邪神教の戦争犬《ヴェアヴォルフ》 作:コバヤシィ!!!!
(評価バーが赤色は)まずいですよ!(歓喜)
評価、感想有り難き幸せ。や大N1!
今回のロキ・ファミリアの遠征における最終的な目的は59階層に辿り着くことである。
しかしそれにプラスアルファ、冒険者依頼というものがあり、ロキ・ファミリアはこの遠征の前にディアンケヒト・ファミリアから"
またダンジョンには"
しかも
という諸々の理由の為、安全地帯である50階層に遠征隊を留まらせて
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「────これは……」
フィンの険しい呟きが落ちる。
精鋭によって選出された隊を二分に別けた後、それぞれ別ルートで
「チッ……どういう状況だこりゃあ」
目の前に広がる光景は予想されたようなものではなかった。
泉に辿り着く前に装備を再確認し、
だが肝心の泉にそろそろ着こうかという所で、大尉がスン、と一つ匂いを確認する様子を見せてからフィン達を腕で遮り静止させたのだ。どうにも違和感があると。
警戒を強め
いや、言い方を変えよう。居るのは居たのだ。
それだけではない。泉自体は損傷を受けることなく残っているが、周囲は何かに溶かされた様な酷い荒れ様だ。他の冒険者の仕業とは考えにくい。しかし階層主よりも厄介とされる
「とりあえず泉水を採取しよう。頼んだよラウル。……終わり次第早急に此処を離れる」
「……疼くか、指が」
フィンの指示に応答し、ラウルはすぐさま泉に近づいて水の採取を始める。その後ろで険しい表情を続けるフィンに、ガレスは細めた目でじっとを視線を向けて、確信に似た問いを投げかけた。
その言葉にフィンは苦笑いを隠しきれないまま、己の親指を見せる。
「うん、この通り。とびきり嫌な予感がするよ」
彼の親指の疼きは言わば虫の知らせのようなものだ。
縁起でもない事が起きる前触れであり、同時にこの奇妙な状況を作り出した元凶の不明瞭さからか、張り詰めた緊張感が空間に広がる。
「っし! 汲めたっス!」
若干空気の読めてないとも言えるが、ラウルが明るい声で採取の完了を伝えて泉水を収めた容器をバッグに入れ込んだ。その姿を確認し、即座に撤退する旨を伝えようとフィンがラウルの方へ振り向いて、
ラウルの背後上空から毒々しい色をした液体が塊となって覆い被さろうとしている瞬間が目に入った。
「ッラウル!!」
「────っえ?」
状況を理解していないラウルが背後に振り返った時には既に液体が目の前に迫っている。それがどういう効果を齎す液体なのかは定かでは無いが、どう見ても良い方向に働くものだとは思えない。
だがフィンのいる位置から距離の離れたラウルを一瞬で救出する事は不可能だ。呆けた面をしたままのラウルになす術がある訳がなく、そのまま液体が彼の身体に被る、と
しかしその前に、ラウルの頭部の真横に凄まじい勢いで足蹴が放たれる。それはゴオッ! という空気の唸りと驚異的な衝撃波を持ってして、向かってきていた液体を一滴残らず吹き飛ばした。
「……た、大尉」
その蹴撃の主は何を語ることもなく、髪の間から覗く視線の焦点を自身の脚先より前方に当てている。
誰よりも早く液体の存在に気付いていた大尉は、あの毒々しい液体がラウルに掛かる前にその横に飛び降り、液体にギリギリ当たらない手前に向けて蹴りを放ったのだ。
反対方向に散らされた液体は壁や地面に降りかかり、じゅうじゅうと音を立てて付着した部位を溶かしていく。その様子を見て、一歩間違えればアレを全身に被っていた事を自覚し、ラウルの顔が真っ青に塗り替えられた。
「総員構えろ!」
大尉は戦意を失いかけているラウルの襟首を掴んで後方に飛ぶ。フィンの鋭い視線の先には、先程の液体の元凶である巨大な芋虫の様な形状をしたモンスターがダンジョンの壁に無数に這っている光景が広がっていた。
生物の持つ色とは思えないほどけばけばしい緑色をしたそれは、明らかにこれまで確認されたことのない新種。故に行動パターンは完全なる未知数。挙句大群で出現し、先程の溶解作用を持った液体を飛ばしてくるとなると厄介だ。
恐らくはこの泉の周囲に見られる溶けた跡もこの芋虫による行為だろう。ならば
そして重ねられるように、厳し過ぎる状況に追い打ちがかけられていく。
「フィン! こやつらの体液も物を溶かすぞ! 斬撃は出来ん、武器も溶かされた!」
「モンスターの数が多過ぎる! 予備の武器はもう無い、一旦退却する!」
相手の出現数が余りにも多かった上に主力武器の破損。最早撤退せざるを得ない状況。だがこのまま背を向けて逃走を図っても泉全域に蔓延るモンスターの群を潜り抜けるのは危険極まりない。大尉やベート辺りの速さを持てば可能だろうが、アレを再現しろというのは酷である。
しかも今はラウルもいる。ラウルは今Lv.4だ。決して低いレベルではないがこの隊においてはステイタスが最も未熟であり、敏捷の面で心許ない。
ならば、
フィンは素早く大尉の方へ向く。この状況、どうにしろ"殿"を務める者が必要だ。隊の中でならば、誰に任すか等悩む事も無い。
だが大尉は既に察した様に、いつも通りの無表情で泉の退路の方へ指を指した。何かを言った訳では無いが、確かにその目はフィンへと明確な意思を示していた。
『行け』と。
「っ……頼むよ、大尉!」
大尉が軽く頷いたのを確認し、撤退の指示を他三人に伝えてフィンを先頭に走り出す。幾ら大尉がモンスターを引き留めようとも、退路付近にいる奴らについては彼らが相手をしなければならないのだ。だがフィンならば迎撃は兎も角道を開くために吹き飛ばす程度なら容易だろう。
団長自らが先導し仲間を逃がすその後ろで、芋虫の群勢の中心に佇む大尉が冷淡な雰囲気を携えて周囲を見渡した。
その内の一匹が背を向けるフィン達に対して再び溶解液を飛ばそうと頭を向ける。だがその口と思われる部分から液体が出る前に、音も無く瞬時に間合いを詰めた大尉の横蹴りによってそのモンスターは吹き飛ばされ、壁に衝突し破裂する様に体液を撒き散らした。
痙攣と共に動かなくなった同種を前に、モンスターの群は注視をフィン達から大尉へと一斉に向ける。体長4mはあろうモンスターにぐるりと取り囲まれた、傍から見れば絶望的な状況だというのに、大尉の表情は寸分の変化も見受けられない。
痺れを切らしたモンスターらは、今度は溶解液では無く舌らしき器官を同時に差し向けた。数十の舌が大尉を刺し殺す勢いで迫り、残り1mを切る程迫った所で────全ての舌が毟り取られるように粉砕される。
苦悶の声を上げる芋虫達がモンスターらしい怒りを持って追撃せんと大尉を探すが、さっきまで彼が立っていた場所に視線を向けてもそこには人の影などなく。
そんな間抜けな様を晒すモンスター達の上で、いつの間にか10m上まで跳躍していた大尉の強烈な踵落としが獲物を探して蠢く芋虫達の内の一匹の頭に突き刺さり、轟音と共に粉塵が爆発的に広がった。
地面にめり込み、先程蹴り飛ばしたモンスターと同じように破裂したモンスターの死骸に目もくれず、大尉はその他の芋虫の方へ視線を滑らせる。
相変わらず、何処までも無機質な紅色の瞳を。
( (強敵ポジのモンスターが芋虫フォルムとかやる気出るわけ)ないです。やっぱ
そういえば感想で頂いた疑問があったので色々設定説明したいと思います。
Q.ロキ・ファミリア最古参って大尉おじいちゃんじゃね?
A.中身の人間はそこら辺にいる大尉狂ですが身体はHELLSINGの大尉と酷似しています。霧化できるしね。なんで何年生きてても見た目変わりません。原作でも変わらなかったはず。種族変わるけどリヴェリアみたいなもんです。ロキ・ファミリアの都市伝説になってます。
Q.じゃあ初めから強いから恩恵受けなくても大尉再現できるじゃん?
A.本人は初め身体の強さも大尉だとは思ってなかったからね、仕方ないね。まあ大尉がナンバーワン!って思っている中の人の事なのでどちらにしろ強くなる為に恩恵貰うと思います。
しかも身体は強くても扱う人間の経験がなければ持ち腐れだからファミリアに入る事によって戦闘の経験が身に付けられたのもプラスに働きました。