邪神教の戦争犬《ヴェアヴォルフ》   作:コバヤシィ!!!!

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何番煎じだよって話ですけど抑えられなかった。
あぁ^〜大尉カッコよ過ぎるんじゃぁ^〜


▼ ヴェアヴォルフ筆頭が 現れた !!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 諸君、私はHELLSINGが好きだ

 諸君、私はHELLSINGが大好きだ

 

 アーカードが好きだ、セラスが好きだ、インテグラが好きだ、ウォルターが好きだ、ベルナドットが好きだ、アンデルセンが好きだ、少佐が好きだ、シュレディンガーが好きだ。

 

 とても言い切るの事は出来ないが、作中で圧倒的な狂気を晒すありとあらゆる登場人物(キャラクター)が好きだ。

 

 そして何よりも、私は大尉が好きだ。大好きだ。愛してやまない。

 

 番犬の如く少佐の妨げになる者を無慈悲に塵芥へと還す大尉が好きだ。

 ロリ魔王に犬口調で煽られて見事に釣られる大尉の姿は感動すら覚える。

 

 諸君、私は大尉を、ミレニアムのヴェアヴォルフ筆頭を望んでいる

 諸君、私の中の脳内会議に出席している諸君

 君達は一体何を望んでいる?

 

 更なる大尉を望むか?

 情け容赦のない神の様な大尉を望むか?

 鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様な大尉を望むか?

 

 

『大尉! 大尉! 大尉!』

 

 

 よろしい ならば大尉だ

 

 

 

 

 

 いや何がならば大尉だ、だよ。意味わかんねーよ。

 

 

 

 失礼、突然だが更めて宣言する。俺はこのくだらない脳内ぼっちコントを数百回繰り返す程度に、HELLSINGという漫画に登場するキャラクターの"大尉"が大好きだ。

 

 "大尉"とは戦争の為には目的を選ばないことで有名なとち狂った集団に所属する軍人であり、最後のヴェアヴォルフその人。戦争を愛し愛され、最終的な闘いで敵に塩どころか唯一自分の弱点であるものをわざわざ渡して自分を殺させるという常人には理解出来ないであろうスタイリッシュ自殺(自殺とは言っていない)を成し遂げたお方だ。

 

 それはもう好きだ。周囲に引かれるくらい。初めて戦闘シーンを見た時はそりゃ痺れたよ。かっこよ過ぎてね。婦警&隊長との最終決戦も好きなんだけどさあ、あの死神執事のチェーンソーもびっくり切れ味の糸を片手で掴んで止めて見せたドヤ顔(?)はもうそりゃ絶頂を覚えても仕方なかったね。いや男だけどさ。

 

 武器も凄いのよ。彼の使用するモーゼルは改造してんのか分からんが通常の構造より銃身が長い。それこそサーベル並みに。

 そんなん人間が扱ったら反動で自分の体がおじゃんになるに決まってるけど、そこは大尉ですよ。あの人人狼だもの。たったそれだけでその魔改造モーゼルを片手でぶっぱなしても反動を受けない事に説明がつくとか化け物ですね分かります。流石大尉。

 

 作中じゃ声も当てられない脇役wwwとか言いやがった友人と喧嘩をしたのもいい思い出だ。作者に「大尉は旦那と神父の勝負に参加しても勝てっこない」なんて言われてたのを知った俺の気持ちがわかってたまるか!!! それでも大尉が好きだがな!!!

 

 

 あー愛が溢れる。愛は無敵だ。大尉の為ならアーカードの旦那を打ち倒……嘘、それは調子に乗った。ごめんなさい。世界一怖いオープンセサミで殺される。

 

 

 

 

 

 恐らくこの失礼極まりない想いが人間大好き串刺し公に伝わってしまったのだろう。

 

 

 気づいた時には足を滑らせてすっ転んだ俺の後頭部に机の角が突き刺さっていた。

 

 

 で死んだ。

 

 

 

 流石にあっけなさ過ぎて草もクソも無かった。まあ正直ここ最近やっとの事で内定をゲットした企業が絵に書いたようなブラックだったから寧ろもう楽になったぜ的な馬鹿も顔負けの気楽な事も考えていたけどね。

 

 

 そして初歩的な事に気が付く。

 

 なんで死んだのに頭働いてんの? 走馬灯つっても長過ぎんだろ。

 

 

 結局寝惚けてたのか分からないが、周りがさっきまでいた俺の部屋じゃないことに気付いたのは暫く経った後だった。

 どこ? 寧ろ日本でも無い。中世? と言えばいいのかそんな街並みだ。

 

 訳が分からない。机の角に頭ぶつけて死んで気付いたら知らない場所にいました? 夢にしては途方も無さすぎる。

 取り敢えず自分の頬を捻って痛みを確認するが、うん、確かに痛覚はあるな。じゃあ現実か。

 

 

 そこで初めて違和感に気付いた。頬をつねる為に顔に近付けた俺の手。今褐色じゃなかった?

 

 おかしい。俺の手は日焼けとは無縁の引き篭もり野郎の手だった筈だ。Why?? 一瞬で焼け焦げた? 内心汗ダラダラな俺は、すぐさま近くの建物のガラスの前に立つ。

 

 

 ……おろぉ?

 

 

 目の前のガラスに反射して写る、この銀なのか白なのか分からない髪。褐色の肌。前髪の間から覗く物騒な赤い目。高い鼻。真一文字に結ばれた口。口元まで隠れるカーキ色の軍服。腰に下げられた魔改造モーゼル。

 

 あれ? 大尉じゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイエエエ!? 大尉!? 大尉ナンデ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ということだ。いやどういう事だと思うがどう見ても大尉だった。OVAで見た大尉だった。

 こうして自分は何故か大尉になっていて、挙句ここがHELLSINGの世界ではない事を知った。何で混ぜたよ。

 

 本物の大尉と同じで例外無く喋る事が叶わなかったのだが、見て聞いて分かったことは此処には神様がいて僕と契約してよ! みたいな形で神様から力を得た"冒険者"と呼ばれる奴等がダンジョンに潜ってモンスターを討伐しているんだとか。それ何ていうRPG? つーか旦那でも降りてきてくれなかった神様がなんで自主的に降りてきてんだ。ワラキア公国軍の兵士諸君が涙目になるわ。

 因みに何故知らない世界の文字が読み書き出来るかなんて事は聞くんじゃない、いいね?

 

 しかしこれはチャンスだ。つまり契約すれば原作の大尉を再現できるくらい強くなるんではないだろうか。

 見て呉れだけ大尉で中身カッスカス弱々野郎だったとしたら大尉の面汚しもいい所である。んな事したら本気で死にたくなるから嫌でござる。やはりかっこいい大尉が良い。

 

 つーわけで大尉になったわけも分からないから、行き当たりばったりでガンガンいこうぜ。

 

 そんな計画もクソも無い俺の腕を突然誰かが掴んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ()()を初めて見た時、筆舌に尽くし難い衝撃を受けたのを覚えている。

 

 

 その日ロキは初めて地上に降臨した。嘗て邪神と畏れられた彼女が、神の力を禁じられる条件を課せられて尚己の家族(ファミリア)を得る為に降りることを選択したのだ。その事を知れば、ロキの過去を知る者は少なからず驚くだろう。

 しかし天界でいくら名の知れた神だろうと、下界に降りたばかりの時は弱小ファミリアである事に変わりはない。それこそ未来のヘスティアの様に様々な人間に勧誘をかけるが、中々頷いてくれる者は出てこなかった。

 

 

「なんでやねん! 一人くらいうちのファミリアに入ってくれてもええやろ!」

 

 街中で一人叫ぶ神。その不審者っぷりを怪訝な表情で見る通行人に目もくれず、ロキは四つん這いの状態で項垂れた。

 そもそもロキも悪いのだ。記念すべき一人目として挙げる己の眼鏡に適う者の選り好みの幅が狭過ぎる。挙句美男美女が好きなものだからその選択肢は更に限られ、声をかける人数も減る。断られる可能性が高いのも仕方の無いことだった。

 

「……しゃーない、もう少し妥協を────」

 

 再び立ち上がったロキは、言葉を止めた。正確には止まったと言った方が正しい。息が詰まるような感情を覚えたのだ。

 

 ロキの目線の先にいたのは、見たこともない独特な服装で身を包んだ大柄な男だった。

 服の上からでも分かる鍛えられた肉体を見るに、もう他のファミリアに所属している冒険者かも知れなかったのだがそれでも、どうしても手に入れたいとその瞬間に思ってしまった。

 気付いた時には、その男の腕を無意識の内に掴んでいた。

 

 長い前髪から覗く赤い瞳は魔力があるのではないかと錯覚させられる、それ程の確かな魅力があった。それは排他的であり狂気的であり、しかし何処かどうしようもない哀しみを背負っている目だ。

 

 

「…………」

 

「────ああ、いきなりすまん。その、あんた名前は? ウチはロキっちゅうもんなんやけど」

 

 

 突然呼び止められた挙句名乗れなど不審すぎる行動なのは自覚している。それでも目の前の人間は片眉一つ動かすことなくこちらを見ている。

 

 暫くの沈黙の後男は懐から羊皮紙とペンを取り出し、何かが書かれた紙をロキに渡した。どうやら喋る事が出来ないようだ。

 

『名前は無い。しかし大尉と呼ばれていた』

 

 名前は無い、と書かれた文字にロキは顔を顰める。複雑な家庭環境だったのか、しかし後に続けられた"大尉"という言葉に尚更首を捻ざるを得ない。

 

(大尉って何や……?)

 

 そもそもこの地に軍の階級という概念が存在しないのだから。

 取り敢えずは話が進まないとこの件については置いといて玉砕覚悟の勧誘に入らねばならない。

 

「なぁあんた、もし良かったらウチのファミリアに入らんか? 頼む! まだ一人も入ってくれんのや!」

 

 

 そう両手を合わせて顔の前に出す。もう同情でもなんでもいいからそろそろ勧誘を成功させたかった。それが目の前の男ならもう何も言うことは無い。

 そんな神に男は表情を変えないまま再びペンを動かし、なんとも簡易的な文字を目の前に提示する。

 

 

『分かった、入ろう』

 

「うん、そか、やっぱ無理……え? マジ? ホンマに?」

 

 

 

 こうして、後にオラリオ最強ファミリア候補に上がる程の派閥となる邪神とその眷属が最初の邂逅を果たしたのだった。

 

 

 

 

 

 






大尉のワンちゃんフォルムで噛み潰されたい人生だった。
筆談なら良いかなっていう妥協。


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