグくらいだと考えていた。他の悪魔では闘いとして成立すらしないだろうと。
それほどまで実力差が開いている。第一、若手と有馬とで天秤を釣り合わせようとすること自体が間違いだ。有馬を乗せれば天秤事体が壊れる。
特にリアスのような魔力を重点に置いた戦闘スタイルでは有馬相手に数秒も持たないだろうというのがアザゼルの考えだ。
有馬の動きは人外からしても速いが、それでも速すぎることはない。単純な速さで言えばアザゼルやミカエルの方が速さはある。
だが、それでもその動きについていくことができない。速いというよりも捷い。予備動作がなく、動きの繋ぎ目が全くと言っていいほどない。それ故に動きにロスがない。
結果、予備動作が多い此方が遅れる。なまじ光や魔力と言った素養が高い者ほどそう言ったことが疎かになりやすい。上級者となればそれなりに隙は無くなるが、それでもある程度は魔力で補填しようとする。だが、サイラオ-グは魔力を一切使わないというか使えないため、そう言った点だけで言えば有馬に最も対抗できる存在だと言える。
「そう言えばお前さんらは今夜の若手悪魔の会合に参加するのか?」
「……さあ?」
「さあって、お前。ガブリエルから聞かされてねえのか?」
「よくわからないけど、参加するのにいろいろ話が必要だって」
「話しが必要って……ああ、そう言うことか」
その言葉で察した。
白い死神、悪魔にとって恐怖の象徴でもある存在。それが冥界に居るだけでも恐ろしくて眠れない悪魔が居ることも話で聞いている。一部の過激派は白い死神が滞在している間に殺してしまえばいいとまで言っている者まで居るらしい。むしろ襲い掛かった悪魔が全部死体に変わる気がするが、それでも物騒なことには変わりない。
そんな彼を若手悪魔の会合に護衛として参加させて良いものか、それに対して現在ガブリエルがサーゼクスらと議論を交わしている最中なのだ。
よくよく考えれば有馬を会合に参加させるのは色々と危険な気がする。主に悪魔にとって。
若手悪魔の中には血の気が多いものが存在する。そんな若手が名を上げたいという衝動にかられ、有馬にでも襲い掛かればとんでもない惨事になる。
下手すれば和平して早々に和平が崩れかねない。
(確かに話が必要だな。冥界に居る間、こいつは悪魔にとって核弾頭のようなものだ。ちょっとしたことで爆発しかねない。まあ、唯一安心できることがあるとすればこいつ自身が好戦的でないってところだな)
もしも有馬の性格が東京喰種初期の什造のような性格なら今頃冥界は阿鼻叫喚の巣窟に成り代わっているだろう。
どちらにしても悪魔を片っ端から駆逐していく有馬の存在は看過できる物ではない。
「あぁ~、お前ら。まだ時間はあるか?」
「すいませーん、これから甘いもの食べるので時間無いでーす」
「すいません、この馬鹿には後からよく言っておきますので」
「俺達は護衛がある。用件なら他を当たってくれ」
ジャンヌの言葉に冷や汗を流しながら謝罪するリント、どの道お前に割く時間はないと言うジーク。
有馬の返答を待たずして部下たちが次々と意見を述べていく。
有馬自身積極的に話すタイプではないが、それでも意見ぐらい言わせてくれてもいいのにと思うところがあった。
「そう言うなよ。ガブリエルにはお前らが戻るまでバラキエルを付けておく。だからちょっとだけ時間くれねえか?」
何故ここまでアザゼルが食い下がるのか。
引き際を見極めているアザゼルらしからぬ行動に疑問が生じる有馬。
会議を副総督であるシェムハザに丸投げ、グレモリーに用がある、その用を後回しにしてまでこちらに接触。
これらの情報を統合した結果、有馬は一つの結論に辿り着いた。
「赤龍帝の事か?」
その言葉にぎょっとするアザゼル。
どうやら当たりのようだ。
何処で仕入れたのかはわからないが、どうやらアザゼルは有馬が二天龍を過去に倒していることを知っているようだ。
誰が個人情報を言いふらしているのか激しく問いただしたかったが、知られているのなら仕方がない。別に隠していたわけでもないし。
「よくわかったな。教会で戦士として戦わなくても探偵としてやってけるんじゃねえの?」
「用件はわかったが、何をさせたい?」
「ここまでわかってんなら、その先は言わなくてもわかるはずだが?」
「有馬さんに赤龍帝の面倒を見ろってこと?」
ジャンヌはアザゼルの物言いに怒気の籠った視線をぶつける。
その右手はさりげなく腰の西洋剣に添えられている。
戦争待ったなしの行為にリントは慌てて制止をかける。
緊迫した不穏な空気が流れる。
「いいよ」
そんな空気を壊したのは有馬だった。
まさか了承するとは思わなかった三人は弾かれたように有馬を見る。
その様子に表情に変化はないが、逆に有馬が驚く。
「お、おお。まさかこんなすんなり頷いてもらえるとはな……正直、だめもとで頼んでみたんだが、その甲斐があったってもんだ」
「赤龍帝、兵藤一誠と話がしたかったからいい」
その言葉に先程よりも驚愕に染まった表情をする一同。
「有馬さん、名前知ってたんですね」
「有馬さんが話してみたいって言うなら、私も会ってみたいなー」
「兵藤一誠、聞いた事が無い名前」
「まさかお前さんがあいつに会ってみたいなんてな。何が目的だ?」
三者三様の反応を見せる中、アザゼルは警戒の意味も込めて問いかける。
有馬は一度二天龍を倒したことがある。そして先日の会談でもヴァーリを倒した。なら兵藤一誠も倒すつもりなのではないのか?
確証がある訳ではないが、そんな予感がした。
「特に、強いて言うなら知り合いに似ていたから」
「知り合いに?」
ここで言う有馬の知り合い、それは一体誰の事を指しているのかはわからない。だが、目的がそれならそこまで警戒する必要がないかもしれない。
「知り合いが誰かは知らないが、それが目的なら問題ない。じゃあ、付いてきな。せっかくだから俺が案内してやるよ」
アザゼルは有馬らの先頭に立ちグレモリー家に向かって歩き始める。
有馬の本来の目的を知らずに。
□■□■
有馬貴将、東京喰種においてアオギリの樹の王であり、CCGでは無敗の捜査官として名を馳せている。
この世界で暮らし始めて彼は思った。
自分が東京喰種に登場する有馬貴将なら、自分は何時か隻眼の王となる者に殺されるのではないか。
勿論、その可能性は低いと断じた。
この世界は東京喰種ではない別の世界だ。あの世界での有馬貴将の結末がこの世界の有馬貴将と同じとは限らない。
それでも用心をする事にこしたことはない。
彼は幾度の任務で様々な国へ向かい、隻眼の王となりうる存在が居ないか探した。
だが、そんな存在はこの世界には存在しなかった。
龍王と呼ばれる龍と戦った、二天龍と呼ばれる神器使いとも戦った、それでも
だからこそ、当時は安心した。
自分はあの世界と同じ結末をたどることはない。
また死ぬことはないと安堵した。
だが、見つけてしまった。
金木研になりうるかもしれない存在に。
神代リゼに殺されかけ、霧嶋董香に救われた金木研と同じく。
堕天使レイナーレに殺されかけ、リアス・グレモリーに救われた兵藤一誠。
両者ともに裏の世界に足を踏み入れた原因は人外の者にあった。
そして救ったのも人外の者だった。
このことを知ったのは聖剣任務の時だった。
偶然とは言い難い、看過しがたい事実。
まさか兵藤一誠は隻眼の王たる人物ではないのか?
その可能性に気づいた彼はコカビエルとの戦闘中に兵藤一誠の様子を見定めていた。
その姿は弱弱しく、覚悟が足りない一般人とは何ら変わりない少年。殺す覚悟も無く、ただ巻き込まれている、そう言った感じがした。
それが彼の不安を増長させた。
金木研も最初から隻眼の王足り得たわけではない。様々な葛藤を繰り返し、悩み、苦しみ、もがき、喰らいながら隻眼の王となった。
兵藤一誠の今の姿は最初の頃の金木研と変わらない。弱くて、小さい、選択する強さを持たなかった頃の金木研と同じだった。
有馬は任務を終え教会に戻った後、兵藤一誠に着いて調べられる限り調べた。
彼が悪魔に転生する前は穏やかだった駒王町、それが兵藤一誠が悪魔になった途端乱れ始めた。
まるで物語が始まったかのように。
東京喰種と同じだ。
あの世界も金木研が半喰種として生まれてから物語が始まった。
もしも本当にこれがこの世界の物語、兵藤一誠を中心としたものなら今はまだ序章、まだ手の施しようがある。
兵藤一誠が王となりうるのか、彼を殺しうるのか、それを見定める。
自分が生きるためには他者を喰らうしかない。
その為なら手段は選ばない。
それが有馬貴将に憑依した彼の生き方、選択だった。
終わり方がびみょ~