スーパーロボット大戦Re・disk3   作:jupi

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7話-動き出す厄祭

 

「貴様の話、受けようかと思う」

 

 イオクはペンギンコマンド達に押し付けられた捕虜の監視に務めていたが、エフィドルグ兵の話に心揺らいでいた。

 

「さすがはクジャン家の当主。判断力はあるようだな」

 

「黙れ下郎。私は何としても本国に戻らねばいかんのだ。」

 

 イオクは牢の鍵を開ける。

 

「貴様の名前を聞いていなかったな」

 

「エフィドルグ辺境矯正官、グリフォンだ」

 

「ならばグリフォン。これを」

 

 イオクが手渡すのは竜宮島の地図。

 

「では、手筈通りに」

 

 

 

 

 数分後にアークエンジェル内で警報が鳴り響く。

 

「この騒ぎは?」

 

「格納庫です!これは……メドゥーサがハッチを切ろうとしています!」

 

「どういう事?ムエッタさんに連絡は」

 

 アークエンジェル内にいたマリューとノイマン。

 

「確認取れました。現在各パイロットと共にこちらへ向かっています」

 

 マリューは直ぐ様竜宮島の仲間達にも連絡を入れる。

 

「捕虜のエフィドルグ兵が脱走してメドゥーサを奪ったのね……しかし監視は何を……」

 

「ムエッタから通信です」

 

 画面にムエッタが表示される。

 

「バルバトスを出撃出来るようにしておいてほしい。それと、クロムクロを浜辺に射出してくれ」

 

「クロムクロはわかりますが、バルバトスですか?」

 

「……既に三日月が先行している。私はオルガと現場に向かう」

 

 通信が切れる。

 

「あの二人の行く末の方が気になるわね……」

 

「そうも言っていられません。メドゥーサが竜宮島の住宅地に近付いています」

 

 マリューは別の通信機をつかんで、格納庫に通信を。

 

「マードック曹長。被害と出撃の状況は?」

 

「艦のハッチをやられた。もう三日月が出撃する」

 

 無駄に暴れずに外へ出たエフィドルグ兵もそうだが、三日月の動きも気になる。

 

「あの人、ニュータイプじゃないですよね」

 

「多分……」

 

 

 

 エフィドルグ兵が奪ったメドゥーサは市街地を抜けて島の中腹に差し掛かった。

 

「来たか……」

 

 背後からメイスで殴りかかるバルバトス。

 

「我が名はエフィドルグ辺境矯正官」

 

「そんなのどうだっていい」

 

 メドゥーサが殴り飛ばされるも、同時にメイスの持ち手が振動ブレードによって切り落とされる。

 

「お前たちと戦う事が目的ではないのでな!」

 

 メドゥーサがバルバトスを蹴り、後方から走りよっていたクロムクロに激突させる。

 

 その隙にメドゥーサが片膝をついて、エフィドルグ兵が機体を降りた。

 

 次の瞬間にクロムクロが投げた振動ブレードがメドゥーサをかすめる。

 

 その衝撃で落下した木がエフィドルグ兵を直撃。

 

「な……」

 

 倒木から這い出たエフィドルグはカブトを脱ぎ捨てクロムクロを睨み、それから走っていく。

 その姿を見たとたんに、三日月と剣之介が動きを止めてしまう。

 

「ビスケット……どうして」

 

 死んだはずのビスケット・グリフォン。

 そのエフィドルグ兵は何故か彼の姿をしていたのだ。

 

 

 混乱の最中、緊急通信が入る。

 

「島のミールにエフィドルグ兵が近付いた!誰か」

 

 総士の珍しい焦った口調に、緊張が走る。

 

「太陽騎士とユニコーンが向かっているが、間に合わない!」

 

 そして、島全体に大きな衝撃。

 

 さらにバリアや偽装鏡面が解除される。

 

「こちら騎士ユニコーン。エフィドルグ兵を確保!しかし……」

 

 続けざまに太陽騎士ゴッドが。

 

「ミールとやらが傷をつけられ黒く変色しているぞ!」

 

 アルヴィス内で、真壁が苦渋の決断をする。

 

「変色部分の切断を!」

 

 ミールの欠落は島の命そのものに影響が出る。ファフナー隊の力や住民の生活にも。

 そのミールの一部を切り捨てるのだ。

 

「これは賭けだな……」

 

 騎士ユニコーンが変色部分を切り落とし、太陽騎士ゴッドがそれを掴む。

 ゴッドが太陽の力でそれを熱して炭にする。

 

 突如、妙な気配に二人は周囲を警戒する。

 

「……誰だ?」

 

 アルヴィスでモニターを確認していた真壁は、太陽騎士の横を通りすぎた何かを確認する。

 

 僅かに再生を始めるミール。

 太陽騎士ゴッドが周囲を確認する。

 騎士ユニコーンは暴れて逃げようとするエフィドルグ兵を掴んだまま離さない。

 

 次々と現れる影。

 

 切除されたミールに向かって歩いていく影は、人の形をしている。

 

「カノン……衛……羽佐間!」

 

 突如侵入してきたマークニヒト。

 

「ミールよ!俺の命を使え!」

 

 同化してミールの再生に力を貸そうとする。

 

 だがマークニヒトはミールに弾かれる。

 

「大丈夫だ」

 

「この声は……父さん……」

 

「お前がこちらに来るのは、まだ先だ」

 

 マークニヒトの中で、総士は自らの寿命が少しだけ延びたのを感じた。

 

 

 

 

 その頃、アークエンジェルから一機のスカイグラスパーが無断発進して島から出ていった。

 それはペンギンコマンドの姿をした、イオク・クジャンだった。


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