忍「これは金太郎飴。切っても切っても金太郎の飴ですよ。」
アリス「ニコニコ」
忍「珍しいですか?」
アリス「シノがいっぱい!」
忍「へ?」
アリス「日本の物はみんなシノにそっくりだね!」
忍「きんたろー・・・」
ピンポーン
楓「はーい。」
忍「私、金太郎じゃないですよね!?」
楓「え?何急に。」
訳が分からなくなった楓だった。
ヤミーを倒した後日。海翔はいつも通り学校へと向かう。
海翔「あ。」
綾「おはよう海翔。」
海翔「あ、あぁ。おはよう。」
二人は待ち合わせ場所で他の皆を待っていると、
綾「そういえば海翔。制服ちゃんと着たら?」
今夏服の為、海翔はワイシャツだけで、ボタンを一つ開けている状態だった。
海翔「今さらだな。別に式の日には着てるし、大丈夫だろ?」
綾「普段からビシッとするべきだと思うの!」
すると綾はシャツのボタンを付けてネクタイを付け始めた。
海翔「いや、ボタン苦しいから外してんのに。」
綾「(あ!なんかこれって・・・///)プイッ」
あることを察した綾は赤面し目を背けた。
海翔「どうした、お前?」
綾「・・・///」
きちんとした服装になった海翔。
海翔「・・・で?これで満足か?」
綾は完全に顔が真っ赤になっている。
綾「///」
海翔「大丈夫かお前。」
結局元に戻したが、その後二人には会話がない。というよりは話そうにも話しづらい状況だった。
綾「(やっぱり二人きりだと緊張する。前は全然大丈夫だったのに。)」
綾「・・・ねぇ海翔。」
海翔「なんだ?」
綾「海翔って・・・好きな女の子っている?(・・・私なんて事を聞いて!?)」
海翔「ブフッ」
綾「だ、大丈夫!?」
海翔「お前、いきなりなんだよその質問。」
綾「(海翔が焦るところ初めて見た。)で、いるの?いないの?」
海翔「・・・一応いる。というよりは・・・チラッ」
少しだけ綾を見た海翔。だが、それが裏目にでてしまう。
綾「(え?海翔こっち見なかった!?というかいつもと違ってドキドキする!)」
綾「え?それって・・・」
昴「おはよう。」
そこに昴、陽子、フェイが来た。
海翔「・・・うす。」
綾「あ、おはよう。」
フェイ「二人とも顔赤いよ?」
昴「もしかして告白してたり?」
海翔・綾「違う!!」
楓「息ピッタリ!」
海翔「楓。」
忍「おはようございます。」
━━━━
アリス「あ、ああ!」
回収したプリントを落としてしまったアリス。
アリス「ごめんなさい〜・・・」
海翔「気にするな。日本にはドジっ子っていう言葉がある。」
アリス「ドジ・・・?」
陽子「ちょっとくらいドジった方が可愛いってことだよ
。」
綾「私もそう思うわ。」
海翔「?」
綾「誰だって失敗するわよね。完璧な人なんていないもの。」
海翔「ま、まぁそうだな。」
綾「ドジっ子って可愛いわよね!」
海翔「そうなんじゃないの?」
綾「実はね、さっき海翔のノートをバケツに落としてしまったんだけど。」
海翔「ちょっ!俺のノート!」
綾「ドジっ子って可愛いわよね。」
海翔「ごまかすんじゃねぇ!」
二人のやりとりを見ると皆が少し違和感が出ていた。
楓「・・・なんか。」
海翔「落としたならそう言えよ。・・・明日ノート見せてくれよな。」
綾「だ、大丈夫!ちゃんと見せるから。」
楓「海翔、叫ぶようになったよね。」
昴「感情が出るようになったって言ってやろうよ。」
━━━━━
忍「私って、何歳くらいに見えますか!?」
楓「16でしょ?」
アリス「そんなストレートに言っちゃダメだよ!」
陽子「15じゃなくて?」
楓「だって今日しのの誕生日だから。」
陽子「あ、そう言えば!」
全員がそれに気づくが、本人には問題があったようだ。
忍「見た目年齢の話です!制服を着てると思っちゃダメです!」
綾「最近まで高校生だったし、14,5歳?」
陽子「けど案外30歳って言われても違和感ないかもな!なんかこう落ち着き具合が・・・ってあれ!?」
アリス「ヨーコなんて事を!!」
忍「ダメですアリス。私にはやっぱり若さがないのです・・・」
アリス「そんなことないよシノ!」
楓「何かあったよね?絶対勇さんが原因で。」
アリス「あ、うん。実は今朝・・・」
勇「そう言えば忍、あんた今日誕生日よね?」
忍「はい。」
勇「おめでとー。確か今年で36歳だったわね。」
忍「違いますよ!何ですかそのブラックジョーク!」
アリス「36!?シノ・・・そうだったの!?」
忍「違います!!」
忍「もーっ。姉妹でも言っていいことと悪いことがありますよっ。」
勇「ごめんねー。だって忍ったら若さが足りないから。」
アリス「教えてくれたらプレゼント用意したのにー。」
忍「私も忘れてました。」
勇「プレゼントかぁ・・・私も忍にピッタリのものプレゼントするわ。」
忍「えっ、何ですか?」
勇「うーん。盆栽?」
忍「初老じゃないですか!!」
綾「そんなことが・・・」
陽子「盆栽はヒドイなー。」
アリス「でもら盆栽ってすごく高価なんだよ!うらやましいよー!」
忍「盆栽なんてもらっても困りますよ〜。ですが、同じ植物ならモミの木が欲しいです。」
昴「もらってどうするの?」
忍「そしたら毎日がクリスマスですよ!」
陽子「あー、なるほど。」
目を輝かせる忍に納得がいった陽子。
綾「これプレゼント、参考書。」
陽子「じゃあ私はジュースあげるよ。」
忍「ありがとうございます。チラッ」
楓「あ、俺のは帰ったらな?」
昴「もしかして、プレゼントは自分です!みたいな?ニヤニヤ」
楓「違うよー。そういうものやって誰が喜ぶ・・・」
忍「プシュー///」
当の本人は湯気が出るほど顔が赤くなっていた。
楓「ちょっ!どうしたしの!顔真っ赤になってるよ!熱!?大丈夫!?」
陽子「あー!楓ストッープ!!」
楓「へ?」
綾「そんな事したら余計温度が上がるわよ?」
楓「?」
首を傾げる楓に昴がある質問をした。
昴「そういえばさ、なんで楓って人助けに迷いとかないの?率先してるっていうの?」
陽子「確かにー。いつから?」
楓「・・・わからない。」
全員「・・・え?」
皆が戸惑っているなか、楓は続ける。
楓「小さい頃からやってるっていうのは覚えてるんだけど、何が理由でとか、そこら辺の記憶がすっぽり抜けちゃってて。」
綾「記憶喪失?」
海翔「・・・!」
不意に言った言葉は海翔には深くささった。
綾「海翔?」
海翔「いや、なんでもない。」
楓「それとは少し違うんだよねー。ま、そのうち思い出すと思うけど。アリスはプレゼントどうする?」
アリス「わたし何も上げられるもの無いから歌を歌うよ。」
忍「歌を?」
アリス「♪たんじょーびおめでとーたんじょーびおめでとー♪」
昴「なんだろうあれ。」
楓「ハッピーバースデーを和訳してるね。」
忍「どうして英語で歌ってくれないんですか!?」
そして、アリスにはあることが引っ掛かっていた。
アリス「ところで若さが足りないってどういう意味?」
陽子「えーとねつまり、老けてるって意味だよ!」
忍「老けてないです!!」
アリス「わたしは若さ足りてるかなー?」
陽子「アリスは若いぞっ。とても高校生には見えない!」
アリス「わーいやったー。」
綾・海翔「(アリス・・・そこは喜んじゃいけないところ(だろ。)だわ。)」
綾「喋り方のせいじゃないかしら。しのって誰にでも敬語でしょ?」
忍「なるほど!ではもう少し崩して喋ってみます。女子高生っぽく!」
綾「うん。」
忍「エッフェル塔の高さって知ってるぅ?324メートルなんだってぇ。うっそーましまでぇ!?みたいなー?」
結果、
海翔「なにかが違う。」
忍「へ?」
陽子「勇姉と同じ血を引いてるんだから、しのにもモデルの素質あるかも。」
忍「ですが、お姉ちゃんは母親似、私は父親似で・・・」
楓「よしっ!一枚撮ってみよ!」
綾「しのちょっとここに座って。」
忍「あ、はい。どっこいしょ。」
これのせいで周りに気まずい空気がながれる。
忍「何か?」
陽子「でも写真撮るんなら、水着にならないと。」
昴「何で?」
陽子「だってグラビアってそうじゃん?」
忍「お姉ちゃんはファッションモデルです。水着は着ません。」
陽子「ちっ。」
楓「ちっ?」
陽子「体のラインを見るのが好きなんだよ私はっ。」
綾「何フェチ?それ。」
陽子「うーん。筋肉フェチ?肉付きフェチ?」
楓「アイドルとかって筋肉ないでしょ?」
陽子「全くない人間はいないって。綾だって脱げば少しは〜。」
綾「こっ、この・・・変態!!」
陽子「え?なんで?」
写真を撮った結果、どれも満面の笑みを浮かべていた。
陽子「いい笑顔だ。」
アリス「うん。」
綾「モデルは無理だけどね。」
楓「今更だけど、そんなにらしさとか気にしなくていいと思うよ。敬語とか全部合わせてしのだからさ。」
忍「そ、そうですか?///」
陽子「そうそう!関係なくしのはしのってことだな!」
アリス「ハッピーバースデーシノ!」
皆で誕生日を祝った。
アリス「きっとイサミは大人っぽいって言いたかったんだよ。」
忍「おおっ。言い回しで随分違って聞こえます!女子高生だけど、盆栽の似合う大人になれというメッセージだったのですね。」
忍「ありがとうお姉ちゃん・・・」
綾「うわぁ。」
陽子「ポジティブシンキングすぎる・・・!!」
アリス「やっぱりわたしも何か形に残るものをプレゼントしたいなー。」
忍「いいんですよ〜気持ちだけで。私にとってアリスと一緒にいられることが、最高のプレゼントですよ。」
アリス「シノ・・・」
忍「でもどうしてもと言うなら髪の毛一本欲しいんですけど・・・」
アリス「何か怖い!」
━━━━
学校から帰っているなか、
忍「楓君。ぽっかり抜けちゃってるってどういう事ですか?」
楓「うーん。何と言うか、昔の記憶はあるけど、そこだけが覚えてないって言うのかな。」
忍「・・・それ以外事は覚えてるのですよね?」
楓「うん。覚えてるよ。」
忍「・・・良かったです。」
楓「?」
一方の海翔達。
綾「そういえば、海翔はなんで仮面ライダーになったの?」
海翔「は?いや・・・質の悪いやり方で頼まれたし。それに・・・」
綾「?」
海翔「・・・やらないといけないこともあるし。」
綾「それって・・・?」
海翔「実は・・・」
海翔は綾に自分の姉の事を話した。小さい頃に亡くなったと知らされた事、事実は生きていた事、そして記憶喪失になっていた事を話した。
綾「だからずっと表情を出さなかったの?」
海翔「・・・」
沈黙で肯定する海翔。すると
綾「・・・ごめんね。」
海翔「は?」
綾「気づいてあげられなくて。」
顔を俯けて謝罪する綾。
海翔「言ってないんだし、気づかないのも当然だ。」
綾「じゃあ、せめてお姉さんに会わせて!」
海翔「え・・・」
綾「私も手伝いたいの!」
海翔「・・・分かった分かった。」
そして、初めて知り合いを自宅に呼んだ海翔。
心咲「海翔・・・お帰り。その子は?」
綾「あ、えっと海翔君の友達の小路綾です。」
心咲「海翔のお友達?ごめんね。私、あなたのこと覚えて・・・」
綾「あ!えっと、初対面です。海翔とは中学の時に。」
あわあわとしていると心咲が。
心咲「?ねぇ、小路さん?」
綾「あ、はい。」
心咲「もしかして小路さんって、海翔の事好き?」
綾「え!?ですから、海翔とは・・・///」
否定しようとしたが、忍の言葉を思い出す。
忍『人を好きになるのはいいことですよ?』
綾「・・・///」
海翔「・・・姉ちゃんもういいか?用事あるらしいし。」
綾「え?」
心咲「うん。小路さん。海翔の事よろしくね。」
綾「は、はい。」
また綾の家まで送る海翔。
綾「えっと・・・海翔?」
海翔「ああでもしないと追求されるだろ?」
綾「あ、ありがとう。・・・それと。」
海翔「?」
綾「朝のあれ、今度また聞かせて。」
海翔「・・・わ、わかった。」
そして、海翔は自宅へと戻るのだが、焦りがでていた。
海翔「(・・・まさか、勘づかれた!?)」
一方、綾もベッドでゴロゴロしながら慌てていた。
綾「(・・・どうしよう!?本当にどうしよう!?海翔の好きな人って。)・・・私、どうしたらいいんだろう。」
その日の夜、
勇「プレゼント、買ってきた。」
忍「えっ、本当に!?ありがとうございます!」
勇「開けてみて。」
プレゼントを買ってきた勇。
忍「わー。スノードーム。めちゃくちゃ季節外れですけど、いいんですか?こんな高そうな物。」
勇「100均よ。それ。」
忍「よく出来てる!!」
勇「こんなのもあったからアリスに買ってきた。」
アリス「あっ盆栽!!(の置物。)」
盆栽に目が輝き出したアリス。
アリス「いいの?わたし誕生日じゃないのに。」
勇「アリスが喜ぶと思って買ってきただけだから。」
アリス「イサミ!ありがとう!!」
その中電話で
楓「え?アリスを取られた?」
忍「お姉ちゃんにはかないません。」
次回予告
海翔「悪いな。うちの姉が。」
綾「気にしないで。出来ることがあるなら協力するわ。」
昴「おや?ラブコメの匂いがするぞぉ?」
綾「違う!!」
海翔「お前そんなキャラだったか!?」
楓「あはは・・・」
「ラブレターと勉強会と夏休み」
楓「see you next time」
今回海翔と綾の間にフラグを建ててみました。それではまた!