スーパーロボット大戦Re・disk3   作:jupi

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祭典-後編

 ゲキガンガーの熱さにあてられたクルー達がラストシーンを息を飲み見守っていた。

 普通なら手に入らない最終話も、アキトは出してくれた。

 仲間の死と最強の敵との戦いから生れたご都合主義展開。新必殺技等が、心踊らされる。

 初めてアニメを見る面々も興奮と感動を覚えたものの、ご都合主義には若干の戸惑いを覚えたようだ。

 

「最後のはなんだ?何故勝てたのだ?」

 

 騎士ユニコーンは由希奈と韻子に訪ねる、笑ってごまかされる。

 

「何はともあれ、ゲキガンガーが皆に受け入れられて良かった」

 

 アキトがユリカに言うも、ユリカは不思議そうに。

 

「アキトってさ。いつだったかゲキガンガーが嫌いになったって言ってたよね」

 

「……まぁな。けど現実でご都合主義に救われて改めてその良さに気付いたんだ」

 

 バサラを見ながら。

 

「あいつに感謝の言葉は要らなかったらしい。好きな歌を歌っていただけで、俺に興味なんて無かったようだ」

 

「それでも、アキトの味覚を取り戻した事にかわりないわ」

 

「そうだな……」

 

 

 

 上映が終わり、ゲキガンガーのグッズの展覧場所にも人が流れ始める。

 

「非売品かぁ。アキトさんのだもんなぁ」

 

 シンとキラ、アスランも随分と楽しんだようだ。

 

 

 

 続いてファフナー隊の美三香が’機動侍ゴーバイン‘の映像を流し始め、漫画本やグッズの展開を始める。

 

 いつの間にか手伝いに呼ばれた零央も一役かう。

 

 侍と言う単語に反応して最前列の席に座る剣之介と由希奈、それにムエッタ。

 

 一方で出された料理に手を出すために離れる鉄華団。

 

「これはゴーバインのヘルメット?」

 

 伊奈帆が見つけたヘルメットは手作りに見えた。

 

「それは代々の……云わばゴーバイン信者のファフナーパイロットが使用してきた、変成意識に関わってきた代物だ」

 

 総士が切なそうに。

 

「俺はそれをあまり好きになれない」

 

「どうして?」

 

「衛と広登……それを被ったパイロットが続け様に犠牲になった」

 

 美三香を見る。

 

「彼女が同化現象の影響で一度肉体を失ったと聞いた時は、呪いすら感じた」

 

「………」

 

 難しい顔をする伊奈帆に、総士が。

 

「何か君も覚えがあるのか?」

 

「えぇ。過去に、スレインがアセイラム姫にペンダントを送った後彼女が不幸になった。そしてそれをスレインが再び持つと、彼自身が道を踏み外した」

 

 遠くでリッツにくっつかれながらゴーバインを視聴するスレイン。

 

「なんだそれは……ちなみに今は?」

 

「どうやらアセイラム姫が回収しているらしい」

 

「……エフィドルグ化したのだったな……」

 

 改めて呪いのアイテムについて考えさせられる二人だった。

 

 

 一方での黒部部隊。

 

「ゴーバインは中々必殺技が多彩ですな」

 

「でも何で必殺技の名前を叫ばなきゃいけないのかしら?」

 

 ソフィーが茂澄に訪ねる。

 

「恐らく音声認識のシステムなのでしょう。ゴーバインプログラムという単語もありましたし。まぁ、これを言うのはご法度であり無粋なのですが」

 

「よく分からない価値観ですね。」

 

「男のロマンと言っては少々差別的かも知れませんが」

 

「それにしても今回のゴーバインは合体攻撃は少ないですよね」

 

 然り気無く由希奈が言った点に剣之介は。

 

「そう言えば俺達も地獄谷でやった事があったな」

 

「あれはフォーメーション、連携攻撃というのです」

 

「どう違うのだ?」

 

 改めてその定義、その違いを考えるも、やはり理解できない。

 結局同じだと結論づけてから。

 

「そうだ。皆で合体攻撃考えようよ!」

 

 由希奈の提案が大きな波を生む。

 するとエステバリス隊、リョーコが。

 

「いいなそれ!前にアキトとハサウェイがグレートゼオライマー相手にやってたもんな!」

 

 本人達が恥ずかしがっているのを知ってわざとらしく大声で言う。

 

「ヴァルヴレイヴ一号機とマークザインなんてどう?」

 

「似たような攻撃方法あるし、いいかもだけど、消費エネルギーすごそうだね!」

 

 逆に全く似たところの無い、例えばクロムクロとスレイプニール改の連携などもあげられた。剣之介と伊奈帆は満更でもなかったようだ。

 

「あの……ノリコさん」

 

「どうしたの?マサトくん」

 

 グレートゼオライマーの秋津マサトが、ガンバスターのタカヤノリコに声をかけた。

 

「あの、僕と合体しませんか?」

 

「ん?セクハラ?」

 

 マサトは美久に頭をひっぱたかれてから。

 

「間違えました。すみません。えっと……ゼオライマーとガンバスターの合体攻撃って出来ないかなって」

 

 周りが静まり返る。

 この二機の連携があれば他の攻撃は全く目立たなくなるだろう。

 

「例えば、次元連結システムを使ってスーパーイナヅマキックの雨を降らせる……みたいな」

 

「……優しい顔してえげつない事言うよね。もしかして木原?」

 

「違いますって」

 

 

 

 色々なやり取りがありながらも集まりは佳境を向かえ、公開する映像も終わり、用意された食事を食べながらの立食会になっていた。

 

 僅かになる警報と微細な振動。

 カタパルトハッチが開かれる事により強風が入ってきた。

 

 格納庫に突如ヴァルヴレイヴ六号機が着艦したのだ。

 

「な、なんだぁ?」

 

「六号機?アキラちゃんなの?」

 

 慌てて走って、機体から降りてきたアキラ。

 

「ちょっと皆……何してるの?」

 

「何って、アキラちゃんにも伝えたよ?お祭りやるって」

 

「……多分寝惚けてた……でもこれはまずい」

 

 エルエルフが近付く。

 

「どうした?何がまずい?」

 

「これ、違法行為……他人に権利があるアニメを勝手に皆の前で流したら……」

 

 全員がアキラを見つめる。

 

「これ、見た人も悪いけど……流した人もっと悪い。スタッフは?」

 

 全員がスタッフを見る。

 ゴーバインは竜宮島に権利があるから、問題は解決出来るだろうが。

 恐らくゲキガンガーはアウトだ。

 

「OK出したのはユリカ艦長だよね……」

 

 いつの間にかいないユリカ。

 

「機材用意して流したのはアキトだな」

 

 アキトは冷や汗を流しながらハサウェイを見る。

 

「ほ、発起人はハサウェイだよな?」

 

「なっ!それを言うなら……」

 

 つぎの台詞が出ない。

 仮にもテロリストがルリを、連合宇宙軍少佐の事を公の場で晒す?絶対に無理だ。

 

「ハサウェイ……」

 

「あ、アキト」

 

「粛清されちまえ」

 

 何となくだが、ルリが彼等の様子を見て笑いたくなった。

 

 本当に、自分を含めた皆が。

 

「バカばっか」

 

 それが嬉しかったのだった。

 


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