スーパーロボット大戦Re・disk3   作:jupi

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10話-魂を偽るもの

 

 竜宮島に鳴り響く警報。

 

 イオク・クジャンが逃亡し、ビスケットの姿をしたエフィドルグが万丈の手で殺害されて数日が経過した頃だった。

 

 レーダーに反応したのは地球軍の中でも竜宮島と因縁のある新国連派であり、さらに彼等とは反対方向からはフェストゥムの大軍勢。

 完全に挟撃ちになった状態での迎撃作戦になる。

 

 しかしながら大まかな敵襲予測時間は‘羽佐間カノン’という故人の遺言によって知らされていたため、万全な体勢を整えていたのだ。

 

「ムエッタ!乗せてくれ」

 

 メドゥーサに入ろうとしてくるオルガに、ムエッタは。

 

「オルガ……何故だ」

 

「俺は鉄華団団長として団の指揮をとる。明弘はともかくミカは俺の指示しか聴かない。界塚達と同じ様に俺も前線指揮官として動く」

 

 アークエンジェルの中からの指揮でもいいのではとも考えたが、ムエッタは別の事を考えた。オルガが一緒では集中出来ないかもしれない。

 

「お前……邪魔になるようなら降ろすからな」

 

 ムエッタは事前にフェストゥムとメドゥーサの相性について聞かされていた。

 もしかしたら一番安全な場所として最適かもしれない。

 渋々オルガを乗せて発進する。

 

「聞こえるかミカ!」

 

「うん聞こえる」

 

 バルバトスに追加装甲を装備させて、さらに太刀を背負ってゲーグナー、ベヲネッタ、ガルム44などファフナーの重火器を限界まで持つ。

 

「お前は好きに動け。フェストゥムと新国連が島に侵入してきたら片っ端から潰せ!ただし引際は俺が判断する」

 

「了解。大丈夫だよオルガ」

 

「明弘!お前は網文と狙撃班だが情況によってはミカと遊撃にまわれ!前に出すぎるなよ」

 

「了解」

 

 グシオンリベイクにもドラゴントゥース等のファフナーの重火器が。

 

「しかし心を読む相手か……」

 

「問題ない」

 

 オルガの呟きにムエッタが素っ気なく反す。

 

「お前の指示なら鉄華団の二人は脊髄反射的な動きで対応する。奴等が頭を使って戦っているように見えるか?」

 

「いいや。然り気無く酷いなムエッタ……」

 

「それに、メドゥーサの中ならフェストゥムの読心の効果はない。」

 

 

 

 今作戦は傷ついたミールと空から来るアルタイルの交信を目的としている。

 しかしそれを阻もうとするフェストゥム群と、ベイグラントに掌握されエフィドルグの影響下にある新国連を同時に相手をする事になる。

 恐らく敵増援は幾度もあるだろう。

 その指揮をとるのは‘マークレゾン’に乗るジョナサン・ミツヒロ・バートランド。

 そう思われていた。

 

「艦影確認……これは、ドミニオンです!」

 

 アークエンジェルの面々には苦々しい記憶のある戦艦。

 さらにはカラミティ、レイダー、フォビドゥン、アビス、ガイア、カオス、ブリッツの七機のガンダムタイプが護衛する十機のデストロイ。

 アークエンジェルの乗員に僅かな動揺が生まれる。

 

「ガイア、デストロイ……」

 

 シンがデスティニーの動きを止める。

 

「どっちだ……どっちに乗ってるんだ、ステラ!」

 

「よすんだ、シン!」

 

 エフィドルグが地球軍に寄生していること。そして彼等が過去の人間のデータを使って再び自分達の前に現れる事も情報としてあった。

 だが、眼前に現れた現実に冷静に対処出きる人物は少ない。

 

「お久しぶりです。マリュー・ラミアス艦長」

 

 突然のドミニオンからの通信。

 

「……ナタルなの?」

 

「今はエフィドルグ指揮下、新国連の傀儡に過ぎません。この艦にはムルタ・アズラエルとロード・ジブリールの擬物が

乗艦しています」

 

「……」

 

「傀儡の中には私のように記録情報を移植されているケースもあります。故に」

 

 一呼吸おいてから、ナタル・バジルールの複製品は一切の迷い無く。

 

「我々を撃沈してほしい。人間の尊厳を守り、このような生き恥から解放してください」

 

 次の瞬間、銃声と共にナタルが倒れた。

 

「この出来損ないがぁ!奴等は滅ぼすんだよ!エフィドルグの安寧の為になぁ!」

 

 アズラエルが高笑いしながら、モニターに映る。

 すると、是非も言わずストライクフリーダムがレールガンをドミニオンに直撃させる。

 

「……情けを掛ける相手ではない……」

 

「やめて!キラ!」

 

 ドミニオンから響く声。

 

「わたしよ!フレイ。フレイ・アルスター!」

 

 キラはその声に顔面蒼白になった。

 

「な……なんで……」

 

 彼が攻撃をやめたことにより、他の者まで新国連側への攻撃を躊躇し始めた。

 

 すると脇目も振らずに、スレインの指揮下から離れ勝手にダイターン3がドミニオンに向かう。

 

「日輪の力を借りて……今、必殺の!」

 

 必殺技の瞬間に、今度はダイターン3に接近するのは、太陽騎士ゴッドだった。

 

「先走るな復讐者……今のお前に太陽の化身を名乗る資格はない!」

 

「そこをどけ!僕は機械に産み出された偽りの命を絶対に認めない!この世界に生きる我々を欺き、死人まで愚弄するエフィドルグを殲滅する!」

 

「ならばこそだ!お前の歪んだ感情で力をぶつけてはいけない!彼らの死を乗り越えて未来に繋ぐためにも、魂をぶつけ合った者達で決着をつけるべきなんだ!」

 

 太陽騎士ゴッドが万丈と怒鳴りあいをしているのを全機通信で聞いた後。

 

「……ニコルゥゥゥッ!!」

 

 突然、アスランがブリッツガンダムをビームサーベルで両断。爆散させた。

 

「皆迷うな!あいつらは死んだ!もういない!」

 

 アスランの声に呼応するかの如く、今度はネオファイヤーバルキリーを駆る熱気バサラが最前線に躍り出る。

 

「お前らの熱いハート、確かに感じたぜ!」

 

 戦場も殺し合いも決して望まないバサラが太陽騎士ゴッドやアスランの言葉を聴いて、歌い出す。

 

「行くぜ!俺の歌を聴けぇっ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

come on burning fire!

 

come on yeh yeh yeh!

 

come on burning fire!

 

come on!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 アスランの言葉や、バサラの歌を聴いて迷いを捨て去るパイロット達。

 

「フレイ……今度こそ君を救う。そんな紛い物でいては駄目だ」

 

「そんな……キラ!」

 

「フレイの姿で語り掛けるな!エフィドルグ!」

 

 ドミニオンの一室にビームサーベルを突き刺し、更にライフルを射つ。

 キラの行動に、シンやマリューも動き出す。

 

「こんな、こんな事をする奴等、エフィドルグ!お前達はぁぁっ!!」

 

 デストロイガンダムの相手に慣れているシンが突撃する。

 

「ローエグリン照準」

 

 アークエンジェルが主砲がドミニオンに向けられる。

 

「あれは……」

 

 次々とドミニオンの前に出てくるMS。

 さらに量産型ファフナーや、量産型ダイミダラーが。

 

「射てェーーッ!」

 

 主砲がドミニオンに直撃したように見えたが、量産型ダイミダラーが密集体型でそれを弾く。

 

 陣形を整えた新国連が、攻勢を強めていく。

 

 マークジーベンが飛び、次々と新国連の機体を落としていく姿を見ながらダイターン3が立ち尽くす。

 

「……どうしたらいいんだ……」

 

 万丈は太陽騎士の言葉に、自らの未熟さに絶望する。

 

 すると、現場指揮のスレインからダイターンへ通信が来た。

 

 

 

 


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