スーパーロボット大戦Re・disk3   作:jupi

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3話-竜宮島、その在り方

 熱気バサラが圧巻のライブと奇跡を魅せ、その日の内に部隊内での状況報告が行われていた。

 

「負傷していたアスランとシンは完治。彼等は元々アルヴィスでの治療もあり今は元気にやっています」

 

「ファフナー隊の同化現象にも変化が見られました。進行速度の低下だけではなく、SDPが強化された者も現れています」

 

 次にルリが立ち上がり報告を始めようとする。

 

「座ったままで構わない」

 

「あ、はい」

 

 真壁司令の微笑まれて着席。

 

「グレートゼオライマーの次元連結システム、呼称氷室美久ですが、推測通り熱気バサラさんの歌により復旧。現在は普通の人間と変わりなく生活をしています」

 

「報告にあった対エフィドルグ用作戦の要でもある。彼女には出来る限りの協力を頼もう。それと既に切り札が揃っている以上、今は皆に鋭気を養ってもらいたい」

 

 

 グレートゼオライマーの秋津マサトと氷室美久が正式に紹介された。

 既にマサトはナデシコメンバーと打ち解けていた事もあり、明るく接していたのだが美久は複雑な面持でいた。

 木原に道具として使われ、この部隊の何人を殺しそうになったのだろうか。

 

「何も気にせずに学校へ通っていた頃が懐かしい……」

 

 ナデシコの甲板で一人佇む美久に声をかけてきたのは、この島のコアである皆城織姫だった。

 

「ならばこの島で学びなさい。あなたの悩みの小ささと、仲間達の懐の大きさを」

 

「……」

 

「あなた達は平穏な生活に馴染んで一度心を穏やかにする必要があるわ。これから起きる大きな災いの前に」

 

「あの……」

 

「何よ」

 

 美久が根本的な疑問を織姫にぶつける。

 

「あなた、もしかして迷子?」

 

「………」

 

 

 

 

 次の日には部隊の全員が召集され、施設の広い場所に並ばされていた。

 何処か楽しそうなユリカと、苦笑いしながら周囲からの質問を受け流すマリュー。

 

「諸君。集まってもらえただろうか」

 

 ふとペンギンコマンドが呟く。

 

「あれ?イオクの奴いないな」

 

「捕虜の見張りだって。交代の奴行ってやれよ」

 

 真壁司令の咳ばらいで静まり返る。

 

「しばらくの間、諸君らには島での生活に順応してもらう。無論、有事には通常の働きを期待しているが」

 

 チラッと、ファフナー隊のメンバーやアルヴィススタッフが笑いを堪えている事に気付いた。

 

「この島は若者不足等もあり労働力の枯渇には日々悩まされていた。故に君達には様々な職業で働いてもらいたい」

 

「え……」

 

 一同が時間が停止したのを感じたが。

 

「最低限の教育過程を終えていない未成年者は、学校へ通ってもらう。」

 

 鉄華団やムエッタの事がメインだ。

 真壁をサポートするように、今度は総士が。

 

「軍関係で特殊な技能や資格を持つ者はアルヴィス内で働いてもらう」

 

 技師の資格があるマリュー、キラ、ウリバタケ。

 ラーメン屋の経験があるユリカ、アキト、ルリ。

 漫画家、声優、バー等なら出来るナデシコ乗員の面々。

 

「なお、パイロットばかりやっていた者はくじ引きだ」

 

 誰もが開いた口が塞がらない。

 

「マクギリス・ファリド……君には初等科の社会科教育を担当してもらう」

 

「……教員免許を持ち合わせていないが」

 

「初等科ならある程度問題あるまい」

 

 そんな勢いで真壁司令は構わず。

 

「ペンギンコマンド達には漁師の手伝いを」

 

 それから次々と発表される職業。

 

 そしてバサラだけが呼ばれなかった。

 

 

 

 そして解散後に各々の働き場所へ。

 

 

 

「いやいや意味わかんない」

 

 寂れた定食屋で働くことになった由希奈と剣之介。

 混乱する彼女に、楽しげに笑いかけた。

 

「よいでないか。それにこれが、もしかしたら将来の目標に繋がるかも知れない」

 

「あ……」

 

 昔、剣之介に対して由希奈が言った将来についての会話。

 

「侍としての生き方もいいが、この時代に生きる者として考える必要もある。由希奈の為にもな」

 

「サラッと恥ずかしい事言うな……」

 

 剣之介は由希奈が背を向けたのを微笑ましく眺めてから。

 

「お主はどうなのだ?界塚」

 

 調理場から客席清掃をしていた伊奈帆と韻子に声をかけた剣之介。

 

「確かに、一生軍属でいる気はなかった。今後のプランを考える上で真壁司令の策は実に興味深い」

 

「そ、そうだな」

 

 剣之介も由希奈も、韻子が一言も発せずに黙々と作業している姿を不気味に思った。

 

「韻子」

 

「話しかけないで」

 

 しばらくは韻子とのコミュニケーションは由希奈や剣之介を通さないと無理な様子。

 

 妙に重たい雰囲気の中で、定食屋として働き始めることになった。

 

 


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