話は少し戻る。
「里奈先輩!」
「あたしの事は気にしないで全力でやりなさい!」
ゼロファフナーの中で苦しみながらSDPを発動する里奈と彗。
「はあぁぁぁ……来いっ!!」
二人のSDPでベイグラントを衛生軌道上から落下させる事に成功する。
しかしミールへ接近するために進攻するので、ゼロファフナーが無理矢理押さえ付け食い止める。
「あれは……」
マークレゾンが次々と島のファフナー隊を撃墜していく。
「くらえぇぇっ!!」
振動共鳴波をマークレゾンに向けるも、ワームカッターが頭部に直撃。
ゆっくりと倒れていくゼロファフナー。
新国連でありフェストゥム側の戦力でもあるマークレゾンは次々と迎撃部隊を撃墜していた。
「ミカっ!」
「ちっ……」
反応速度はバルバトスが上だが、マークレゾンのホーミングレーザーからは逃げきれない。
バルバトスは左足と両手をレーザーで貫かれる。
「三日月!」
援護に向かうクロムクロとメドゥーサは、フェストゥムのロードランナーに行く手を遮られた。
「終わりだ……」
マークレゾンによるワームカッターがバルバトスを襲う。
「ここで倒れられては困る!」
バルバトスを救うのはグリムゲルデ、マクギリスだ。
しかしバルバトスは右足も切り取られ、グリムゲルデは下半身を失う。
ーーあなたは、そこにいますか?ーーー
スフィンクス型に近寄られるも、身動きが取れない。
「バエルを手にするまで倒れる訳にはいかなかったのだが……アグニカ……アルミリア……」
グリムゲルデが結晶化していく。
「……ごめんオルガ。約束の場所には……」
バルバトスも結晶化していく。
「駄目だっ!!お前達は……まだ消えるな!!」
霧散する直前、全速力で接近したマークザインがルガーランスを二機に向ける。
バルバトスとグリムゲルデが同化現象から解放された。
「クロムクロ、メドゥーサはなんとか前に出てください。」
次の瞬間、伊奈帆のスレイプニールが集中攻撃を受けて、逃げ回るしかなくなる。
「伊奈帆!」
「下がれ韻子!」
韻子が狙撃で伊奈帆を援護しようとするも、フェストゥムに包囲される。
「逃げるぞ!」
明弘のグシオンリベイクが韻子のハーシェルを強引に引っ張り、伊奈帆達のいる場所まで飛び出す。
「危険かもしれないが、三日月とマクギリスさんは明弘に任せる。ナデシコに跳ぶんだ!」
グシオンリベイクがバルバトスとグリムゲルデを担いでナデシコに離脱した。
クロムクロとメドゥーサ、スレイプニールとハーシェルが完全に敵に囲まれるも、フェストゥムは仕掛けてこない。
「クロムクロとメドゥーサがいなければ終わっていた……」
「どうするの。伊奈帆……」
ここまで包囲されてしまうと、最早未来予知も無意味。
「バスタァァーミサイル!!」
援護に現れたのは、島の外の最前線から後退して来たガンバスターだった。
「無事ですか!?」
「助かりました」
スレイプニールがガンバスターを見上げる。
「スレインくんも来ています。ここは任せて……」
スレイプニールとハーシェルを離脱させようとした、その時だった。
「ノリコさん!上から!」
スレインからの通信。
マークレゾンからの、ワームカッター。
咄嗟にバスターマントで弾く。
「虚無の破壊者を討伐するのがお前達だろう!この島の戦いに手を出すな!」
「それでも、仲間の為に私たちは!」
ガンバスターが前に出る。
マークレゾンがルガーランスで切りかかると、ガンバスターもバスタートマホークで対応。
「バスタァァー……ビィーーーム!!」
「なめるなぁぁ!」
マークレゾンがイージスを広域展開して防御。
「同時に仕掛けるぞ!」
ザイン、ニヒト、ドライツェン、フィアーの四機のファフナーによる同時ルガーランス攻撃。
「この四機でも駄目なのか!?」
イージスで弾かれる寸前に、ニヒトはレゾンのワームカッターを受けて墜落する。
すると今度は剣司から通信が。
「ポイント更新!ベイグラントを頼む!」
「了解した!……フッ、指揮を任せるのも悪くない。こうして戦えるのだから」
島のミールが展開するシールドを破壊して突き進むベイグラントに体当たりするニヒト。
「今だ!」
ベイグラントの両サイドからクロムクロ、メドゥーサが切りかかる。
「流石は界塚!剣司の指揮も先読みして送ってくれた!」
マークレゾンとの戦闘から離脱して、クロムクロとメドゥーサを先行させてベイグラントの迎撃側に来ていたスレイプニールとハーシェル。
「僕らだけじゃない」
離れていたタルシスとダイターン3も合流する。
「ダイターン・ジャベリン!伸びろぉっ!」
勢いよく飛び込んだダイターン3の槍によって、ベイグラントに風穴が空く。
その穴に向かってニヒトは両手を突っ込みコアを摘出する。
「終わりだ……」
コアを破壊。
消滅するベイグラントの前に力なく腰を下ろすニヒト。
「これで僕も存在と無の地平線の向こう側へ」
マークニヒト、皆城総士が力尽きようとした瞬間だった。
総士の身体を蝕んでいた同化現象による結晶化が止まり、砕け散る。
「俺の歌を聴けぇぇっ!」
「熱気バサラだと……」
バサラの歌により、総士の寿命が僅かに延びた。