スーパーロボット大戦Re・disk3   作:jupi

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祭典-前編

 

「あれ?ハサウェイさん。どこにいくんですか?」

 

 ルリとハサウェイが顔を会わせたのは、ナデシコ正規クルーの居住区域。

 普段は他の出向者は立ち入らない。

 

「……アキトの部屋ってどっちかな?」

 

「そこの通りを左に……」

 

 言葉がつまる。

 仮にもテロリスト・マフティーが自分達の領域に入ろうとしている事に警戒を覚える。

 

 アキトの部屋はルリやユリカが乗艦する限り、本人不在の状況が続いていても確保されてた聖域でもある。

 

「……借りていたアニメを返しにね」

 

 何処か恥ずかしげに紙袋を見せてきたハサウェイ自身が、ルリの警戒をさっした。

 アキトから借りるアニメといったら、恐らくあれだろう。

 

「案内します」

 

 僅かに微笑むルリ。

 相変わらずのアキトの布教活動と、それにかかったハサウェイ。

 昔のナデシコとさほど変わっていない。

 そんな今が嬉しくなった。

 

「ハサウェイさん」

 

「なんだい?」

 

「提案があります」

 

 

 

 その日の昼だった。

 

「お祭り?」

 

「はい。娯楽の少ない艦内でのちょっとしたイベントです」

 

 ユリカがブリッジに訪れたルリとハサウェイを笑顔で迎えた。

 

「……アキトは?」

 

「ユリカさんならOKだしてくれるって、今格納庫で準備中です」

 

「さすがアキトね。でもまだまだ」

 

「と、言うと?」

 

「実はね、竜宮島部隊からの提供で’ゴーバイン‘ってアニメがあるの。トップ部隊のノリコさんも乗り気だし、大規模にやろうか」

 

 

 一方格納庫ではアキトが何やら始めたと人が集まっていた。

 剣之介や万丈、鉄華団は彼の奇行を怪しげに見つめていた。

 

「……ようアキト。なんかあったのか?」

 

 思わずオルガが声をかけた。

 火星にいたメンバーは彼が復讐鬼だった頃を知っているが、過去の明るいアキトをあまり知らない。

 

「皆には刺激が強いかもしれない……それでも逃げ出さないでほしい」

 

「そいつは……」

 

 三日月も現れる。

 

「ねぇアキト。それは皆がいれば乗り越えられそうな事?」

 

「できる限り人数がほしい。少なくとも俺とハサウェイ。ナデシコの皆が乗り越えた事だ。」

 

 大型のモニターや数々の配線を運ぶアキトを見て、三日月もおもわず首をかしげた。

 

 

 次の日の昼。

 ユリカが艦内放送で格納庫に全ての乗員や協力者を集めた。

 

 テーブルや料理等が列べられ、ちょっとした立食会が始まるのだと誰もが思った。

 しかし司会にユリカとアキトが現れて、アニメの上映をするといい始めた時は、僅かに響動めきがおきた。

 

「ゲキガンガーのお祭りか」

 

「界塚。これは日本のアニメだよな?」

 

 スレインにとって初めて見る日本アニメ。

 

「あぁ。実は僕も初めてだ……僕らより彼らの方がショックを受けているようだな」

 

 鉄華団と騎士ユニコーン。彼等はアニメを見るのが初めてだ。

 

「熱血ロボット?どういう事だ?」

 

「なんだよこの暑苦しい絵は。なんで合体中に攻撃しないんだ」

 

 ざわめきの中で隅っこに座る万丈が複雑な顔で彼らを見ている。それを剣之介が気にした。

 

「どうしたのだ?」

 

「剣之介か。いや、あぁ言ったスーパーロボットの概念をボロボロに言われるのはね。何せ僕も当事者だし」

 

「気にする必要はあるまい。ノリコ殿を見ろ。あのように堂々として、誇らしげな顔をしているではないか」

 

「あれは……布教活動中のオタクの顔だよ」

 

 ゲキガンガーの話はすすみ、次第にシリアスシーンやラブストーリーも出てくる。

 いつの間にか三日月とアトラが床に座って見入っている。

 

「最初はよく分からなかったけど、なんかいいね」

 

「三日月はその……こういうの興味あったりするの?」

 

 ゲキガンガーのパイロットがヒロインとのキスシーンを演じている。

 

「どうだろう。でもアトラならいいかな……してみる?」

 

「えっ、ちょっと三日月……ダメだよぅ」

 

 顔を真っ赤にして照れるアトラを微笑ましく眺めるオルガとクーデリア。

 そしてマクギリスも……しかし、彼の前には騎士ユニコーンが。

 

「幼女趣味はどうかと思うぞ。種族が違えどそれは等しく非難されるものだ」

 

「フッ……何のことやら」

 

 マクギリスは前髪を弄りながらアトラから距離をとり、ゲキガンガーの映像をみる。

 

「中々魂に響く曲じゃねぇか!戦闘シーンが多いのは気に入らねぇが、熱いロックのオープニングは認めてやるぜ!」

 

 どうやらバサラもゲキガンガーを認めたようだ。

 

 

 

「リッツはアニメとかわかるのかよ?ペンギン帝国がどんなものかはしらないが」

 

 孝一と恭子がリッツに声をかける。

 

「それなりに見てるわよ。ゲキガンガーも見たことあるし。クールなロボットアニメより熱さがあった方がいいわ。」

 

「成る程ねぇ」

 

 恭子がスレインの方を見たのをリッツが察した。

 

「彼はクールだけど、熱さもあるの!朕は絶対に諦めないんだから!」

 

 ダイミダラーパイロット達が騒いでいるすぐそばで、ヴァルヴレイヴ隊も楽しんでいた。

 

「グッズ販売による経済への影響。ストーリーで惹き付ける事による麻薬的中毒症状、導きだされる結論は……」

 

《また始まった……で?》

 

「アイドルによる人心掌握をやめよう。ヴァルヴレイヴや神憑きをネタにアニメを」

 

 珍しくゲキガンガーの熱にやられているエルエルフの手を、サキがつねる。

 

「……何をする」

 

「現役アイドルの前で言う台詞じゃないわよねぇエルエルフぅ」

 

 サキが笑顔で怒るのを見てショーコが苦笑いしながら。

 

「と、所でアキラちゃんどこに居るか知らない?」

 

 


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